8月9日は闘いの日 長崎の被爆者 城臺 美彌子さん

週刊『前進』02頁(2862号02面02)(2017/07/20)


8月9日は闘いの日
 長崎の被爆者 城臺 美彌子さん


 今年、被爆72年は、安倍政権が共謀罪の強行採決から改憲に進もうとしている。日本が曲がっていく、未来がこれまでと違う方向に向かうのではないか。それに対して私たちがどう向き合っていくのか。ただの72年じゃない、非常に危機迫る72年ではないか。
 私は今、若い世代(小、中、高、大学生)に被爆体験を語りついでいますが、被爆体験のみではなく、なぜ戦争になって、なぜ長崎に原爆が投下されたのか、そういうことをどんなに時間がなくても伝えようとしています。今私たちを取り巻いている政治的環境が、あの戦前とよく似ているからです。被爆体験をどう生かしていくのかです。

改憲をさせない

 一番思っているのは、改憲させてはいけないということです。共謀罪は、戦前の治安維持法と同じように監視社会にして、国民がものを言えないようにがんじがらめにしようとしている。その結果が改憲です。見え見えです。
 核兵器禁止条約がやっと、被爆者の努力などによって122カ国が賛成して採択されました。だが日本は、条約の交渉にすら参加していない。アメリカが何を言おうが、日本も参加することができるわけです。アメリカのオバマは退任する前に〝核兵器の先制使用をしない〟という宣言を出そうとしたけど、日本政府はそれに反対した。日本政府が核に反対しようとすればできるわけです。なぜ反対しないかと言えば、アメリカに気を遣っているばかりではない。日本がいずれは核武装しようと考えているからです。憲法を変えたら核武装できる。だから私たちがやっている反核反原発運動は絶対必要なのです。市民だけではなく、労働者の運動と一緒に。

被爆地そのもの

 福島は長崎そのものです。70年前のヒロシマ・ナガサキそのものです。福島の人たちは、国から棄(す)てられています。自分の家や畑、山に入れず、そこで生きられない。県外で場所を変えて生きようとしたら、そこも切ってくる。まさに長崎が被爆から10年間棄てられていたのと同じ状況です。チェルノブイリでは年間1㍉シーベルト以上は移住の権利です。生活保障とか医療無料とかもいろいろある。日本の場合、全然そっちの方に向いていない。しかもそうしながら、ほかの原発を動かそうとしている。私たちのできることは保養ですが、精いっぱいやっています。
 若い人に訴えたいことは、もっと政治に関心を持って欲しい、無関心が一番怖い。今、韓国と日本とアメリカが合同演習をして爆弾を落としている。北朝鮮の人たちにとって、実に恐ろしいことです。ミサイル防衛の演習は、やる必要はない。土管の中に入ったり耳を押さえたり、そんな訓練をさせてはいけない。そういう政権は間違いです。来る総選挙は改憲が問われます。若者よ、選挙にも参加して、改憲を止めるために声を上げて欲しい。

長崎から発信を

 8月9日は被爆者にとって世界に訴える一日なのです。チャンスなのです。8月6日、9日は、世界がヒロシマとナガサキに向いているのです。ヒロシマ・ナガサキから発信することは非常に意味があります。8月9日は闘いの日。誰であろうと闘いの日。子どもたちの未来を阻害するもの、福島の人たちが生きることを拒否するもの、国民全体を縛っていこうとするもの、そういうことに対する唯一の発信の時です。これまでNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)がしてきたことを受け継いで続けて欲しい。一人でも参加して欲しい。その日だけでも長崎にいらして長崎の空気を吸って長崎の人の声を聞いて、一緒に過ごして、闘いのエネルギーをともにやったりもらったりしたいです。ぜひ、NAGASAKI8・9へ!
このエントリーをはてなブックマークに追加