沖縄の怒りをゼネストへ 名護市長選 「オール沖縄」の破産示す

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週刊『前進』02頁(2916号02面02)(2018/02/15)


沖縄の怒りをゼネストへ
 名護市長選 「オール沖縄」の破産示す


 2月4日に投開票が行われた名護市長選は2期8年市長を努めた現職の稲嶺進が新人の渡具知(とぐち)武豊に3458票という大差で敗北した。この結果を受けて菅義偉・官房長官は「選挙は結果がすべて」と辺野古移設容認を「民意」とし、それを「民主主義」と言いなしている。
 しかし事はそんな表面的なものではない。重要なことは、今次市長選が沖縄と日本の労働者階級の闘いにいかなる意味を持つ選挙戦だったのかということだ。
 安倍政権と渡具知陣営は選挙戦の中で、「辺野古というワードはNG、『へ』も言わない」と徹底した。それは真正面から「辺野古への新基地建設の促進」を掲げ、沖縄の労働者階級との階級決戦を構えられない安倍政権の本質的な脆弱性ということだ。
 しかし稲嶺陣営と〈オール沖縄〉は、「辺野古新基地建設阻止」「米軍基地全面撤去」の思いを勝利させる路線と方針を提起できなかった。

議会主義でなく職場から闘いを

 市長選が示したことは、沖縄の労働者階級とりわけ青年労働者の中から新自由主義の矛盾とその崩壊の開始の中で〈オール沖縄〉を乗り越えて新たな闘いが始まったということだ。議会主義的行政主義的合法的な「辺野古新基地建設反対」運動は完全に終わり、140万沖縄県民の中から「ゼネスト」「蜂起」という要求が吹き出している。それは沖縄全島ゼネスト情勢の急接近を意味している。
 新自由主義は「基地の島」を「非正規職の島」へと変貌(へんぼう)させた。沖縄の労働運動の変質と壊滅攻撃の中で、労働組合の組織率は10%未満と全国最低の数値だ。97年の名護市民投票時の最大の実動部隊であった名護市職労をはじめ労働組合がその力を大きくそがれてきた。
 新自由主義のもとで民営化と非正規職化の現実に怒り格闘している青年労働者の現実と新基地建設攻撃の一体性は、「誰が市長になるか」ではなく「自らの職場からいかに闘うのか」の中にしか回答はない。それは労働組合という基礎的な団結形態の中から生まれ、闘いの中から「金では替えられない」共同性と階級性が育まれる。
 そういう意味では両陣営とも、労働者階級を「ただの一票」におとしめた。それが〈オール沖縄〉の敗北の根拠であり、その軸が日本共産党スターリン主義だ。市長選は「沖縄革新共闘」の崩壊から〈オール沖縄〉へ、を主導した共産党の最後的路線的破産でもある。〈オール沖縄〉の破産と崩壊は連合崩壊情勢と絡み合いながら、沖縄全島ゼネスト情勢を一気にたぐり寄せるものとなる。

戦争阻止の国際連帯の最先頭に

 今回の市長選は米日の朝鮮侵略戦争の歴史的な切迫とそのもとでの安倍政権の改憲攻撃の本格化という情勢下で闘われた。
 新自由主義の最後的な破綻と崩壊が株価暴落=バブル崩壊という形で劇的に開始される中で、全世界の労働者階級がプロレタリア世界革命へと澎湃(ほうはい)と立ち上がりつつある時代に規定された選挙戦だった。
 朝鮮侵略戦争の最前線基地=沖縄で労働者階級の眼前で起きていることは、「世界最強」を自負してきた米軍の崩壊状況だ。2月9日には再びオスプレイの部品が落下し、伊計島のビーチに漂着しているのが発見された。米帝は核兵器を実際に使用することでこの危機を脱しようとしている。しかしそれは全世界の労働者階級の新たな国際連帯の闘いを巻き起こす。この国際連帯の最先頭に沖縄の労働者階級が屹立(きつりつ)しよう。
 IJBS労組(日本IBM・ビジネスサービス労働組合)の非正規職撤廃・解雇撤回の闘いを沖縄と全国の職場で展開し、青年労働者の運動の拡大へ新たな挑戦を始めよう。沖縄大学学生自治会の旗を沖縄全島ゼネストの先頭に打ち立てよう。3・25改憲・戦争阻止大行進から、4・28—5・15沖縄闘争へ!
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