戦前の「修身」復活狙う安倍 戦争教育反対!学校から反撃を

週刊『前進』04頁(2933号03面02)(2018/04/16)


戦前の「修身」復活狙う安倍
 戦争教育反対!学校から反撃を

(写真 教育出版の小学2年生の道徳教科書は「国旗や国歌を大切にする気もちのあらわし方」を明記)


 道徳の教科化が4月から小学校で始まった。中学校では来年度から、高校では高校版道徳の科目「公共」が新設され2022年度から始まろうとしている。06年に教育基本法を改悪して「愛国心」を教育の目標に盛り込んだ安倍は、戦前の「修身科」を復活させ、教育勅語を暗唱させていた森友学園のような戦争教育・天皇制教育を全国でやろうとしている。だが腐敗極まる安倍に道徳を語る資格は1ミリもない。崖っぷちの安倍を倒し、改憲・戦争、戦争教育を粉砕しよう!

道徳教科化で一変

 戦後、日本の労働者民衆は、戦争は絶対に繰り返さないことを原点に闘ってきた。この中心に据わってきたのが、教育労働者の「教え子を再び戦場に送らない」闘いだ。教育労働者は資本主義が生み出す矛盾----戦争・差別・貧困・いじめなどの現実に対し、子どもたち、保護者、地域の労働者とともに立ち向かい、組合・職場の団結を土台にして、平和教育や解放教育などを培ってきた。
 道徳が特設され学校に押しつけられてきた後も、教員の裁量で学級活動や平和教育などに充ててきた。
 道徳の教科化は、検定教科書の使用と成績評価の導入によって、教育内容も教育労働者の戦争反対の意識も一変させることを狙う。
 安倍は危機ゆえに国家と資本の延命の道を改憲・戦争に賭けている。憲法9条に自衛隊を明記する一方で、Jアラート訓練や道徳教育で労働者民衆に「国防意識」を植え付け戦争に動員しようとしている。そのために「戦争のできる国」への転換を狙って日教組を「産業報国会」化させ、教育労働者を戦争動員の先兵に仕立てようとしているのだ。道徳の教科化をめぐる攻防は、改憲・戦争阻止の歴史的決戦そのものだ。

全教科に「愛国心」

 道徳の教科化に対し、戦争教育絶対反対で闘おう。
 「修身」が筆頭科目であったように、道徳も全教科の要として位置づけられている。「我が国と郷土を愛する」「主体性のある日本人を育成する」ことを全教科に貫けというのだ。
 中学校の道徳教科書は、「『ガマン』する精神は日本人の最もよい面」「危機の中において、法に従い、秩序を守る気高さこそが、日本人のすばらしい国民性」という非科学的な〝日本礼賛〟や、「祖国をよりいっそう愛するに足る国にしていくために、どのような国の理想像を描いているか」という設問であふれ、生徒に「愛国心」の自己評価を迫っている。
 小学校の道徳教科書でも、「き立して国旗にたいしてしせいをただし、ぼうしをとって、れいをします」(教育出版)と児童に「日の丸・君が代」を体にたたき込む。
 また天皇制と地続きの「畏敬の念」という徳目をはじめ教育勅語に対応する徳目がいくつも並ぶ。
 「日本を愛し守れ」というが、この国に守る価値などあるのか? 非正規・貧困・過労死で家族を奪い、原発事故やローカル線廃止で古里も奪っておきながら何が「家族愛」「郷土愛」か! 国・資本の奴隷になって命を差し出せというのが「愛国心」の正体だ。労働者民衆と子どもたちの生きる道は、こんな国や資本を倒し、労働組合を軸に生きるための団結を学校・地域につくりだすことだ。
 安倍や日本会議に連なる極右は「(左翼でない)ちゃんとした日本人をつくる」「(歴史から)学ぶ必要はない」(「育鵬社」代表執筆者・伊藤隆)と、戦争肯定の教科書を持ち込もうとしてきた。今回も中学道徳で、安倍「教育改革」のブレーンである八木秀次らが「日本教科書」を検定合格させた。「教え子を戦場に送る」教育を阻もう。

職場・分会で議論を

 道徳の教科化に反対の公立学校教員は小学校で約79%、中学校で約76%だ。
 導入初年度のこの1学期が勝負だ。通知表に評価欄を設けさせないなどの取り組みも始まっている。職場・分会で徹底議論し、怒りを束ね改憲・戦争絶対反対で闘う教組をよみがえらせよう。各地で戦争肯定の教科書採択を阻止する闘いも展開しよう。学校から地域住民とともに改憲・戦争阻止の大運動をつくろう。

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修身科 戦前の学校の道徳に関する科目。富国強兵政策のもと1872年の学制発布とともに設置。80年からは最も重要な科目に格上げ。90年に〝天皇のために進んで命を捧げろ〟という「教育勅語」が天皇の名で発布され、修身の柱に据えられる。学校では教育勅語が暗唱させられ、戦時下の修身教科書には「日本ヨイ国、キヨイ国。世界ニ一ツノ神ノ国」などの文言が並び、国のために死ぬのが最高の価値として子どもたちを戦争に駆り立てた。戦後は廃止された。

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