知る・考える 用語解説 裁判員制度-戦争と治安のための「現代の徴兵制」

週刊『前進』02頁(3037号02面05)(2019/05/23)


知る・考える 用語解説
 裁判員制度-戦争と治安のための「現代の徴兵制」


 有権者名簿の中から無作為に裁判員候補者を選び、その中から選ばれた裁判員6人と裁判官3人が刑事事件の裁判を行う制度。新自由主義的な「司法制度改革」の一つとして2004年に「裁判員法」が成立し、5年の準備期間を経て09年から実施された。
 「国民の司法参加」「市民感覚を司法に反映させる」という名目だが、制度の本質は「現代の徴兵制」であり、戦争と反革命のための「国民精神総動員」運動である。腐りきったブルジョア独裁国家、天皇制国家の治安を国民一人一人が「命をかけても守るべきもの」という価値観を押しつけ、処罰規定まで設けてブルジョア階級支配の維持を国民の義務とするものである。
 実際、この制度は、殺人事件審理などでのむごたらしい内容や審理期間の長期化、有罪か無罪か、死刑か否かの判断、その後一生続く守秘義務などで、裁判員に重い精神的・心理的負担を負わせる。裁判終了後に病気になり、日常生活や勤務に支障が出た人も多くいる。
 しかし、今や国民の大半が「人を裁くのはいや」と拒否し、裁判員制度は制度開始10年で存亡の危機を深めている。裁判所から呼び出しを受けても、辞退あるいは無断欠席した人が昨年は77%にも及んだ。一体、この現状のどこが「おおむね順調」(大谷直人最高裁長官)なのか!
 「裁判員制度はいらない!大運動」が十数年、粘り強く運動してきたことが、廃止への大きな力になっている。
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