東京都 民営化でセリ・仲卸一掃 卸売市場条例の改悪反対

週刊『前進』02頁(3069号02面03)(2019/09/19)


東京都 民営化でセリ・仲卸一掃
 卸売市場条例の改悪反対

巨大流通資本が参入し市場解体

 公設・公営の卸売市場を破壊し、民営化を促進する国の卸売市場法が昨年6月改悪され、来年6月に施行される。小池百合子東京都知事は、これと連動させ、東京都中央卸売市場条例の大改悪をもって全面的な民営化に踏み込んできている。来年6月施行のために12月都議会での条例案通過も狙っている。長年、労働者民衆の生活を支えた卸売市場制度の解体に行き着く攻撃だ。市場で働く人々の団結を破壊し労組を破壊する策動に、現場から絶対反対の声を上げよう。
 条例案はなによりも市場の開設者を「認可」から「認定」に変えることで、公設でありながら民間資本参入を可能にする。すでに小池は、イオンや農林中金の代表を集めて意見聴取する「市場の活性化を考える会」を発足させている。さらに仲卸制度の全面的な駆逐一掃が狙われている。
 公設市場は1918年の米騒動を契機につくられ、公開・無差別・計画的な食糧調達や配分が行われてきた。その最大の担い手は仲卸制度であり、この仲卸があって初めて価格の安定、食の安全、生産者保護が歴史的に育てられてきた。
 条例案は「第三者販売の禁止」(仲卸業者と、許可したセリ人以外には販売できない)、「直荷引きの禁止」(仲卸は卸売業者以外からは買えない)、「商物一致原則」(入荷物品は仲卸を通して市場内で全部取引)を規定から削除し、仲卸の「必置義務」も完全につぶそうとしている。
 仲卸の仲間たちの全面的な廃業が狙われている。巨大流通資本によって市場が単なる物流センターにされてしまう。そんなことを許してはならない。

「湾岸再開発」は利権とカジノだ

 歴代都知事は、豊洲の毒物汚染地を汚染除去費用免除で高値で買い取った。今度は公設民営などの手法で、6千億円もかけた豊洲市場の建物を、またも利権屋たちに投げ与えようとしている。一方で東京都は9月2日に築地市場を「市場」として廃止する決定をした。小池は跡地へのカジノ誘致をたくらんでいる。

「卸売市場をつぶせ」と小泉進次郎

 2016年、当時自民党農林水産部会長だった小泉進次郎(第4次安倍再改造内閣で環境相)は全国遊説の中で「道の駅があれば十分。卸売市場なんかいりません」「時代遅れの卸売市場制度は廃止」「二段階卸のせいで高い買い物をさせられている」と、卸売市場への敵意をむき出しにした。日本農業を根幹から破壊する種子法廃止もこうした規制撤廃を叫ぶ自民党らによってあおられたのだ。

耐震偽装裁判の結審・棄却阻め

 耐震偽装の豊洲市場建築物除去命令等義務付け訴訟で、東京地裁の清水知恵子裁判長は、このかん一切の審議を封じる極悪の訴訟指揮を行ってきた。最高裁は8月28日、清水裁判長に対する裁判官忌避の特別抗告を棄却した。
 本裁判に戻ることになるが、門前払いの結審・棄却策動を絶対にうち破ろう。すでに東京都は水産仲卸売場棟の柱脚(柱の土台部分)の鉄量が「不足しているのは41%だけだ」と反論することで、耐震偽装=建築基準法違反を認めてしまっている。原告と団結して闘おう。

仲卸廃業見込んだ豊洲移転強行

 移転後の豊洲は、毒物、欠陥建築、耐震偽装、厳しい低温、粉塵(ふんじん)等々で重大な健康不安と事故多発の中にある。今年7月には、豊洲市場で初の倒産が報じられ、移転してからも廃業は続いている。小池と東京都は3分の1もの廃業を見込んで店舗の配置を考えていた。それが「少なかった」ために、1店舗あたりの面積がとんでもなく狭くなった経緯もある。最初から仲卸の廃業を強要する移転計画だったのだ。
 卸売市場法改悪や東京都の市場条例改悪は、都の11市場や全国の中央卸売市場の民営化・廃止に行き着く。労働者民衆の食と安全を破壊し、都庁労働者の職場を奪い、戦争・改憲と「命よりカネ」の新自由主義を進める安倍・小池を打倒し、11・3全国労働者総決起集会に結集しよう。
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