変形労働時間制の条例化阻止を 改悪給特法の国会成立弾劾

週刊『前進』04頁(3094号02面03)(2019/12/16)


変形労働時間制の条例化阻止を
 改悪給特法の国会成立弾劾

(写真 全国労組交流センター教育労働者部会が国会前で成立強行を弾劾。導入阻止へ決意を固めた【12月4日】)

 公立学校教員に一年単位の変形労働時間制の導入を可能とする改悪教育職員給与特別措置法(給特法)が12月4日、参議院本会議で可決、成立した。過労死を促進し、労働基準法を無視・抹殺する大攻撃である。満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。教職員の9割が反対している(「教育新聞」)にもかかわらず、政府・文科省は衆参30時間にも満たないずさんな審議で強行採決した。この歴史的暴挙を許さず、全国で条例化させない闘いを巻き起こし、導入を阻もう。

教員の過労死促進

 「変形制」は、繁忙期に定時を最大10時間に延ばし、夏休みにまとめて休日を確保することを目的にしている。しかしこれは、長時間労働の是正どころか、教員の心身、生活、そして公教育を壊す制度だ。断じて許すことはできない。
 現場からは、「1日10時間の定時が当たり前になり、残業が隠されるだけ」「子育ても、介護も困難」「夏休みも残業がある。学校は一年中繁忙期だ」「一年分の疲れを8月にまとめて取れるのか」と、怒りの声が次々と上がっている。
 そもそも「変形制」は、残業代の削減を目的とする、使用者に都合のよい制度である。バブル崩壊の中でリストラと一体で推進されたが、この労働時間の規制緩和こそが長時間労働・過労死を激増させた。これを教員にも適用するということは、今以上に過労死を促すことにほかならない。
 今回、政府・文科省が教員への導入を図ったのも、過重労働に対する教職員の怒りと、新自由主義の全面破産による体制的危機に直面し、人も増やさず、残業代も出さずに乗り切るためである。だから、給特法における、4%の教職調整額と引き換えに時間外労働を自主的活動とする「定額働かせ放題」の規定には、全く触れなかったのだ。

労基法解体の暴挙

 今一つ重大なことは、労基法を無視・抹殺する大攻撃であるという点だ。
 年単位の「変形制」の導入にあたっては、労基法の「1日8時間、週40時間」という最低基準を逸脱するため、いくつもの縛りがあり、労使協定の締結を必要とする。だから団体協約の締結を禁止されている地方公務員は、地方公務員法で適用除外とされてきた。
 だが改悪給特法は、労使協定ではなく、各自治体の条例で導入するというのだ。労使対等を原則とする労基法を解体する暴挙である。しかも教員から地方公務員全体への適用も狙われている。労働条件の根幹にかかわる労働時間規制をこのようなやり方で踏みにじることは、戦後労働法制を破壊する、全労働者にかけられた歴史的攻撃であり、関西地区生コン支部弾圧と一体の労働運動つぶしだ。
 さらに政府・文科省は、導入の条件として12項目もの「付帯決議」を盛り込んだ。これは「学校における働き方改革」を全面的に強行する「攻撃」である。

付帯決議も粉砕を

 「学校における働き方改革」とは、新学習指導要領に対応するために、「より短い在校時間で成果を上げた教師に高い評価を」と競争をあおり、国・財界のための人材育成を教職員に担わせる〝生産性向上〟運動だ。こうして教職員から団結と自由を奪った上で、今回、付帯決議において、罰則規定のない「時間外勤務の上限ライン(月45時間、年間360時間)の指針化」や、「在校時間の把握」を強調したことは、一層の管理強化をもたらす。

職場闘争の復権へ

 しかし、この闘いを通して教育労働者の決起が目に見える形で始まった。日教組本部の屈服方針を突き破る現場の怒りが「働き方改革」の欺瞞(ぎまん)を暴いている。「#先生死ぬかも」という無数の〝つぶやき〟を職場闘争に組織し、〝ブラック職場〟を変えられる時が来ている。ムダな仕事はいらない! オリ・パラ(五輪)の動員は返上! 多忙化させない職場、一人の仲間も見捨てない職場をつくるために団結して闘うことを訴えよう。それが条例化を阻む力だ。
 「変形制」阻止の闘いの中で、「教員は労働者である」という自覚が広がった。「8時間は労働に、8時間は休息に、残りの8時間は自分のために」という世界の労働者が闘いとった権利を教職員も行使し、人間らしく生きられる労働条件を確立しない限り教育も保証できない。8時間で仕事が終わるために、授業時数削減と正規職増員が絶対的に必要である。
 この労働者性を奪い日教組をつぶすことを本質とする給特法を廃止することは、組合解体攻撃を根底で打ち砕き労働者性を奪い返すことを意味する。それは職場闘争の復権と教職員組合の再生と一体だ。
 闘いはこれから。導入絶対反対! 条例化阻止の大闘争を職場分会から全国で巻き起こそう!
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