12・5学習会 監視社会化を止めよう 関生弾圧で盗聴を駆使

週刊『前進』04頁(3094号04面01)(2019/12/16)


12・5学習会
 監視社会化を止めよう
 関生弾圧で盗聴を駆使

(写真 森川文人弁護士と山本志都弁護士が講演し、熱気に満ちた学習会となった【12月5日 千代田区・弁護士会館】)

安倍政権の戦争国家化と闘う時

 香港で「覆面禁止条例」と監視カメラに抗してマスクで闘う青年たちの実力デモは、恐るべき監視と弾圧国家の実態を暴き出し、中国スターリン主義の支配を突き破って前進しています。この闘いと連帯し、日本でもIT・AI発展のなかで進む「監視資本主義」の動きに抗して、団結を固めて職場・地域から改憲・戦争阻止の大運動を爆発させよう。
 安倍政権は、デジタル監視社会の基盤としてマイナンバーカードを全民衆に強制しようとしています。これが集音・顔認証付き監視カメラや自治体・病院・企業の保有情報とネットワークでリンクされれば、国家によるビッグデータ=「膨大な個人情報」のリアルタイム監視が現実化しかねません。しかし、「国家による個人情報一元管理は違憲」という最高裁判決も出されており、「国民総背番号制」=マイナンバーカードの強制に対する反発が公務員職場などで高まっています。
 そのようななかで民衆の「反対の声」を圧殺しようとする攻撃として襲いかかっているのが、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧です。そして、そのために使われたのが、警察による連絡や通信への大規模な盗聴です。
 安倍政権は、「共謀罪」制定下、天皇・五輪警備をも通して、全ての民衆の動向を監視下に置き、たてつく者を弾圧し、労働組合を一掃して改憲と戦争へと突き進もうとしています。
 しかし、関西生コン支部弾圧への反撃が広がり始め、弾圧・分断を打ち破って香港や韓国民衆との連帯が進んでいます。
 12月5日に東京・弁護士会館で、「監視社会化は止められるか」と題して、現代の治安維持法と闘う会が主催する学習会が行われました。予想を超えた注目で、熱気に満ちた学習会となりました。

全民衆を監視し資本の延命図る

 前半の講演は森川文人弁護士が行いました。国家と資本による膨大な個人情報・ビッグデータの収集を、ジョージ・オーウェルが小説「1984年」で描いた監視国家の象徴「ビッグブラザー」という独裁者になぞらえ、これに私たちがいかに対抗しうるかと問題提起しました。
 国家と資本がAIをも使って膨大な情報を蓄積し、個人の趣向や思想傾向、犯罪可能性までも予測分析、ランク付けして社会的待遇の差別化を図るところまで進行している現実(アメリカではAIが犯罪者予備軍を抽出し警察が利用、中国では来年から「国民点数」を運用予定)をプロジェクタを使って説明しました。
 そして「プライバシーは『活動家』だけのものか」と提起しました。国家・資本の延命のために全民衆を監視しようとすることに対し、団結し広範な連帯で闘っていくことに展望があると考えさせる内容でした。
 次に、山本志都弁護士が「ネット監視に乗り出す治安機関と監視資本主義」と題して講演しました。
 元アメリカ国家安全保障局(NSA)日本担当職員だったスノーデン氏の暴露をもとにした、国家のIT監視体制の実態解明を軸にした提起でした。NSAはあらゆるネットワーク情報を収集しており、その情報を検索・分析するシステムを日本政府・防衛省にも提供している、また日本政府も内閣情報調査室主導で日米協力のもと莫大(ばくだい)な通信情報を収集している(2013年段階で1時間に50万件)、これまでの「対象者監視」という手法からすべてを収集するというあり方に国家戦略が転換している、と指摘しました。
 「地球上の全人口を監視対象とする」ことで軍事的・経済的優位に立ち、帝国主義的権益を獲得することでしか没落する支配階級の利益は守れないという、資本主義の行き詰まりのなかでの凶暴性の現れです。

労働者の団結の力を示し突破を

 いまや国家と資本は、顔認証システム、スマート家電、カード取引といった情報をビッグデータとして収集・管理し金もうけの重要な手段とする国際争闘戦にしのぎを削っています。
 それと連動して、活動家に対する旧来の公安的監視手法、またNシステム、DNAデータベース構築などの情報収集・監視に加えて、スマホなどを使用してのSNS、メールの送受信の収集や監視カメラなどでの監視を軸として、全民衆を治安対象として監視を全面化させてきています。それに対応して、「共謀罪」と通信傍受法改悪により盗聴・監視の全面的な合法化を進めてきているのです。
 係属中の、動労千葉への不当な家宅捜索に対する国家賠償請求訴訟で、当事者に一切告げることなくメールをサーバーから押収していることが明らかになっています。関西生コン支部弾圧でも膨大な通信内容が押収され、裁判で証拠として出されています。
 山本さんは最後に、こうやって監視を強化してきているのは「香港での闘いのように、人がつながりだした時に、どれだけのことができるかということを国家権力側が恐れているからだ」と指摘し、連帯した闘いで突破していくことを訴えました。
(現代の治安維持法と闘う会事務局)
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