三里塚反対同盟2020年の決意 市東さんの農地絶対守る 住民と共に第3滑走路粉砕へ

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週刊『前進』04頁(3098号03面01)(2020/01/13)


三里塚反対同盟2020年の決意
 市東さんの農地絶対守る
 住民と共に第3滑走路粉砕へ

(写真 12・14現地闘争&団結いも煮会に180人が参加し、市東さんの南台の農地からデモ)
(写真 「改憲阻止!1万人行進」で訴える市東さん【11月3日 東京・日比谷】)

 「空港絶対反対・農地死守」の原則を貫き、不屈の闘いを54年重ねてきた三里塚芝山連合空港反対同盟の方々から、2020年の決意が寄せられた。労農学連帯の力で市東さんの農地を守り抜き、成田機能強化を粉砕しよう。(編集局)

この地で農業続け闘う
 敷地内天神峰 市東孝雄さん

 みなさんの大きな支援を頂いて、2020年を迎えました。
 請求異議裁判の一審反動判決が18年12月に出されました。もともと期待していたわけではありませんが、この結果に落ち込んでいるひまもなく、12カ月全てを闘争スケジュールで埋めて闘い、その中で反骨心が芽生え、またがんばるぞという気持ちが大きくなる。そういう1年でした。だから敗北感は全然ありません。
 国もNAA(成田空港会社)も、土地を奪って私を追い出そうと焦っていますが、祖父・父から受け継いだこの地で、完全無農薬の有機野菜をみなさんに送り届けるために農業を続けていく決意は変わりません。
 安倍農政はカネになる農業だけを奨励し、日本農業全体を切り捨てようとしていますが、世界的には「小規模・家族農業」が、気候・環境・資源、食の安全性などの面から積極的に見直されてきています。
 空港は公共性があるという主張は今や根拠が失われています。成田で昨年10月にA滑走路の運用時間が深夜に延長になりましたが、Bで飛ばしていた便をAに回し、実際には増えていないものを増えたように見せかけているだけ。第3滑走路を無理やり建設するために住民をたたき出すことなど絶対に認められません。
 1月16日には東京高裁で請求異議控訴審の第2回が開かれます。耕作権裁判、他の裁判ともあわせて、必ずどこかで風穴を開ける気持ちで闘い抜きます。
 「国策」と闘う沖縄・福島と心を一つに、また父の時からゆかりの深い群馬をはじめ全国の方々と共に、動労千葉、関西生コン支部などの労働組合と連帯し、三里塚の闘いをさらに大きく広げたいと思います。

3・29集会に大結集を
 敷地内東峰 萩原富夫さん

 請求異議裁判の反動判決には、怒りで体が震えました。農地を奪って空港を造ることを当然と居直り、控訴審を闘う上での執行停止のためにさらに高額な担保金を要求してくる。こんな国家権力に絶対に負けるわけにはいかないと闘ってきた1年でした。ありとあらゆる手を尽くして今日まで農地取り上げを阻止してきたことは、重大な地平だと感じています。
 昨年9月に東京高裁で請求異議控訴審が始まりましたが、耕作権裁判はまだ千葉地裁で一審を13年続けています。さらに新やぐら裁判にも一層力を入れ、どこまでもねばり、判決の執行を阻み続けていくことが重要です。
 敵の方が弱点をさらけだしています。12月に空港機能強化=第3滑走路建設の公聴会が芝山で開かれましたが、形だけ整えてごまかそうとしている。公述人の大半は空港に利害をもつ企業関係者や利権団体。住民の怒りとまともに向き合うことができないのです。
 われわれは、70回を超す周辺地域一斉行動の中で、当初から第3滑走路が地域破壊、住民たたき出しであり、空港との共存共栄などうそであることを徹底的に暴いてきました。20年は、農地を守る闘いと機能強化との闘いが、いよいよ現場的な攻防として白熱化する年です。住民から反対の声が次々上がる中で、その怒りに寄り添い、共に闘いをつくっていきます。
 昨年は千葉が大きな台風被害に遭い、わが家も大変な状況になりました。単なる自然災害ではありません。全国で被災された方々の気持ちに共感し、人々の苦しみを放置し改憲・戦争へと進む安倍を三里塚から打ち倒す時だと決意を新たにしています。3・29全国集会への、みなさんの大結集をお待ちしています。

敵の意図粉砕する年に
 事務局員 伊藤信晴さん

 請求異議裁判控訴審第1回で市東さんが行った陳述を改めて読み直しました。「NAAは話し合いに努力した」「話し合いが頓挫したら強制執行していい」「小作者の権利には限度がある」などという一審の高瀬判決を、市東さんは全て完全に粉砕しています。そして自分の生き方、空港反対、農地死守の揺るぎない確信を誰もが分かるかたちで表明しており、感動を新たにしました。
 NAAは空港機能強化を進めるためにも市東さんの農地を奪って第3滑走路予定地の人たちに見せつけようとしていますが、そういう敵の意図を根底的に粉砕する年にしたい。
 成田空港は今、ドル箱の大手航空会社の国際線を次々と羽田に奪われ、LCCの拡大にしか延命の道がないという窮地に陥っています。その「羽田国際化」を国土交通省の航空局長として実行した田村がNAAの新社長に就き、インタビューに答えて「後始末のために成田に来た」「これから各航空会社に働きかける」などと語っている。あまりにも住民を無視した無神経な発言です。そんな空港のために住民の生活が犠牲にされることを絶対に許してはなりません。芝山町、横芝光町などの住民が力強く反対の声を上げていることに呼応して、反対同盟も全力で闘います。
 労働者にも労働組合の存在そのものを否定する攻撃がかけられています。関西生コン支部へのすさまじい弾圧、そして国鉄ではJR総連まで解体し、まさに「労組のない社会」をつくり、労働者を資本の完全な奴隷にしようとしている。その先にあるのは改憲と戦争です。反対同盟は、市東さんの農地を守り、空港機能強化=第3滑走路建設を許さず、改憲阻止決戦の最先頭で闘い抜きます。

本気の実力闘争に立つ
 事務局員 太郎良陽一さん

 請求異議裁判の反動判決を打ち砕くために、この1年を必死に全力で闘ってきました。一審判決直後には、「絶対にこの地を明け渡さない」との決意で多くの仲間と共に市東さん宅離れに泊まり込み、実力闘争の気概を示しました。
 そして、戦争・基地に反対し、国策と対決する各地域の闘いに可能な限り参加し交流を深めてきました。長崎県と佐世保市が建設をもくろむ川棚川の石木ダムに反対する闘いは、強制収用との直接対決の局面を迎え、住民のみなさんの決意をじかに感じてきました。
 三里塚もいよいよ、農地決戦と共に第3滑走路建設攻撃との大激突過程に入りました。資本が目先のもうけのためだけに住民・農民1千数百戸を追い出し、農地・山林・水系を破壊し、一帯をさらなる騒音地獄にする攻撃を絶対に許すことはできません。とてつもない自然破壊が全世界的に危機感を呼び、「地球が悲鳴を上げている」と若者たちが立ち上がっています。元凶は明らかに資本主義そのものです。資本主義を終わらせようという声が世界にあふれています。
 今、安倍政権は「桜を見る会」問題や身内の腐敗を次々とさらけだし、深刻な危機を迎えています。しかし、民衆が団結して闘いを組織しなければ自然に倒れることはありません。安倍を必ず倒しましょう。
 20年も、全国のさまざまな闘いとの連帯をさらに求め、市東さんの農地を絶対に守り抜きます。裁判闘争を全力で闘いながらその先の強制執行攻撃を見すえ、敵が嫌がることを徹底的にやる。反対同盟が本気で農地を守る実力闘争をやることで、空港機能強化と闘う住民との信頼を深め連帯を強化します。殺人的騒音と空港大拡張を絶対に阻止します。共に闘いましょう。

安倍政権を倒す先頭に
 婦人行動隊 宮本麻子さん

 2019年は安倍政権によって、天皇代替わり儀式、オリンピックキャンペーンなど、庶民の生活とは無縁なことに莫大(ばくだい)なお金が使われました。一方で地方は切り捨てられ、猛烈な台風15号の襲来時には、安倍政権は新閣僚の発表に浮かれ、森田健作・千葉県知事は芝山町にある自分の家で無為に時間を過ごしていました。人の命を粗末にする政権と行政に心から怒りを覚えます。
 成田空港機能強化は、住民の生活を押しつぶす攻撃の最たるものです。一斉行動で地域を回ると、「寝室だけ防音の二重窓にしても、外に出たら同じ」「台風で電気が止まり冷房が使えず、窓を開けるとすごい騒音だった」という怒りの声が相次ぎました。
 造られようとしている2本の3500㍍滑走路は、明らかに軍事転用をにらんだものです。幕張では11月に武器の見本市が開かれ、安倍政権の戦争・改憲政策が一層あからさまになっています。「軍事空港阻止」を掲げて闘います。
 星野文昭さんには、元気になり三里塚に来てほしいと念願していたのに、昨年亡くなられたことは本当に悔しく残念です。暁子さんと共に徳島刑務所の責任を追及し、文昭さんの遺志を継いで必ず三里塚闘争に勝利したいと思います。
 杉並区議選では、洞口朋子さんの素晴らしい勝利が実現しました。若者の心をつかみ、地域と密着して先頭に立つ洞口区議の活躍に心から期待します。
 高線量地域への帰還強制と東海第二原発などの再稼働を許さない反原発の闘い、辺野古新基地建設を阻む沖縄の闘い、全国・全世界の闘いと連帯し、安倍政権を一刻も早く打倒しなければと思います。

若者との合流に未来が
 婦人行動隊 木内敦子さん

 この間、市東さんの農地をめぐっていざ決戦となった時に現地に駆けつけてもらうために始めた「天神峰カフェ」が、回を重ねるごとに盛況で、大きな手応えを感じています。羽田空港の機能強化による都心上空の低空飛行に反対する住民、東海第二原発再稼働に反対する住民、映像作家や演劇の方など多彩な人も現地に来られて、有意義な出会いがつくられました。
 反対同盟がこれまで訴えてきた通り、空港との「共存共栄」ではなく農地を守って闘うことでしか自分たちの生活を守れない、そこに正義があるということが多くの人に浸透してきた実感があります。私たち自身が、敵によってつくられた三里塚闘争の固定的なイメージを打ち壊して前進していることも大きいと思います。市東さんが自分の農地を守って闘っている姿は、世代を超えて多くの人たちに響くと確信しています。
 今の20代の人々は、震災・原発事故以後のデモを見て育った世代。そういう若者がこれから行動するという期待がすごくあります。グレタ・トゥーンベリさんたちの飛行機に乗らない運動もトレンドになっています。環境問題とも深くつながり、若者たちの運動と合流することに、三里塚の未来もあると思います。
 中核派もこの1年で大胆に変わったんですよね。規制を設けず若手を大胆に起用し、意見を取り入れて自由にやらせ、失敗しても年配者が軌道修正したらいい。時代の変化を見逃さず自分たちも変わり、時代の最先端のさらに先を進んでほしい。だって三里塚に人生をかけて闘った人がたくさんいる中核派じゃないですか。期待しています。

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