オリンピックは中止しかない 新型肺炎の拡大は政府による人災だ 命と生活を守るため職場から闘おう

週刊『前進』04頁(3112号01面01)(2020/03/02)


オリンピックは中止しかない
 新型肺炎の拡大は政府による人災だ
 命と生活を守るため職場から闘おう


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 「桜を見る会」をめぐる不正・腐敗、IR疑獄、検事長定年延長問題などで追いつめられてきた安倍政権を、いよいよ「命を守るために」打倒しなければならない情勢がきた。新型コロナウイルスの感染拡大に対する安倍政権の人命軽視の対応は、治安と体制維持を一切に優先させた国家犯罪だ。すでに開催が危ぶまれている東京オリンピックをあくまでも強行するため、感染の実態をなるべく小さく見せようとして十分な検査もやらないつもりなのだ。命を犠牲にしたオリンピックなど中止以外にない。3・11反原発福島行動と3・22新宿デモに怒りの声を結集させよう。命と生活を守るために全国の職場で闘いを開始しよう。

人命軽視する「基本方針」

 新型コロナウイルス(COVID―19)の感染が広がる中、先月25日に日本政府が発表した「基本方針」は、「社会や経済への影響を最小限に抑える」ことを主目的とし、症状が軽度の人には検査・治療よりも「自宅療養」を勧めるという内容だ。速やかな大規模検査の実施による感染者の特定、隔離による感染拡大防止、重症者の治療だけでなく軽症段階で発見して重症化を防ぐなどの措置が求められているにもかかわらず、それらの方策は何も盛り込まれなかった。
 「基本方針」は、「ウイルス検査は、感染者をすべて把握する目的から、入院を要する肺炎患者の治療に必要な診断をするための検査に移行していく」としているが、韓国では26日までに全国492カ所の検査場で5万4千件以上(1日あたり5千〜6千件)の検査を実施、それによって確認された感染者の数も激増しているのに、日本では検査件数すら把握できない状態がしばらく続き、18日以降になってようやく1日あたり900件程度の検査が行われるという状況だ。政府はオリンピック開催に支障をきたすことを恐れ、積極的に検査をしないことによって感染者数を極力小さく見せようとしているのだ。福島の甲状腺検査を「過剰診療」として縮小しようとするのと同じ論理だ。安倍政権はオリンピックによって自らの延命を図り、改憲までこぎつけようとあがき、そのために労働者民衆の命や健康など平然と切り捨てようとしているのだ。こうした政府方針に「国民を見捨てるのか」と怒りの声が上がっている。
 福島原発事故の被害を隠蔽(いんぺい)し、放射線被曝を強制し、さらには新型コロナウイルスの感染拡大をごまかして強行するオリンピックなど、断じて認めるわけにはいかない。今や「東京オリンピックを中止しろ!」が日本と世界の圧倒的多数の声になった。命を守るため、声を上げ行動するのは今だ。感染拡大防止に互いを気遣いながら、怒りをひとつに集めよう。3・11反原発福島行動、3・22新宿デモに集まろう。腐敗しきった安倍政権を打倒し、オリンピックを中止に追い込もう!

韓国・テグの医師団が声明

 今、全世界の医療労働者は必死に現場で奮闘し、病院当局・政府に対し「命を守る闘い」に立ち上がっている。この現場からの闘いの中に、私たちの希望と具体的な行動の指針がある。中国の医療労働者は処分を辞さずに感染の事実を公にした。香港の医療労働者は感染予防対策と、過酷で危険な医療現場の改善を求めストライキに立ち上がっている。
 韓国では先月23日、すでに確認された感染者の数が300人を超えたテグ市の医師団が声明を発表し、感染者の早期発見と適切な医療のための物的人的支援の拡充を政府に求めた。現場医療労働者の声を取り入れたこの声明では、専門家や医療現場の実務者などが協議する体制の整備、病床の拡充、人材・物資の確保、感染症に弱いとみられる障害者・路上生活者・移住労働者といった人々が迅速な検査を受けられるよう措置をとること、医療労働者を感染の危険から防護し、とりわけ非正規職労働者が防護措置において差別的な待遇を受けないようにすること----など9項目の要求が列挙されている。
 さらに声明は「テグ市はこの間、一番幸せな医療特別市〝メディシティテグ〟と自慢してきた。しかし新型コロナウイルスの拡散を前にその恥ずかしい素顔が如実にあらわれた。医療を利用して金をもうける工夫だけをして、感染病拡散に備えたインフラ構築と地域公共医療の拡充を冷遇してきたテグ市が今日、市民に大きな苦痛を転嫁している」「今、テグに必要なのは〝素敵な新庁舎〟ではなく、市民の生命を強硬に守る〝正しくなされた公共医療〟だ」と弾劾している。
 日本の医療現場でもすでに闘いは始まっている。とどまることを知らない感染の拡大と犠牲者の増加は、新自由主義のもとで進んだ医療の崩壊と安倍政権の人命軽視の対応によってもたらされた人災だ。これほど被害が広がっているにもかかわらず、多くの労働者は満員電車で出勤することを余儀なくされている。個人事業主や非正規労働者は収入を失って生活の破綻に直面している。このまま黙っていればさらに多くの人々が命と生活を踏みにじられる。現場で闘う医療労働者を先頭に、今こそ労働組合のもとに団結して生きるための闘いに立ち上がろう!

3月決戦で安倍を倒そう

 新型コロナウイルスの全世界への感染拡大は、「中国発」であることも相まって世界経済に大打撃を与え、世界同時株暴落をも引き起こしている。世界経済の分裂と収縮、大恐慌の危機がますます深まっている。米中貿易戦争を中心に、国家間の生き残りをかけた衝突は不可逆的に激化していく。こうした情勢に追い立てられて、安倍は改憲・戦争とそのための労働組合つぶし、治安弾圧に突進している。
 「労組なき社会」を狙うJRの攻撃と全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧は、こうした時代に社会変革の柱となる労働組合をたたきつぶそうとする攻撃だ。これに対し2・16国鉄集会は、新自由主義の出発点となった1987年の国鉄分割・民営化をあらためて断罪し、分割・民営化に伴う不当解雇撤回の闘いをあくまでも貫徹すること、そして関西生コン支部への弾圧を絶対に打ち破ることを誓った。
 この闘いに続き、JR東日本が狙う運転士・車掌職名廃止に対し、動労千葉と共に反対の声をあげよう。3・11反原発福島行動と一体で、福島第一原発直近の常磐線を全線開通させる3・14ダイヤ改定を許さず、動労水戸と共に抗議闘争を闘おう。3月15日の「関西生コン労働組合の弾圧を許さない東京の会・結成集会」を成功させ、全国に関生支部支援の組織と運動をつくろう。国鉄・関生決戦を中軸にあらゆる産別・職場から20春闘を闘い、この時代に通用する新たな労働運動をつくり出そう。
 無実の星野文昭さんを獄死させた国家権力に対する国家賠償請求が2月21日に提訴された(前号既報)。星野さんの遺志を継ぎ、国賠勝利へ共に闘おう。
 差別・抑圧、分断との闘いは、労働者・労働組合の闘いと団結を何倍にも強める。本紙3109、3111号掲載の「狭山事件--この権力犯罪を許すな」を武器に石川一雄さんの再審無罪をかちとろう。3・22新宿デモに先立って行われる狭山中央闘争--東京高裁包囲デモ(呼びかけ/全国水平同盟、部落解放東日本共闘会議)に集まろう。入管体制による分断を打ち破り、外国人労働者・難民との団結をつくり出そう。3・8国際婦人デー集会・デモを全国でかちとろう。
 市東さんの農地強奪・強制執行と成田空港の「2倍化」ともいえる拡張を絶対に許さず、請求異議裁判控訴審から3・29三里塚全国総決起集会に集まろう。こうした改憲・戦争をめぐる攻防と職場の一つひとつの闘いを一体化させ、安倍打倒の3月決戦を闘いぬこう!

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