コロナをめぐる攻防の焦点 公務員労組は闘いの先頭に 公的事業は社会支える基盤だ

週刊『前進』04頁(3120号02面03)(2020/03/30)


コロナをめぐる攻防の焦点
 公務員労組は闘いの先頭に
 公的事業は社会支える基盤だ


 新型コロナウイルスの感染が拡大し、公的事業の果たすべき役割が攻防の焦点になっている。病院や保健所、保育所、学校、介護施設など全てが命と生活の基盤となる存在だ。公務員労働組合の社会的使命は明らかである。施設の統合・廃止、民営化・非正規職化、大量解雇を許さず、全労働者の先頭で闘おう。

公的医療・福祉を守れ

 3月22日、改憲・戦争阻止!大行進はデモの前に新宿駅南口大演説会を開催。東京の自治体労働者は都立病院や保健所の職員がコロナ対策で懸命に仕事をしていることに言及した。
 都立病院や保健所の存在なしに命は守れない。そのことが再認識されている。ところが小池百合子都知事は14ある都立・公社病院を地方独立行政法人(独法)化して資本の論理を本格導入し、全職員を非公務員化する計画を3月中にも確定しようとしている。
 全国の保健所も医師のいない保健センターに次々と格下げ・統合されてきた。1992年に852あった保健所は19年には472に45%も減らされた。業務の要となる保健師が大幅に削減される一方、非正規職化と民間委託がどんどん進められている。自治体の仲間はこうした攻撃を激しく弾劾し、労働者住民の先頭で闘う決意を表明した。

闘う組合を再生し立ち上がろう

 保健所・福祉などの現場で、公的部門を担う公務員の労働組合が今こそ先頭で闘うべきだという議論が始まった。マスクや消毒液などの物資、必要な人員の確保をはじめ業務遂行のために絶対必要な要求が職場から上がっている。動こうとしない執行部を乗り越え、闘う労働組合をつくり出す機運が広がっている。
 医療・介護や保健衛生、福祉、保育や教育、清掃、上下水道などは社会を支える公的事業だ。それが経費削減・効率化を口実に民営化・非正規職化され縮小され続けてきた。職場では過重労働・長時間労働が日常化し「やりがい搾取」を強いられている。それでも業務が追い付かない状況に陥っている。災害のたびにそれが問題にされてきた。
 「コロナ自粛」をぶっ飛ばす3・22新宿デモでは多くの飛び入り参加があり、「戦闘機(軍事費)でなく公立病院増やせ」という訴えが共感を呼んだ。公立の全施設・全事業を直ちに復活・拡充させなければならない。民営化阻止・非正規職撤廃は急務であり、万人が必要とする正義の闘いだ。闘う労働組合の再生をかけて反転攻勢に立とう。

年度末大量解雇許すな

 コロナの感染拡大と世界恐慌の進行、東京五輪延期をも契機とする大量解雇との攻防が本格化している。ホテルや旅館、バス・航空・鉄道、工場をはじめ全産別で大リストラ攻撃が始まっている。労働組合の真価を発揮すべき時だ。攻防の最先端は国鉄1047名解雇撤回の闘いと共に、自治体での会計年度任用職員制度による年度末解雇・労組破壊との闘いだ。
 4月導入の会計年度職員制度は、継続雇用の実質的権利を得てきた臨時・非常勤職員を1年で解雇、試験か評価で選別採用、毎年1カ月の試用期間で首を切れるようにする、究極の無権利・低賃金、団結破壊の攻撃である。
 非正規職はすでに全体の4割、職場によっては10割に達している。それをさらに総非正規職化することが狙われている。福祉や保育、現業をはじめ経験が不可欠の業務を細分化しマニュアル化して1年雇用、パートタイム化。委託できるものは切り売りし放り投げる。AI(人工知能)・ロボットに置き換える——。そんなことをしたら業務は総破綻する。会計年度職員制度粉砕、民営化阻止・非正規職撤廃は社会の未来のかかった闘いだ。
 全国の自治体で、新制度導入による年度末解雇との闘いが始まった。とりわけ奈良市従業員労組の攻防が焦点となっている。2月28日、奈良市教育委員会は安倍政権の「コロナ一斉休校」に乗じて、奈良市内の小中学校業務員の臨時職員30人全員を3月末で解雇すると通告してきた。3月16日、市役所前で解雇通告当該を先頭に50人の座り込みが闘われた。座り込みは23日にも行われ、闘いはさらに拡大している。

賃金保障し公立に戻せ

 一斉休校と施設の閉鎖で委託先の学校の給食調理や施設管理、美術館をはじめ膨大な非正規職や個人請負、シルバー人材センターの労働者の収入が断たれている。全労働者の賃金保障を求める闘いが必要だ。
 3月12日、イタリアの職場労働組合同盟(25万人)はコンテ政権に対し32時間ストを宣言。コロナウイルスとの闘いに関連する業務を除く全産業活動の停止、賃金の全額保障、危険に対する必要措置を求めた。「政労資協議に参加した体制内労組のかたくなな沈黙」に対し、「労働者市民を守るのは団結と集団的な知恵」「民営化された医療施設を公共の利益のために戻すべき時だ」と訴えている。闘いは拡大し、全員参加の職場集会、工場委員会の団結の力でゼネストへ発展している(3面参照)。
 世界の闘いに続き組織労働者が先頭で闘おう。社会の変革をかちとろう。
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