コロナ危機突破の力は労働組合に 安倍を倒して命を守れ! 医療労働者は先頭に立つ 革共同医療福祉労働者委員会

週刊『前進』04頁(3124号02面01)(2020/04/13)


コロナ危機突破の力は労働組合に
 安倍を倒して命を守れ!
 医療労働者は先頭に立つ
 革共同医療福祉労働者委員会

(写真 「アベたおせ!3・22新宿デモ」に参加した全国の医療介護福祉労働者)

「命より金」で病床も削減

 「医療を壊してきたのは安倍だ!」「マスクをよこせ!」「都立病院・公立病院をつぶすな!」。3月22日、全国の医療介護福祉労働者が白衣に身を包み、新宿デモの先頭に立った。新型コロナウイルス感染症の拡大のただなかで、命を守る最前線にいる私たちこそが安倍打倒の先頭に立つことを宣言する。
 ついに日本でも医療崩壊の重大局面に突入した。新型コロナの感染者が最も多い東京都内の感染症指定医療機関の病床数はわずか118床。激増する都内の感染者数は1千人を超えた。
 病床数だけでなく、現場ではマスクも防護服も足りない。重症者の集中治療を行うICU(集中治療室)も足りない。ドイツではICUのベッド数が人口10万人あたり29〜30床であるのに対し、死亡率が11・7%と高いイタリアは12床。そしてイタリアよりも高齢化が進む日本ではわずか5床。ICU治療に必要な看護師配置、人工呼吸器を扱える医師も不足している。
 この破局的事態は、30年以上にわたる新自由主義による医療破壊の結果だ。
 1983年に厚生省保険局長の吉村仁が発表した「医療費亡国論」以来、徹底して医療費抑制・病床削減が行われてきた結果、OECD(経済協力開発機構)平均と比較して日本の医師数は12万人も少ない。同時に、医療現場や保健所の民営化と非正規職化が進められてきた。
 とりわけ安倍政権は医療分野を「成長戦略」の要とし、資本が寄ってたかって食い物にしてきた。これらが、感染症対策に最低限必要なウイルス検査すらまともにできないという世界的にも異常な状態に日本社会をたたき込んできたのだ。
 何より許せないことに、新型コロナ感染拡大さなかの3月、安倍は公立公的424病院の再編・統合を進める予算案を成立させた。1割以上の病床を削減する病院に84億円の補助金を出すというのだ。また小池東京都知事は、都立・公社病院の独立行政法人化方針を正式決定した。巨大な利権のからんだ五輪の開催に固執したあげく、感染者があふれるこの状況下で病床を削減し、民営化する! 「命よりもカネ」の最悪の権化=安倍・小池を絶対に許すことはできない。
 社会を社会として成り立たせることすら放棄した安倍・小池らが出す「緊急事態宣言」は、「自粛」の名による一切の補償拒否と治安対策でしかない。全世界の労働者の団結した力だけがこの危機を乗り越えられる。安倍政権を倒し、腐りきった社会を根本からつくり変えよう。「限りある医療資源」という資本の論理のもとで命の選別が強制されている壮絶な医療現場の中から、団結した闘いで革命の火の手を上げる時だ。

八尾北の実践から学ぼう

 1918〜20年の「スペインかぜ」大流行以来と言われる新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に対して、どう考え行動するべきか。戦後直後からの無産診療所運動の原点を学び実践することが重要だ。
 日帝の感染症対策は、隔離・差別―抹殺の治安対策として貫かれてきた。1907年に「らい予防法」の前身となる法律が作られて以来、今も全く変わらない。安倍政権がやっているのは、「自粛」という名の棄民政策そのものだ。
 1947年に天然痘が大流行した時、隔離された大阪府八尾市西郡では子どもを中心に200人もの死者が出た。その怒りと悔しさのなかから、住民が私財をなげうって51年に西郡平和診療所(八尾北医療センターの前身)を建設。住民と医師・医療労働者が一体となって生ポリオワクチンを府下で初めて接種させ、特定検診無料化と検査内容の充実をかちとるなど、生きるために必要なものを奪い返し守ってきた。
 「八尾北医療センターのめざす医療」は、①「病気は個人の責任ではない。本来、人には自然治癒力・助け合う力がある」②「病気になる前の予防、早期発見・早期治療」③「共同、協同でつながる医療」を掲げ、新自由主義医療を批判し本来の医療を取り戻す闘いを展開してきた。
 末光道正院長は「みんなでつくった八尾北は、病気の原因は何かを考え、健診・検診に力を入れた早期発見・早期治療を共同で行ってきた。『自分たちが主人公、自分たちが主治医』の誇りを団結に変え、生きるため、すべてを奪い返そう」と訴えている。現在、医療・自治体労働者が一体となって地域を動かし、「保健所を増やせ、人員を補充しろ」と要求する行動が始まろうとしている。
 命を守るための団結した闘い、医師と医療介護福祉労働者のネットワークを全国各地でつくり出そう。

労組の闘いが未来を開く

 命と必死に向き合う医療介護福祉労働者が職場で団結し地域に打って出た時、「命より金」の腐りきった社会を根底からつくり変える展望は切り開かれる。
 医療崩壊的事態のなか、現場労働者は院内感染のリスクと背中合わせで、命を守るために必死に闘っている。指定感染症と闘う都立病院ですら、コロナウイルス肺炎疑いの患者対応をする職員にもサージカルマスクは1日1枚の使用制限がされている。都庁職病院支部は、都立・公社病院の地方独法化の撤回とともに、PPE(マスクやゴーグル、手袋などの個人防護用具)の十分な確保、人工呼吸器の拡充などを要求して闘っている。
 感染症指定医療機関以外の民間医療機関でもコロナウイルス患者の受け入れが急速に進んでいるが、急ごしらえで体制はまったく不十分だ。ある病院では、1つの階のみを「コロナ入院病棟」とする資本の発表に対して、組合の活発な論議に基づき、感染拡大防止のために区域管理(ゾーニング)徹底を求める要請行動に入っている。
 高齢者施設での感染拡大と介護崩壊も現実化している。特別養護老人ホームなどの介護施設、さらに障害者などの福祉作業所においても、労働者と利用者が団結して安全を守り抜く懸命な闘いが展開されている。
 訪問介護事業所の職員が感染し、事業所の休止によって地域の高齢者が放置される状況も起きている。その場合の介護労働者の休業補償も死活的だ。
 厚生労働省は、濃厚接触が疑われる利用者に対しても訪問介護ヘルパーを送るように指示している。高齢者への検査も診療もせず、感染してでも訪問介護をしろというのだ。
 無権利・未組織の介護現場でこそ、命を守るためにストライキ(就労拒否)や安全対策・休業補償の要求に立つ時だ。職場に労働組合をよみがえらせ、また地域の合同労組に組織しよう。
 「政府は解決能力がなく病気を拡大している。私たちは助け合って病気を食い止める」とストライキに立った香港をはじめ、全世界の医療労働者の闘いにこそ未来がある。日本の医療介護福祉労働者も熱い連帯を込め、その道を進む。人類史の転換点となる2020年、5・1メーデーを全世界の労働者の団結の日として闘おう。
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