福祉拒む「水際作戦」やめろ 職員も超長時間労働で疲弊 命を守る自治体労組の闘いを

週刊『前進』04頁(3144号02面03)(2020/06/29)


福祉拒む「水際作戦」やめろ
 職員も超長時間労働で疲弊
 命を守る自治体労組の闘いを


 コロナ危機による大量解雇・失業で、生活保護や家賃補助、緊急貸付の申請が福祉の窓口に殺到。人員削減で残業が月246時間など過労死ラインをはるかに上回る状況の中で業務が滞ると共に、申請を拒む「水際作戦」が横行している。自治体職場の労働環境と住民の命を守る労働組合の闘いが求められている。

月間246時間の残業も

 生活保護の相談や申請が増え続けている。緊急事態宣言は解除されたが、状況は悪化。「何日も食べ物を口にしていない」「野宿するしかなくなった」。困窮者から切迫した声が寄せられている。
 しかし自治体職場ではコロナ対策で激化する人員不足により過重労働・長時間労働が蔓延(まんえん)。コロナ対策に従事した兵庫県と神戸市の管理職を除く職員700人のうち「過労死ライン」の月80時間の残業を超えた職員は3、4月時点でのべ109人。最多は246時間(3月)で、この職員は4月も残業207時間、2カ月間休みがゼロだった。「職場が崩壊寸前」の状況下で、京都の保健所労働者が「限界ぎりぎりの現場の団結を」(『国際労働運動』2020年7月)と訴えるとおり、労働組合の闘いが今ほど求められている時はない。
 都内の福祉職場でも、窓口に殺到する住民の対応で月187時間の残業を強いられた職員が出た。多くの自治体で、こうした深刻な人員不足と超過重労働で業務が滞ると共に、人材派遣大手パソナなどへの委託で窓口経験のない職員が増えて的確な対応ができなかったり、意図的に申請受付の敷居を高くして拒む「水際作戦」が繰り返されたりしている。
 「もともとオーバーワークの福祉事務所は窓口対応の職員が減少し、殺到する困窮者を追い返す方向になっている。水際作戦はもっての外。本来は困窮者の助けになるような制度利用を促すべきだ」との声が上がる。生活保護や家賃を補助する住居確保給付金の申請だけでなく、社会福祉協議会(社協)の生活困窮者向け現金貸付制度(最大20万円)などでも同じ事態となっている。首都圏の人口数万人の市の社協では、わずか数人の職場に数百人の申請者が訪れ、てんてこ舞いの状況になっている。

小池の「稼ぐ東京」発言に怒りが噴出

 安倍首相は6月15日、野党議員に追及されて生活保護を「ためらわずに申請してほしい」と口先ばかりの国会答弁をした。しかし安倍政権は13年から生活保護基準の引き下げを強行。自民党議員・片山さつきや元経済産業相・世耕弘成らを筆頭に受給者を「犯罪者」のように攻撃するキャンペーンが進められ、生活保護の締めつけと「水際作戦」が続けられた。生活保護が打ち切られて路上生活に追い込まれたり餓死したりする事態が繰り返されてきた。その現実がコロナによる命の危機の中で一層あらわになっているのだ。
 さらに小池百合子都知事は、7月都知事選の出馬表明で「都民の命を守ると同時に、経済をよみがえらせ『稼ぐ』東京を実現する」と語った。しかし小池は「命を守る」どころか、利権で「稼ぐ」ことが全てだ。休業補償や安全対策を拒否する一方、経費=利権が4兆円に膨れ上がろうとしている東京五輪と都立病院つぶしの地方独立行政法人化(独法化)をコロナ下であくまで強行しようとしている。困窮者支援の炊き出し行動に対しても、都庁の敷地から出ろと妨害している。こんなことが許されるか! 小池支持に回った連合東京に対し、現場組合員からも怒りの声が激しく噴出している。今こそ安倍・小池打倒へ闘おう。

職場支配権を握る闘いに

 コロナ下での新自由主義攻撃、人員削減と過重労働、民営化・民間委託、非正規職化、組合つぶしを絶対に許さない。自治体労働者・労働組合が、自らの労働環境・労働条件を守り、労働者住民の命を守るために力を発揮する時が来た。反転攻勢に立とう。
 すでに全国の自治体職場で闘う労働組合が奮闘している。会計年度任用職員制度導入による雇用・賃金破壊、労働者分断と闘って攻撃を押し返し、執行部の強化と多くの新規加入・新規採用労働者の加入をかちとっている。同時に安倍の改憲・戦争攻撃を阻止する大運動の先頭で闘っている。
 コロナ危機が「新自由主義は悪」という本質を明らかにした。もはや当局の「効率化・合理化で福祉や安全は切り捨て、民間委託と非正規職を拡大する」というやり方は通用しない。
 鉄道事業における動労千葉などの反合理化・運転保安闘争が職場全体の正義の闘いの結集軸となっているように、全職場で反合理化・安全闘争を進めよう。労働組合の団結で現場の切実な要求をまとめ、当局・資本の分断支配を圧倒し粉砕して力関係を変えよう。職場支配権を奪い返そう。新自由主義を打ち破る階級的労働運動の前進を現場からつくり出そう。
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