香港 ゼネストに向け国民投票 国家安全法阻止へ労組拡大

週刊『前進』04頁(3144号02面04)(2020/06/29)


香港
 ゼネストに向け国民投票
 国家安全法阻止へ労組拡大

(写真 開票・集計作業を行う3スト陣線の労働者たち【6月20日 香港】)

 6月20日、「国家安全法」に反対する全香港ストライキの実現をめざし、昨年秋以来結成された30の労働組合からなる「200万3ストライキ(労働者・学生・商店の三つのスト)労働組合連合陣線」と、中高生の団体「中学生行動準備拠点」が、香港各地に23カ所の投票所を設けて「国民投票」を実施した。同日、中国で開催されていた全国人民代表大会常務委員会(以下、常務委員会)では香港での国家安全法が審議されていた。国民投票は、これを真っ向から迎え撃つ行動として行われたのだ。
 投票は午前10時から午後8時までとされていたが、夕方以降に投票に来る人が増え、一部の投票所では午後9時まで延長となった。それでも投票できない人も出るほどだった。
 重要なのは、この投票が各労組の組織拡大闘争として行われたことだ。投票権は参加労組の組合員に与えられ、「労組に加入して投票しよう!」との呼びかけがなされた。ある組合は投票までの2週間で7割の組合員の増加を勝ち取ったという。全体でも労組組合員は21・4%も増加した。
 ①国家安全法反対、②国家安全法反対ストの二つに対する賛否を問う投票の結果、総投票数は8943票に達した。①が賛成98%、反対1・72%、棄権0・28%であり、②が賛成95・4%、反対1・66%、棄権2・9%であった。
 ネットも駆使した中高生の投票でも、総数は1万票を超え、国家安全法反対、スト賛成が多数を占めた。
 香港ホテル労働組合の委員長は開票結果を受けて、「今日、投票へ向かう長い労働者の列と、その場で労働組合に加入する姿を見た。スト発動基準の投票者数6万人に至らず、基準が高すぎるという意見もあるが、これは全労働者の5%だ」と述べた。そして、「今回は新しい労働組合運動の第一歩にすぎない。新たな労組加盟者は20%を超えて増加し、多くの人々が立ち上がろうとしている。新労働組合と中高生が提起した国民投票は新たな抵抗の路線であり、この開始は将来の成功の礎であることを信じよう」と訴えた。
 また新公務員労組の委員長は、同労組の総投票数は1191票であったと報告。うち「99%が国家安全法を危惧(きぐ)し、86%が反対闘争に賛同し、96%がスト基金を立ち上げることに同意している。(国家安全法で公務員に強要されようとしている)基本法擁護と香港政府への忠誠宣誓に98%が反対している」と組合員の意思を紹介した。
 「中学生行動準備拠点」の代表も「今後中学生はさらに闘いを進め、孤立せずに労働者と連帯して暴政に抵抗しよう!」と訴えた。
 中国政府は同日、国家安全法の内容を発表。香港政府が国家安全委員会を設置するのみならず、中国政府自身が直接「国家の安全を守るための機構」を香港に設けること、国家安全法に関する事件の裁判官を香港行政長官が任命することなどが示された。「一国二制度」を完全に葬り去ることを狙うものだ。
 今回の「国民投票」をもって、全香港ゼネストへの一歩が踏み出された。中国政府は常務委員会を6月28〜30日にも開催し、国家安全法を可決しようとしている。香港の労働者・学生と連帯して闘おう!
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