解雇自由化狙う「ジョブ型雇用」 大失業と対決する労組の団結を

週刊『前進』02頁(3156号02面04)(2020/08/20)


解雇自由化狙う「ジョブ型雇用」
 大失業と対決する労組の団結を


 コロナ危機による大失業は、この夏から秋にかけてさらに拡大しようとしている。すでに膨大な数の労働者が職を奪われ、生活苦にあえいでいる。これは一層深刻化する。これまでかろうじて持ちこたえていた産業や、休業という形で雇用を維持していた企業が、雪崩を打つように解雇に着手する状況が迫っている。
 総務省が発表した6月の労働力調査では、完全失業者は195万人で、5カ月連続で増加した。解雇などの「非自発的離職者」は、2月36万人、3月41万人、4月49万人、5月54万人、6月61万人と月ごとに増えている。コロナ感染症の拡大が収まらない中で、解雇がさらに増大することは避けられない。
 「希望退職」という名の実質的な解雇も、今年に入って52社の上場企業が実施した。退職に追い込まれた労働者は合計9323人にのぼる。これは2008年のリーマン・ショック時以来の水準だ。

成果主義賃金への全面一斉転換狙う

 こうした大失業の圧力のもと、資本はいつでも労働者を解雇できる「解雇自由」の状態を定着させるために動き始めた。その手段となっているのが「ジョブ型雇用」の導入だ。
 ジョブ型雇用とは、従事する職種や働く地域を限定して労働者を雇用する制度だ。従事する職種が外注化されて企業の中からなくなれば、労働者は直ちに解雇される。地域に事業所がなくなった場合も即解雇だ。
 ジョブ型雇用の導入は、これまでは大抵、新規採用の労働者にその制度を適用するという形で行われてきた。こうして、正社員が退職する度に非正規職への置き換えが進んだ。
 しかし、コロナ危機下で攻撃の様相は完全に変わった。資本は、今いる正社員を一斉に「ジョブ型雇用」に転換する攻撃に乗り出している。その先頭に電機大手の日立や富士通、通信大手のKDDIが立っている。KDDIは1万3千人の正社員全員をジョブ型雇用にすると発表し、日立も国内で働く労働者の7割の2万3千人にこの制度を適用すると打ち出した。
 その狙いは、解雇を自由にするだけでなく、賃金体系を抜本的に改悪することにある。資本は、労働者が従事する職種が限定されることを口実に、賃金を「職務の達成度」に応じて支払われる形に変えるという。賃金は労働時間に応じて支払われるものではなくなり、資本による恣意(しい)的な評価によって決められるものになる。
 KDDIは、従事する職種の違いにより、初任給の段階で賃金に2倍の格差がつく場合もあるという。成果主義賃金で労働者を徹底的に分断するのだ。

行きつく先は全員のフリーランス化

 この攻撃は、「テレワークに労働時間管理はなじまない」という言い分で強行されている。労働時間規制も撤廃されれば、行きつく先はフリーランス化=個人事業主化だ。正社員はもとより雇用や労働者という概念もなくし、資本は使用者としての責任を免れるのだ。コロナとテレワークを口実に、資本はかねてから狙っていた攻撃を一挙に成し遂げようとしている。
 他方、生活に不可欠でテレワークにはできない多くの業務を非正規職労働者が担っている。その非正規職労働者には、これまで以上の大失業攻撃が襲いかかる。職を得ても、いつまで続くか分からない。今でさえ生存ぎりぎりの賃金はさらに下げられ、場合によってはその支払いも滞る。
 だが、この現実の中から労働者は団結を取り戻し、資本への反撃に立つ。そうしなければ生きていけないからだ。労働組合を再生させる時は、まさに今だ。
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