関西 労組を軸に医療破壊と闘う 地域医療交流会の地平と総括

週刊『前進』04頁(3159号02面03)(2020/08/31)


関西
 労組を軸に医療破壊と闘う
 地域医療交流会の地平と総括

(写真 地域の医療・福祉労働者を先頭に多くの参加で、画期的な交流会がかちとられた【8月1日 大阪市】)

 「新自由主義の医療破壊と闘い、コロナの感染拡大に立ち向かおう」と呼びかけて大阪市で開催した8・1地域医療交流会は、苦闘する医療・福祉労働者が新たに結集し、「新自由主義の中でも労働組合を軸に闘えば地域医療を奪い返せる」という勝利の展望をがっちりとつかめる画期的な集会となりました。

「地域と共に生きる」ことにかけた

 昨年7月7日の八尾北医療シンポジウムを契機に、高槻医療福祉労組、八尾北医療センター労組など地域の仲間と共に8・1地域医療交流会がかちとられました。戦後革命の息吹の中、住民が自力でつくり出した診療所(1950〜52年に建設)を共通の土台とする仲間が、6回に及ぶ議論と交流を重ねて8・1を準備してきました。それぞれの診療所は出発は同じですが、現在は「普通の病院」「新自由主義経営への転換と労組の闘い」「労働組合による自主管理」と全く違います。
 1回目の議論で「労働組合が全てに責任を取るとはどういうことか」「理事会と住民組織の関係は」「民医連(共産党系)を脱退したのはいつか」という核心を突く質問について、八尾北医療センターの末光道正院長と八尾北労組はあらためて総括を深め、議論に付しました。
 部落解放運動の路線=労働組合の闘う路線をめぐる、八尾市、共産党、解放同盟、職場内利権勢力を含めた数十年にわたる激しく生々しい攻防の歴史であると、共につかむ決定的なものとなりました。部落解放運動の解体の核心として、地域の団結の中心である八尾北医療センターをつぶす、これが国鉄分割・民営化以来の新自由主義攻撃です。労組の絶対反対の路線と団結に対する破壊策動に立ち向かい、「八尾北明け渡し」裁判でも八尾北医療センターを守り抜き、「倒産攻撃」にも「経営を守る」ではなく「地域と共に生きる」ことにかけることができたことを提起しました。参加者の一人は「先駆的な地域医療を貫けなかった。乗り越える道がここにある」と述べられました。

労組でコロナ対策議論し診療続ける

 もう一つ重要だったのは、コロナ問題に対する八尾北労組の見解と末光院長のアピールを読み合わせして議論したことです。30年(40年)に及ぶ新自由主義によって、医療をはじめ人類が生きるために必要とするものがことごとく破壊され、命さえ金もうけの対象にされてしゃぶりつくされていることを暴き出しました。さらに回を重ねる中で、八尾北医療センターがコロナ対策として労組の議論を経て、熱のある患者にはテントを建てて医療を続けたこと、大変なことも労組が議論をして決定し実践することで労働者の主体的な取り組みが始まっていることを議論していきました。「主体的な労働者の決起」が労働組合の団結と議論の中で生み出されることを共につかみました。
 戦後革命で解き放たれた住民のエネルギーと生きるための闘いが各地で診療所を生み出しました。今コロナ情勢は、資本主義(新自由主義)への労働者階級の怒りと生きるための闘いをつくり出しています。アメリカのBLM運動がシアトルで自治区を闘いとり、マスクと食料を無料で配り、診療所を開設しました。私たちはこの時代に間に合って、闘い勝利できる路線と実践を共につかみ取って8・1に登場しました。
 地域医療を奪い返す闘いは新たな革命情勢の中でこそ可能です。勝利の如意棒は労働組合にあります。結集を開始している全ての労働者に、この確信を真正面から提起し議論していきましょう。維新・橋下徹に労働組合を対置して打倒した闘いは、大阪都構想をめぐる攻防として始まっています。
 「地域医療のネットワークは最初はこの集まりだったと言いたい」。8・1で新たな一歩を踏み出した私たちは路線的一致と豊かな団結で新たな闘いに挑戦していきます。
(八尾北医療センター労働組合書記長 灰垣美佐子)
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