元郵政労働者は語る③ 民営化で非正規が大幅増 労働者の分断は許せない

週刊『前進』04頁(3159号02面04)(2020/08/31)


元郵政労働者は語る③
 民営化で非正規が大幅増
 労働者の分断は許せない

希望者は残らず正社員にすべき

 郵政民営化で労働組合が破壊され、職場の労働条件が劣悪化した。と同時に、民営化によって職場には非正規職の労働者が大幅に増えた。郵便局によって差はあるが、私の局では外務(集配)の場合は3割、内務(郵便)の場合は8割が非正規職だった。
 私が入局した頃は、いわゆる「家計の足し」にということで、50歳を過ぎた女性がパートで働いていた。だが今は、「家計の柱」として非正規職で働いているのだ。非正規職の人は正規職の人と同じ仕事をしていても給料が半分以下だから、独身の人も多い。
 集配で働いていた非正規職の仲間が、今年2月に退職した。正規職の人と同じ仕事をしていたのに退職金がゼロである。あまりにもひどすぎる。これに関してJP労組はなんの抗議もしない。彼は私に「この仕事は好きだけど、正社員にしてくれないから......」と語ってくれたが、心からの叫びだったと思う。3年間まじめに働いたら、希望する人は無条件で正社員にすべきだ。また、パート的な形で働いている人の時給も引き上げるべきだ。
 私が入局した頃は、パートの人以外はほとんどが正規職だった。みんなある程度の収入があり、はでな生活をしなければ子育てしながら一定の貯蓄ができたのだ。そして20年以上勤めた40代から50代にかけてマイホームを買えたのである。
 しかし、今は違う。非正規職の労働者は同じ仕事をしながら給料が半分以下だから、マイホームに手が届かない。職場の雰囲気も、なんとなく昔と違うのである。昔は仲間内で「あの人、マンションを買ったんだ」などということも話されたが、今はそういう話も出ない。非正規職の人がそんな話を聞いたら、不快に感じてしまうのではないかと思うからである。
 正規職への試験が毎年行われているが、その選考基準が不明瞭である。合格して正規職になれる人が本当に少ない。20年以上、契約社員という不安定な雇用形態で働いている人もいる。また、数年で正規職になった人もいる。もちろんそれは良いことだが、長期間働いてきて正規職になれない人はどう思うのか。この現実も労働者を分断し孤立させて、みんなを一致団結させないためにやっているのではないかと思う。
 郵便局はどこでも「アルバイト大募集」と大々的に張り出している。ところが、ここ2〜3年は応募する人はめったに来ない。郵政職場の労働環境があまりにひどいことが知れ渡ってしまったからだろう。

会社は闘う労組を恐れている!

 民営化とは、資本家のもうけのために労働条件を悪化させ、本来、労働者が手にすべき賃金を資本家が搾取するということだ。そのために非正規職化が進められてきたのだ。民営化とは資本家にとってのパラダイスであり、労働者にとっては、労働条件が悪くなることであり、生活が苦しくなることなのだ。
 われわれ労働者は、資本家の代弁者のような政治家の言うことを真に受けるのではなく、冷静に判断することが必要だ。郵政の労働条件が悪くなれば他の職場の労働条件も悪くなる。郵政会社は「郵便局員を1万人削減する」などと言い出しているが、とんでもない話だ。これ以上減らされたら、郵政の労働者は本当に殺されてしまう。郵政でこんなことがやられたら、日本中どこでも解雇がやりたい放題になってしまう。
 動労千葉には本当に感謝している。私が管理者から嫌がらせを受けた時、「動労千葉の人たちと交流している」と言ったらそれが止まったのだ。会社は、闘う労働組合を本当に恐れているんだと確信した。動労千葉のように、みんなが団結して闘ったら困るのだ。
 動労千葉にはより強い団結でこれからの時代を切り開いていって欲しいし、私も一緒になって、労働者の状態を良くするために今後も頑張っていくつもりだ。
(森内一郎)
=連載終わり

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