道州制・改憲うち砕け 10・25大阪から11・1日比谷に立つ 大阪都構想を撃つ!①

週刊『前進』04頁(3163号01面01)(2020/09/28)


道州制・改憲うち砕け
 10・25大阪から11・1日比谷に立つ
 大阪都構想を撃つ!①


 7年8カ月にわたって日本社会を破壊し、貧困と過労死をまん延させ、国政も税金も私物化して不正・腐敗の限りを尽くした安倍政権が打倒された。だが、戦争と新自由主義の政治をあくまで継続しようとする財界や日本会議などの改憲勢力は、菅義偉新政権で巻き返しを図ろうと必死になっている。その突破口に位置づけられているのが、菅と親密な大阪維新の会が進める「大阪都構想」だ。地方自治を破壊して民営化・非正規職化を進める新自由主義攻撃=都構想に反対する10・25大阪集会から11・1全国労働者集会に攻め上ろう!

民営化・統廃合で地域を破壊

 大阪都構想の制度案(協定書)が、8月28日に大阪府議会で、9月3日に大阪市議会でそれぞれ可決され、大阪市選挙管理委員会は都構想の可否を問う住民投票の告示を10月12日に、投票日を11月1日にすることを決定した。
 大阪市を廃止・解体してその事務事業、人員、税源を「大阪府」と四つの「特別区」と「一部事務組合」の六つに分割し、財源も権限も大阪府のもとに一元化する。この都構想は、国と地方自治体は対等だとする戦後の地方自治の原則を解体し、全国の自治体をいくつかの道・州に従属させる「道州制」の先取りだ。何よりその狙いは、総務省が2018年に打ち出した「自治体戦略2040構想」や地方制度調査会答申と一体で、自治体業務の民営化と総非正規職化を進め、公務員に対する「解雇自由」の労務支配をつくり、市職・市従・市教組・大交・水労など大阪市の労働組合の団結を解体し、労働組合と住民の団結を破壊することにある。

医療崩壊させた維新を許さない

 大阪維新の会は、労働者民衆の怒りで打倒された安倍になり代わり、都構想をもって改憲への突破口を開こうと必死になっている。
 松井一郎・大阪市長は市議会採決の翌日、職員に対して「住民投票反対運動は処分の対象になり得る」と不当労働行為の通知を出して脅している。都構想の内実である行政の民営化や統廃合は、すでに現在のコロナ情勢のもとでさまざまな矛盾を引き起こしており、その破滅的な矛盾を知っている現場から都構想反対の声が上がることを松井は恐れているのだ。
 コロナショックは都構想の正体を明らかにした。08年に橋下徹が知事に就任して以降、維新は「二重行政の無駄を省く」と称して、公衆衛生研究所・公立病院を統廃合・地方独立行政法人化し、保健所の要員を暴力的に削減してきた。その結果大阪府では、コロナ感染第1波の際には救命救急体制が脆弱(ぜいじゃく)で、重症患者に対応する四つの救急医療機関で患者受け入れができなくなった。8月のPCR検査数は府内で1日平均2100件にとどまり、検査能力数では東京都の4分の1、神奈川県の半分だった。維新は公衆衛生研究所の統合・法人化を通じて、「検査結果が出るまでに10日かかる」という全国的にも最悪の検査体制をさらに縮小しようとしている。こうした維新政治の失政が明るみに出ることを恐れて、維新はPCR検査の拡大を今も拒否し続けている。東京の2倍を超える重症者が出ているにもかかわらずだ!
 吉村洋文・大阪府知事や松井による言論弾圧を打ち破り、労働組合がこの実態を暴露し反撃しよう。

「道州制の1丁目1番地」が本音

 維新は都構想について「道州制の1丁目1番地」と言いつづけている。2000年以降、政府が道州制の議論をあおりたてる中、関西経済同友会は06年に「5年以内に『連邦的道州制』へ移行せよ」と題する文書を発し、明治維新になぞらえて「誰が廃県置州に命を賭けるのか」と道州制への移行と改憲を激しく要求した。この思想をそのまま使って登場したのが橋下であり大阪維新の会だ。
 維新は大阪都構想について、自ら作り上げた現状打破の政策のように打ち出しているが、実際には財界のいうがままに作り上げた改憲と利権のための政策でしかない。維新の会が語る「しがらみのない政治」など百%うそっぱちだ。
 維新はいろいろなところで「大阪府の発展的解消が将来目標」と主張し、橋下は「大阪都を一旦白紙にして道州に昇華させる」と言う。維新は「どうやって大阪市を良くするか」ということにはまったく興味はない。維新の「大阪市を四つに分割し、特別区にしたほうが効率的」という論は、道州制への先鞭(せんべん)をつけるためのでたらめなものだ。

300の基礎自治体再編に行き着く

 都構想の先には、日本を「国―道州政府―300の基礎自治体」に再編するという真の目的がある。これは小沢一郎の『日本改造計画』(1993年)以来一貫して支配階級がたくらんできたことだ。関西経済同友会は、先に挙げた2006年の文書で「現在の市町村は再編を進め、現在の300小選挙区区割りを目安とした人口40万人程度の地域に再編」「必要に応じて区制度を利用して行政の密着性を高める」と明記している。人口269万人の大阪市を四つか五つの特別区に分けようという話も、この提言に無理やり当てはめたものだ。
 維新は都構想を「真の地方分権への第一歩」と言うが、「地方分権」の名のもとに行われた「平成の大合併」で、1999年に3232あった自治体が2010年には1741まで減らされ、多くの役場が「出張所」に置き換えられた。さらに地方交付税は大幅に削減され、各自治体はインフラさえも賄えなくなっている。ここからさらに「300の基礎自治体」に統合されたら、地域社会はいよいよ崩壊するしかなくなる。
 関西経済同友会は「学校、地方交通、水道事業などは民営化する」「弱者を峻別(しゅんべつ)し、本当の弱者は守る」「地域の経済力とニーズに即して、地域がサービス水準を決定する」など行政の全面的な民営化と不採算部門の切り捨てを提言してきた。維新の言う「真の地方分権」とは、このような経済界の立場に立った破滅的な地方切り捨て策にほかならない。

労働組合の団結で反転攻勢へ 労働運動一掃し戦争国家に転換

 都構想―道州制は、労働運動・地域運動を一掃し、国家による自治体・住民の戦争動員が可能な戦前型の統治形態へ転換しようとする国家改造攻撃だ。
 12年に橋下が大阪府知事の任期満了を待たずに大阪市長選挙に出馬したのは、大阪市の職場・地域の闘いが彼らの道州制の攻撃の前に立ちはだかる中で、労働組合を根絶しなければ道州制は実現できないと思い知ったからだ。
 コロナ感染症は、保健所、病院、研究所の統廃合や非正規職化が、住民の命にかかわる問題であることを明らかにした。維新は労働運動を「既得権益を守る運動」であるかのように描くが、資本家の好き放題にさせたら、労働者だけでなく市民の命まで脅かされる。だからこそ多くの闘う労働者は、激しい組合弾圧があっても労働組合に結集し闘ってきたのだ。

あとがない政府・財界にとどめを

 「任期満了までに新憲法を制定する」と言い続けた安倍政権は、改憲を達成できずに打倒された。維新もまた、労働者や市民の反撃が続く中、最近は道州制について口にもしなくなっている。関西財界も都構想そのものについては沈黙している。住民投票で負けたら「あとがない」のは政府と維新、財界の方だ。住民投票の強行に対する闘いは、新自由主義への反転攻勢をつくりだす大チャンスだ。
 にもかかわらず、労組執行部から出されるのは学習会などの方針だけで闘う方針はない。大阪市廃止後に今まで通り働ける保証などどこにもないのにだ。「声を上げたら解雇」の国鉄分割・民営化型の攻撃が始まっている。
 住民投票で否決されれば敵を追撃し、可決されれば敵を迎え撃つ、そのような労組拠点・地域拠点をつくりだすことが求められている。都構想は可決されようが否決されようが敵の弱点・破綻点だ。敵の破綻をさらに攻撃し打倒する団結と拠点をつくりだそう。
 関西の闘う仲間は、8月24日の関西労組交流センターの都構想学習会で武装し、新製の「都構想反対」のぼりをかかげて職場・街頭で宣伝戦を展開している。「都構想反対です」と声かけするとビラの受け取りが倍加する。
 道州制・改憲に向けた都構想を大阪で打ち砕き、新自由主義を打倒する労働運動を全国に広げよう。10・25大阪都構想反対集会の成功をかちとり、11・1日比谷に結集しよう。

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道州制
 現在の47都道府県を廃止して9ほどの地方政府=「道州」へと再編する構想。2006年頃から財界などが強く要求し、続いて内閣府地方制度調査会が「道州制のあり方に関する答申」を提出。財源も立法権も自治体から道州に移し、「国と地方は対等」という地方自治の原則を解体する。地方公務員を一旦全員解雇・選別再雇用して人員の大幅削減と非正規職への置き換えを図り、自治体業務や地方交通、水道事業などの丸ごと民営化を進める。国鉄分割・民営化型の新自由主義的国家改造。

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大阪都構想住民投票は中止せよ!
医療崩壊をつくりだした吉村・松井を打倒しよう
大阪都構想反対集会
 10月25日(日)午後2時
 中之島公園女神像前広場(大阪市役所南側)
 主催  改憲・戦争阻止!大行進大阪市

闘う労働組合の再生をめざす
11・1全国労働者集会・
改憲阻止!1万人行進
 11月1日(日)正午開始
 東京・日比谷野外音楽堂
 呼びかけ/全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉、国鉄闘争全国運動、改憲・戦争阻止!大行進

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