今こそ成田を廃港に 9・27三里塚全国集会 農地守る誓い新たに

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週刊『前進』04頁(3164号03面01)(2020/10/05)


今こそ成田を廃港に
 9・27三里塚全国集会
 農地守る誓い新たに

(写真 「空港廃港」へ向けて総決起を呼びかけ、反対同盟が団結ガンバローをリードした【9月27日 成田市】)

(写真 労農学市民の全参加者が、市東さんの農地を守る決意と勝利への確信を新たにしてこぶしを突き上げた)


 三里塚全国集会は、台風とコロナによる中止が続き、1年半ぶりの開催となった。正午、前半の司会を務める婦人行動隊の宮本麻子さんが開会を宣言。
 事務局の伊藤信晴さんが主催者あいさつに立ち、「市東さんの農地を守ることは、全人民の権利を守り、戦争・改憲を阻止する道」と訴えた。
 続いて、東峰の萩原富夫さんが基調報告を行った。
 冒頭、新型コロナの世界的感染爆発によって、東京五輪を背景にした安倍政権の観光立国政策が大破産し、成田が存亡の危機にあることを確認した。
 成田国際線旅客数は9割以上の減少、空港内460店舗のうち264店の休業という惨状だ。成田空港会社(NAA)は、来年4月まで航空会社100社に着陸料など420億円の支払いを猶予、店にはテナント料95億円の支払いを猶予し、計515億円の収入減。普通の企業なら倒産必至の深刻な事態だ。さらに全世界の大航空会社が超巨額の赤字を出し、従業員の大量削減に乗り出している実情を語った。

10・22東京高裁へ

 そしてこの期に及んでNAA田村社長が「空港機能強化策を推進する」と言い張っていることを、「成田の恥」と切り捨てた。
 市東さんの農地を守り抜くために10・22請求異議裁判への結集を訴え、空港周辺住民の怒りを共にし廃港へ向け闘おうと熱烈に呼びかけ、参加者全員が大きな拍手で応えた。
 連帯のあいさつとして、最初に動労千葉の関道利委員長が立った。車の両輪としての反対同盟との固いきずなを確認した上、JRによる「1500億円コストカット」を掲げた大合理化と労組解体攻撃が襲いかかる重大事態を明らかにし、11・1全国労働者総決起集会への大結集を訴えた。
 関西実行委の発言に続き、天神峰の市東孝雄さんが登壇した。NAAによる土地強奪の卑劣な攻撃を強く弾劾し、天神峰の地で誠実に無農薬有機農業に取り組み続け、農地を守り、労農連帯、沖縄・福島・三里塚の連帯を固めて闘う鮮明な決意を表した。
 反対同盟顧問弁護団から4人が登壇した。事務局長の葉山岳夫弁護士は成田空港が進む破滅と倒産への道を確認し、観光バブルの再来はあり得ないと断言。最終弁論が行われる10・22請求異議控訴審を闘いの正念場と位置づけ、東京高裁へ駆けつけるよう訴えた。
 「市東さんの農地取り上げに反対する会」と各地の「農地を守る会」が壇上に並び決意を表した。群馬・守る会の大塚正之さんは、9・13高崎集会の大成功を誇らしく報告した。
 全国農民会議共同代表の小川浩さんは、安倍農政で日本の農業が「ずたずたにされた」ことに憤りを表し、社会を変える以外に農民の生きる道がないことを強調し、市東さんの農地を守る決意を表した。
 宮本さんが気概を込めてカンパアピールを行い、後半の司会を決戦本部長の太郎良陽一さんに交代した。
 「沖縄・福島からの訴え」として、市東さんの農地を守る沖縄の会と3・11反原発福島行動呼びかけ人の椎名千恵子さんが発言した。椎名さんは、原発事故から10年の福島で悪質な事故隠しの攻撃が激化していることを弾劾し、三里塚との連帯を誓った。
 さらに全国水平同盟の久原正子委員長、婦人民主クラブ全国協の三浦正子代表、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、動労水戸の木村郁夫委員長などの連帯発言が続いた。星野暁子さんは、天神峰畑の一角に分骨された文昭さんとともに農地を守り、国賠訴訟と大坂正明さんの裁判に勝利する決意を述べた。
 中核派を代表して、全学連前委員長の斎藤郁真同志が発言した。三里塚闘争に注がれた無数の人々の力で安倍政権を崩壊に追い込んだ勝利を確認し、コロナ危機のもとで立ち上がる学生たちと共に資本主義を倒す熱い意気込みを表した。

「空港の町」をデモ

 最後に太郎良さんが、「コロナ危機を空港廃港へ!」と呼びかける集会宣言を読み上げ、団結ガンバローの音頭をとり、反対同盟を先頭にデモに出発した。宣伝カーからは宮本さんの「第3滑走路阻止」の訴えが一帯に響いた。
 成田ニュータウンは空港のために造成された町。「空港廃港」を正面から訴えるデモが席巻し、この日ばかりは町の雰囲気を完全に塗り替えた。歩道上や住宅から、多くの住民たちがデモを注視した。小中学生は笑顔で手を振る。
 終日曇り空だったが、時折明るい日光が差し、デモの勢いを後押しした。JR成田駅近くまで2㌔超のデモ行進をやり抜き、全参加者は三里塚の勝利とそれぞれの持ち場での奮闘・前進を誓い合った。

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集会の発言から

第3滑走路計画は白紙撤回以外ない
 反対同盟・敷地内東峰 
基調報告
 萩原富夫さん

 航空業界の破綻は、世界的な規制緩和で無理やり観光需要を作り出し、競争を促進させたことで生じました。そこにコロナが一撃した。もう回復しません。
 今や「空港廃港」のスローガンが現実になりつつあります。第3滑走路は白紙撤回以外にありません。破産状態のNAAが市東さんの農地を奪うことなど絶対に許さない。東京高裁での10・22請求異議控訴審・最終弁論に集まろう。
 同時に労働者の首切りとの闘いが重要です。経済危機は労働運動再建のチャンスでもある。反対同盟は航空関連労働者と共に闘います。沖縄・福島と連帯し、「空港よりも農業を」と訴え、地域住民と共に静かな生活を取り戻します。
 54年の成果をすべて、廃港に向けた闘いに注ぎ込もう。

小作農にもここで生きる権利がある
 反対同盟・敷地内天神峰 市東孝雄さん

 請求異議控訴審の判決が近づいてきました。NAAはうちの土地をだまし取るために、文書を偽造し、耕作者であるおやじには一切秘密にして地主から底地を買収しました。こんなやり方を54年やってきました。誰が認められますか。
 私は天神峰において小作で農業をやっていますが、小作でもそこで生きていく権利があります。正しいものは正しいし、「うそはつかない」という信条で、完全無農薬の有機農業に取り組んできました。これからも動労千葉、関西生コン支部など労働者の皆さん、全国で「国策」と闘う皆さんと団結し、沖縄・福島・三里塚を一つの闘いとして進んでいきます。

JRの合理化攻撃をストで迎え撃つ
 動労千葉委員長 関道利さん

 JRでは3月ダイヤ改定で分割・民営化以来の最大の合理化攻撃が狙われています。「1500億円コストカット」を宣言し、整理解雇まで振りかざしています。9月1日から就業規則を改悪し、団体交渉では「解雇はしないとまでは言えない」と明言しました。だが、社友会で職場支配を完成させようというもくろみは行き詰まっています。
 昨日私たちは第50回定期大会を開催し、今秋から年末、来春まで「いつでもストを打てる体制」を確立しました。新自由主義に断を下すため、11・1全国労働者総決起集会・日比谷野音への大結集をお願いします。農地を死守し、成田廃港まで共に闘いましょう。

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