老朽原発を動かすな 福井県知事の再稼働同意弾劾

週刊『前進』04頁(3194号03面02)(2021/05/17)


老朽原発を動かすな
 福井県知事の再稼働同意弾劾

(写真 労働組合が先頭に立ち「老朽原発再稼働反対」を訴えてデモ行進【2月21日 舞鶴市】)

(写真 東舞鶴駅前で街宣【3月28日】)


 4月28日、運転開始から40年超の老朽原発である福井県の美浜3号機(美浜町)と高浜1、2号機(高浜町)の再稼働に杉本達治福井県知事が同意した。老朽原発の稼働にあたって交付される1発電所あたり25億円の金と引き換えに同意したのだ。
 原子炉圧力容器は稼働によって発生する中性子を浴び続けることで脆化(ぜいか)という現象が起こり、もろくなる。そこで3・11福島原発事故後、原子炉等規制法が改定され原発の稼働は「40年」と定められた。老朽原発の再稼働は「例外」を設けて、「40年ルール」を破るものだ。
 菅政権は日本の核武装化のために何としても原発の再稼働と新設・増設を行おうとしている。今回の40年超原発の再稼働もその一環だ。地域住民などが新増設を阻む中、次々と40年を迎える老朽原発の再稼働に先鞭(せんべん)をつけることは許されない。

危険な「核のゴミ」これ以上増やすな

 この間、高浜原発では、大型クレーン倒壊事故をはじめ労災事故が多発している。「特定重大事故等対処施設」工事での死亡事故、作業用トンネルの中では一酸化炭素中毒で作業員9人が救急搬送されたこともあった。原発を稼働させ利益をむさぼるためなら、労働者が犠牲になっても構わないというのが、菅政権と電力資本の本質だ。
 関西電力の原発群が集中する若狭湾を抱える福井県は美浜、大飯、高浜の各原発内での使用済み核燃料(「核のゴミ」)の貯蔵量が限界に近づいており、福井県は今後も稼働を続ける条件として、核のゴミを福井県外の中間貯蔵施設に搬出するよう関西電力に要請してきた。だが、関西電力は、当初予定の2018年末までに候補地を示せず、結局23年末まで先送りした。電気事業連合会が、青森県むつ市に建設中の中間貯蔵施設に一時的保管を検討しているという。しかし、核のゴミをこれ以上増やしてはならない。だからこそ、原発の稼働は即刻止めなければならない。

労組が軸になって原発・戦争とめる

 福島原発事故後も、電力資本は全国各地の原発を再稼働させるため、1兆円を超える「安全対策工事」を行ってきた。関西電力も、もうからない美浜1、2号機や大飯1、2号機は廃炉にし、もうかりそうな原発に集中投資してきた。
 現在、関西電力は大飯4号機、高浜3、4号機の3基を稼働させている。だが、原発が稼働していればいつ重大事故が起こってもおかしくない。「命よりカネの原発」「危険な原発」を稼働させることで地域住民が被曝することは絶対に許されない。労働者・地域住民による被曝を拒否する反原発の闘いから、この国のあり方を根底から変える闘いに立ち上がろう。
 40年超の高浜原発の地元・舞鶴では、京都府職労舞鶴支部が呼びかける集会を2月に開催し、定期的な市内街宣を展開し、地元の声として40年超原発の再稼働に反対している。舞鶴市長は「感情的に原発やめる、というのは政治家として無責任だ」と発言し再稼働を歓迎している。しかし圧倒的大多数の住民は「反対」だ。新型コロナの蔓延(まんえん)で避難はますます「絵に描いた餅」だ。自治体労働者が先頭となって地域と団結して原発を止める闘いと、軍都舞鶴での戦争に反対していく闘いを労働組合が軸となってつくり出そう!
 菅政権の放射能汚染水の海洋放出決定に「福島の海を汚すな!」と弾劾し闘う漁業者、福島の怒りと結合して「原発絶対反対!」の声を上げていこう。
(京都 自治体労働者・樋口直)

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