関東大震災99年 朝鮮人・中国人虐殺くり返すな 9・1を闘いの日に

発行日:

週刊『前進』04頁(3258号03面02)(2022/08/29)


関東大震災99年
 朝鮮人・中国人虐殺くり返すな
 9・1を闘いの日に

(写真 警察の指示で組織された自警団。竹やりで武装している)

(写真 東京・墨田区の横網町公園にある朝鮮人犠牲者追悼碑)


 1923年9月1日に起きた関東大震災から今年で99年。震災下で行われた朝鮮人虐殺事件の真相は、これまで一度として公式に調査されていない。原因究明も責任の所在も、そして犠牲者の数さえも曖昧(あいまい)なまま葬り去られようとしているのだ。虐殺された朝鮮人・中国人犠牲者を追悼する式典(日朝協会東京都連合会などでつくる実行委員会主催)が9月1日、東京都墨田区の都立横網町公園に建つ朝鮮人犠牲者追悼碑の前で開かれる。
 大震災直後「朝鮮人が井戸に毒を流した」などの流言・デマが流され、軍隊や警察、民間の自警団による朝鮮人・中国人虐殺が行われた。戒厳令下、犠牲者は朝鮮人6千人、中国人700人を超えた。日本帝国主義は、植民地支配下の朝鮮で17年ロシア革命に鼓舞された3・1独立運動に直面し、革命で打倒される恐怖に震えていたのだ。

自警団のルーツは3・1運動弾圧に

 『国葬の成立 明治国家と「功臣」の死』(宮間純一著 勉誠出版)によれば、日帝は19年に朝鮮で、日本の侵略に抵抗を試みた前皇帝・高宗の国葬を行っている。高宗の死を契機に植民地支配からの独立を目指す「3・1独立運動」が起こり、ソウルで始まった運動は朝鮮全土に拡大し、数百万人が参加したといわれる。民衆の抵抗を鎮圧するために高宗の国葬は行われたが、逆効果しか生まなかったのである。
 この運動に対して日本政府は徹底的な弾圧を加え、1年間で死者7千人、負傷者4万人、逮捕者は5万人にも及ぶ。国葬は弾圧と一体の攻撃として朝鮮民衆に襲いかかったのである。
 関東大震災時の自警団は「3・1独立運動」弾圧に起源を有する。風媒社編集長の劉永昇さんは「〈不逞(ふてい)鮮人〉とは誰か〜関東大震災下の朝鮮人虐殺を読む」(アジアプレス・ネットワーク)の中で「三・一独立運動の鎮圧行為と関東大震災の虐殺行為は、ほとんど見分けがつかないほどよく似ている」とし、19年当時、京城(現在のソウル)に住んでいた独立運動家・尹致昊(ユンチホ)の3月28日の日記(『評伝 尹致昊』木下隆男著 明石書店所収)から以下を引用している。
 「日本の軍隊や憲兵、警察や人夫たちが、刺す、撃つ、蹴りつけ殴りつける、斬る、そしてつるはしで打つなどの残虐行為を行う」

小池の追悼文拒否は歴史の隠ぺいだ

 小池百合子都知事は就任翌年の2017年から、歴代の都知事が行ってきた朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文の送付をとりやめた。同じ年から極右ヘイト団体「日本女性の会 そよ風」による追悼式典への妨害が始められた。
 小池都知事は、19年には追悼文拒否に加えて公園占用許可申請に対し拡声器の音量などの条件順守を求め、違反した場合は「次年度以降、公園地の占用が許可されない場合があることに異存ありません」との「誓約書」の提出を求めた。これに対して「誓約要請撤回」を求めるネット署名が呼びかけられ、知識人や東京弁護士会なども抗議。怒りの声に包囲された東京都は同年7月に、「誓約書」提出要求を撤回した。激しい攻防の結果、追悼式典は実現された。
 しかし、昨年も小池は追悼文の送付を拒否し、「そよ風」が公園内で「六千人虐殺も嘘(うそ) 徴用工強制連行も嘘」などと記した看板を立てて追悼式典破壊を狙った。小池は、都慰霊協会主催の大法要で、関東大震災の「犠牲者すべてに哀悼の意を表している」から「個々の行事への(追悼文の)送付は行わない」としている。しかし、朝鮮人・中国人虐殺と自然災害による犠牲者を同列に追悼することは、虐殺の歴史を隠蔽(いんぺい)する行為に他ならない。

韓国の闘いと結び日帝の責任追及を

 韓国では7月12日、民主労総と韓国労総を含む40あまりの団体が参加して「関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会」が発足し、政府レベルの真相調査委員会を設置する「特別法制定」を目指す闘いが始まった。
 今年の9・1追悼式典は、米帝・北大西洋条約機構(NATO)軍によるウクライナ戦争―中国侵略戦争策動の中で行われる。
 安倍こそ、小池・「そよ風」・日本会議を先兵とし朝鮮人・中国人虐殺の歴史を葬り去ろうとしてきた首謀者であり、改憲・戦争を狙い、在日朝鮮人を始めとする在日外国人へのヘイト攻撃を行ってきたやからだ。その安倍の国葬は、愛国主義・排外主義をあおり、実際に中国への侵略戦争に踏み出そうとする戦争攻撃そのものだ。
 9・1朝鮮人・中国人虐殺から99年。日帝の加害の歴史を告発し、絶対に繰り返してはならないと追悼式典に集まる人々と合流し、安倍国葬絶対阻止へ闘いののろしを上げよう!
(東京東部地域合同労組東部ユニオン委員長・小泉義秀)

このエントリーをはてなブックマークに追加