全米でストと労組結成の波 軍事研究と生産を止め

週刊『前進』04頁(3272号02面04)(2022/12/05)


全米でストと労組結成の波
 軍事研究と生産を止め

(写真 「スト決行中」のプラカードを手にピケを張るストライキ参加者 【11月21日 カリフォルニア大学ロサンゼルス校】)

 アメリカ全土でストライキと労組結成の波が起きている。世界支配の崩壊にあえぐアメリカ帝国主義は、国内でも労働者階級の反乱に直面している。それが米帝を戦争に駆り立てているが、戦時インフレへの労働者の反撃は、戦争を止める力に必ず転じる。

核兵器開発拠点の大学で最大のスト

 中国侵略戦争に突進する米バイデン政権は「使える核」=小型核兵器の開発・配備を進めている。そのための重要拠点が、核兵器の研究開発・製造を担うロスアラモス研究所やリバモア研究所などを有するカリフォルニア大学だ。
 11月14日、同大学の三つの労組員計4万8千人が10のキャンパスでストに立った。全米自動車労組(UAW)ローカル2865(第2865支部)は学部生の授業を行う大学院生の組合だ。同大学では授業の大半を大学院生が担っている。残る2組合のうちSRU―UAWは研究に携わる大学院生の、UAWローカル5810はポスドク(博士研究員)の組合だ。今年の全米最大のストとなった。
 UAW本部は当局の7・5%の「賃上げ」回答を受け入れるよう指示してきた。だがカリフォルニア州のインフレ率は13・5%。組合員の怒りはUAW本部に向かった。当初は3組合の執行部も本部に追随したが、ランク・アンド・ファイル(一般組合員)との数カ月の攻防でスト権投票をせざるをえなくなった。
 その背景には、組合執行部に抗し、賃金のインフレスライド制導入を求めて2020年にカリフォルニア大学サンタクルス校で闘われた山猫ストがあった。また、同年以降のBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動、反警察・反軍隊の闘いの経験があった。こうした蓄積が巨大ストを組織する力となった。
 カリフォルニア大学の清掃労働者・病院労働者などを組織する州郡市職員労組(AFSCME)ローカル3299(約3万人)や教授・准教授・講師などの組合も連帯を表明し、組合員にピケットラインを越えるなと指令。出入りするトラック運転士の組合チームスターズもピケットラインを越えることを拒否した。このストはアメリカ帝国主義・軍産複合体を揺さぶり、全米の労働運動の活性化を呼び起こしている。

アマゾン同時行動

 アマゾンは通販最大手であるとともに、国防省などのクラウドコンピューティングを請け負う巨大IT資本だ。労働組合を徹底的に排除する反労組資本であり、労組の結成は困難を極める。だが、今年3月にアラバマ州ベッセマーの物流拠点で労働組合設立投票が行われた。激しい労組破壊攻撃で勝利できなかったが、今も労働運動の拠点となっている。さらにニューヨーク市スタテン島では4月、米国内のアマゾン物流拠点で初の労組設立投票に勝利した。
 11月25日、この米国内の二つの拠点を先頭に、世界40カ国ものアマゾン物流労働者が年末商戦「ブラックフライデー」を直撃する世界的なストと抗議行動に決起した。日本でも「個人事業主」とされたアマゾン配達労働者が同日の抗議行動に参加している。

スタバで一斉スト

 11月17日には大手コーヒーチェーンであるスターバックスの100店舗で「レッドカップの反乱」が闘われた。赤い特製カップを配って集客する例年行事の日を狙い、スターバックス労組(SBWU)が早朝からストを打った。
 同社もアマゾンと並んで、従来は労組設立は不可能と思われてきた。だが、昨年12月にニューヨーク州バッファローの店舗で労組設立に成功すると急速に組織化が進み、現在、SBWUは250店舗6500人を組織している。しかし、今年8月までに団交に応じた店舗は200店舗中3店舗だけだった。その中で、実力で団交と労働条件を勝ち取る闘いとしてストが行われた。ピケットは、ストを守るだけでなく常連の顧客との交流の場ともなった。組合員や支援者の説明で、ほとんどの顧客がストに賛同。ストが地域に労働運動を広げている。

鉄道スト巡り激突

 9月に予定されていた全米鉄道ストはバイデン政権の大統領緊急事態委員会(PEB)による仲裁命令でひとまず停戦となったが、PEBが推した、病休要求さえ認めない暫定協約案への怒りが爆発した。多くの職種を組織する最大労組SMART―TDなど四つの鉄道労組の中で反対票が多数となり、12月9日にストが設定されている。11月28日、バイデンは鉄道スト禁止法案を議会に送った。軍需を含む輸送を止めるな、病休なしで働けと迫っている。民主党・労組官僚への労働者の怒りは沸騰している。1930年代を上回る巨大な闘いは不可避だ。40年間の新自由主義の労組破壊は破産した。
 国際連帯を一層進め世界戦争を世界革命に転化しよう。
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