十亀弘史の革命コラム

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週刊『前進』04頁(3298号04面04)(2023/06/12)


十亀弘史の革命コラム
 資本主義のおとぎ話二題

 おとぎ話について二題です。一つは、新型コロナに関わります。昨年10月から今年3月までの第8波では、2万8千人以上が亡くなっています。私は、この死者の多さについての弾劾の報道を、目にしたことがありません。死者の多くは高齢者です。とりわけ貧困層の高齢者。政府は、貧しい老人は死んでもかまわないし、ニュースにするべきでもない、としているように思われます。
 「5類」とされたこの後の「第9波」では、さらに多くの命が奪われる可能性があります。すでに、重症患者の受け入れに対応できず、医療現場が混乱する恐れなどが、具体的に指摘されています。それに対して、岸田政権は何の対策もとらず、感染者には「自己責任」を、医療現場の労働者には極限的な強労働を押し付けようとしています。そして、その対策の放棄を「経済の維持」の一言で片づけようとしています。
 押谷仁東北大教授が言っています。「政府は『感染対策に万全を期した上で経済を回す』と言いますが、おとぎ話でしかない」(5月24日付朝日新聞)。ここで「経済を回す」というのは資本主義社会を維持して、あらゆる社会的な行動を、基本的に、金もうけ(資本の増殖)のために推進するということです。そんな資本主義体制下で、人の健康と命を守る万全な医療を全社会的に実現するなどというのは、まさにおとぎ話。
 ここでもう一つのおとぎ話です。2019年に、グレタ・トゥンベリさんが国連で、居並ぶ「お偉方」たちに向かってたたきつけました。「あなたたちが話すのは、お金のことと経済発展が永遠に続くというおとぎ話ばかり」。当時のグレタさんがどこまで明確に意識していたかは問いません。ただ、この怒りの一言は、資本主義社会の本質を鋭く暴き出しています。資本主義社会は「お金のこと」を命に優先させる非人間的な社会でしかなく、しかも人類史のほんの一段階にすぎません。その上でその社会は、この間の恐慌と戦争、その相互激化によって崩壊の兆しをあらわにしています。
 杉並区議の洞口朋子さんは、選挙中の集会で、自らの政治姿勢について「資本主義を前提にしない」と明言していました。資本主義体制の打倒を意識した、その言葉の中に、他の候補者との決定的な違いがあります。その洞口さんの当選は、現状の全ての理不尽を覆す、革命の現実性を示しています。革命はおとぎ話から最も遠いのです。
(そがめ・ひろふみ)

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