団結ひろば 投稿コーナー

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週刊『前進』04頁(3328号04面05)(2024/01/22)


団結ひろば 投稿コーナー

労働者階級の生き方示す本
 東京 藍 牧子

 

『あの坂をのぼって』(アーツアンドクラフツ出版)は星野文昭さんを蘇(よみがえ)らせたいとこの本を編んだ暁子さんの思いが見事に実現された本です。
 星野新聞読者や支援者に販売し、現在46人が購入してくれました。沖縄にルーツのある労働者は「女の人がすごいね」と言い、「そういうとらえ方もあるのか」と気づかされました。この人は仕事先の友人に本を貸したそうです。これにも驚きました。
 また、ある人は「重すぎて涙が出て、先に進めない」と言うので、「1編ずつ完結しているから、どこから読んでもいいですよ」とアドバイスしました。実は私も、暁子さんたちとサンフランシスコの絵画展で約10日間過ごした経験があり、第3章から読み始めていたのです。読んでみて、いつも一つ一つの行動を暁子さんが考え抜き、総括しながら進んでいることがわかりました。それは、獄中の文昭さんと会話し、共有していたからです。
 絵画展では、「獄中にいるのに何でこんなに明るく優しい絵が描けるのか?」という質問が多く出ます。私自身はいつも「暁子さんを癒やすために描いているから」とか「獄中からのプレゼントです」と答えていたのですが、文昭さんの回答は違っていました。もっと深い労働者階級解放の思想を持って描いていたことが語られています。文昭さんは44年間獄中で闘い、闘いの魂を絵画に込めていたのです。だから見る人を感動させ、社会の矛盾や夫婦間の溝に悩む人たちに希望を与えていたのだと思います。ある更年期症状に苦しんでいた人は「暁子さんがこんなに愛されていてうらやましい」と言いました。
 どこを読んでも、その時々の情勢を文昭さんは語り、暁子さんはそれに応え、共に考え一致しながら共に生きてきた二人の生き様は、すごいとしか言えません。病気と闘いながらも最後まで希望を持っていた文昭さんの姿が悲しくて悔しい。
 父や母の生き様まで語り合い、二人がすべてを共有するあり方は、革命家のみならず労働者階級の生き方も示しています。この本を多くの労働者に薦めていきたいと思います。

性暴力と二次加害許さない
 香川 K

 私は性暴力根絶を目指してこの3年ほど、毎月11日にフラワーデモに参加している。
 12月25日、日本軍軍隊慰安婦を「売春婦」、韓国を「乞食(ママ)」と罵(ののし)る差別発言を行った観音寺市の岸上政憲市議への抗議の申し入れ行動に参加した。面談した岸上議員は一見低姿勢に「今の価値観では慰安所はダメです」と言いながら、同じ口で「ラムザイヤー教授の論文が」「慰安婦は高給取り」「商行為」など歪曲(わいきょく)した歴史を混ぜ込んで話をし、こちらはその度に訂正・抗議した。
 「逃げることのできない戦場で拒否は不可能。対等の取り引きなどあり得ない」「事後的にカネを渡せばレイプが売春になるというのか」「そもそも売買春を一般の商行為と主張するのか」
 岸上議員はこちらの抗議には言葉を濁して話をそらし続けるばかりで、植民地女性の人間としての意思や尊厳を気にかけていないのがよく伝わってきた。日本軍や日本社会の強者ばかりに一体化して歪曲された歴史を語るこの議員にとっては、対等な存在としての他国や女性は眼中にないようだ。慰安婦被害者への二次加害を許してはならない理由が逆説的によくわかった。人間の尊厳を貶(おとし)める言説を横行させれば、私たち自身の社会への目がゆがんでしまう。
 憲法13条「個人の尊重」の重要さを強調して1時間30分を超える抗議を終えたが、このような議員が公人であり続けるのを許してはならない。これからも性暴力と二次加害を許さず闘ってゆきたい。

パレスチナ知るための一冊
 大坂正明さん救援会事務局長 小泉義秀

 『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』(岡真理著)を読んだ。本書は、京都大学での講演「緊急学習会 ガザとは何か」(2023年10月20日)、早稲田大学での講演「ガザを知る緊急セミナー 人間の恥としての」(同23日)をもとに緊急出版された。岡真理さんは1960年生まれの早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授であり、専門はアラブ文学である。
 第1部では、野外音楽祭で10・7に遭遇し生還したヤスミン・ポラットさんという女性のイスラエル国営ラジオ番組でのインタビューのことが記されている。
 「彼女が証言したのは、パレスチナ人の戦士たちが非常に人道的だったということでした......そこにイスラエルの治安部隊が到着するなり一斉射撃をしてきた。外で涼んでいた人質たちは戦闘員もろともイスラエルの治安部隊に殺されたと彼女は証言しています」
 さらに「非暴力で訴えても世界が耳を貸さないのだとしたら、銃をとる以外に、ガザの人たちに他にどのような方法があったでしょうか」(第2部)と書いてある。第1部の講義にはなかった激しい訴えだ。
 本書はパレスチナ問題について極めてわかりやすく書いている。イスラエルの情報戦に影響された10・7蜂起についてのマスコミ報道は事実を歪曲していることがよくわかる。

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