特定利用空港・港湾36カ所に 公共インフラの軍事利用許すな

発行日:

週刊『前進』04頁(3393号02面03)(2025/04/28)


特定利用空港・港湾36カ所に
 公共インフラの軍事利用許すな


 政府は4月1日、「特定利用空港・港湾」に、新たに3空港・5港湾の8カ所を指定した。昨年4月からの制度開始以来、指定された空港・港湾は11空港・25港湾の計36カ所となった(図参照)。
 この制度は2022年12月の国家安全保障戦略に基づき、「南西諸島(琉球弧)を中心に、平素から自衛隊・海上保安庁が民間の空港・港湾を円滑に利用できる」ことを目的に掲げたものだ。今年度からは対象とする公共インフラに「自衛隊の駐屯地等とのアクセスの向上」のために「道路」が追加され、那覇空港につながる国道などが指定された。政府計画原案では「約40カ所」が候補に挙がっていたとされ、さらなる拡大は必至だ。米日帝国主義による中国侵略戦争へ向けた国家総動員体制構築の重要な一環であり、絶対に許してはならない。
 特定利用空港・港湾に指定されると、インフラ管理者・防衛省・海上保安庁・国土交通省の4者からなる「円滑な利用に関する枠組み」が設けられ、自衛隊などが訓練に使う回数・規模の増大が確実となるとともに、軍用機・軍艦が使えるように滑走路の延長や駐機場の拡張、岸壁や海上航路の整備が求められる。
 昨年3月、イージスシステムを搭載した最新鋭の米駆逐艦が石垣港(沖縄県)に入港しようとしたが、沖合に停泊せざるをえなかった。それは全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部八重山部会がストライキに立ち、石垣島の住民が中心となって反対運動を展開したからでもあるが、その駆逐艦の喫水(船が水中に沈んでいる部分の深さ)が深すぎ、安全に着岸できなかったからでもあった。
 石垣港は昨年4月に特定利用港湾に指定され、6月から大型貨物船の入港に対応する工事が始まっている。米軍や自衛隊の艦船などがより容易に利用できるようにすることが狙われているのは間違いない。
 また、この制度のもとでのインフラ整備の費用は通常の公共事業と同じく国と県・自治体などの管理団体が出し、「防衛予算」からは支出されない。つまりこれは、国交省などの直接は軍事に関わらない予算すらも軍事予算として使う制度なのだ。まさしく国家総動員体制構築のための攻撃にほかならない。
 特定利用空港・港湾は現時点で九州・琉球弧に9空港・11港湾が集中し、次に陸上自衛隊の最大部隊である北部方面隊が駐留する北海道に多い。中国侵略戦争において兵力と物資をいかに南西方面に集中するかという観点から選定されていることは明らかである。
 昨年4月の東京新聞の調査では計38カ所の空港・港湾が候補地になっていることが判明しているが、このうち今回も指定されなかった9カ所はすべて沖縄県内の空港・港湾だ。沖縄の労働者人民の怒りと闘いが空港・港湾の軍事利用を阻んでいるのである。沖縄の闘いと連帯して中国侵略戦争を阻止しよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加