7・12反戦反核集会基調報告 ヒロシマ・ナガサキ繰り返させない
週刊『前進』04頁(3405号02面04)(2025/07/21)
7・12反戦反核集会基調報告
ヒロシマ・ナガサキ繰り返させない

(写真 基調報告に聞き入る参加者【7月12日 東京都渋谷区】)
7月12日に行われた反戦反核東京集会で、NAZENの織田陽介事務局長が提起した基調報告の要旨を紹介します(見出しは編集局)。
米・イスラエルによるイラン核施設攻撃は、米日による中国侵略戦争が先制(核)攻撃として、まさにヒロシマ・ナガサキの再来として展開されようとしていることも暴露しました。世界中が核戦争への危機感を強める中、今年の8・6広島―8・9長崎は重大な攻防となりました。ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、そしてフクシマを繰り返してはならない。この決意を力ある行動で表す時です。
価値観を転換し闘う時
今回のイラン攻撃をもってアメリカは中国侵略戦争の圧力を一気に高め、北大西洋条約機構(NATO)は首脳会議で、加盟国の防衛費の国内総生産(GDP)比5%化を決定しました。戦後世界支配の危機が、すさまじい軍拡と世界戦争として爆発する過程に入ったのです。私たちの側も常識や日常、価値観を変えて立ち上がらなければならない時に来ています。重大なのは、6月2日に政府と自衛隊の元高官らが「非核三原則見直し」を提言したことです。非核三原則の「持ち込ませず」を「撃ち込ませず」(=先制攻撃!)と変え、核ミサイルを搭載した米原潜の寄港や自衛隊戦闘機による米核兵器の運用なども検討すべきとしています。
今回イスラエルがイランに対して行ったことこそ「撃ち込ませず」の実践です。これは中国に対して自衛隊が、日本が、ヒロシマ・ナガサキを繰り返すという宣言にほかなりません。8・6―8・9を前に、憲法9条の解体に匹敵する事態が進行しています。「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな!」という戦後の日本の労働者民衆の誓いが、これほど問われている時はありません。
戦後世界体制の出発点はヒロシマ・ナガサキへの原爆投下であり、核の支配こそ戦後世界体制の決定的な要です。戦後日本の支配階級、そして中曽根康弘ら自民党政治家たちは、敗戦帝国主義の制約を突破するために、一貫して核武装を目指してきました。
こうした核武装への前進を完膚なきまでにたたきつぶしたものこそ2011年の3・11東日本大震災と福島第一原発事故であり、それを受けた福島の怒り、全国で100万人とも言われるデモの開始でした。全原発が止まり、再稼働ができなくなり、日本の原子力・核武装政策―階級支配の全体が決定的な破綻をきたしました。さらに「黒い雨」訴訟をはじめヒロシマ・ナガサキの被爆者運動が前進し、被曝と健康被害をめぐる闘いが発展しました。戦後80年間、死の恐怖と不安を抱えながら命懸けで声を上げてきた被爆者たちに続き、福島の若者たちが苦しみの中から闘いに立ち上がっています。
その上で、フクシマの位置は、ウクライナ開戦後に全く新たな質のものになっています。戦争の時代への大転換の中で、原子力政策へのすさまじい突進と福島圧殺が進められています。破綻した核燃サイクルの維持のために政府が全力を挙げ、戦争―国家総動員体制構築に向かって電力の確保が重大な位置を占め始めているのです。
原爆ドーム前に結集を
アメリカでは今、500万人のデモが行われています。連帯し、日本でこそ戦争反対の声を上げなければなりません。8月5日の午後9時、広島・原爆ドーム前に1千人を結集させて弾圧を粉砕し、世界にとどろく闘いをやろう。さらに、女性、在日・滞日外国人、障がい者などへの差別は、戦争とともに激しくなっています。こうした攻撃に負けては、どんな運動も成り立たない時代です。こうした差別・抑圧と自覚的に闘う立場と運動は、アジアヘの侵略の歴史を乗り越える連帯をつくり出す力でもあります。身を切る思いで立ち上がっている女性たちと怒りをともにして闘い、自己を変革し、社会を変えることのできる運動の構築が求められています。
原発再稼働、核燃サイクルの維持・推進との闘いは、核武装・開発を目的とした「原発最大限利活用」攻撃全体との闘いです。原発政策は核武装の「偽装形態」です。被曝と健康被害をめぐる闘いを断固、被爆者の意思を引き継ぎ発展させよう。原発事故から命と健康を守る活動を「避難・保養・医療」を原則に発展させよう。