十亀弘史の革命コラム-31- 天皇制とは暴力と戦争だ
十亀弘史の革命コラム-31-
天皇制とは暴力と戦争だ

昭和天皇ヒロヒトの「即位の大礼」が行われた1928年11月10日の様子を、当時の朝日新聞が、「提灯(ちょうちん)行列に万歳とどろいて、わき返った奉祝の夜」と書いています。その「奉祝」の先にあったのが、アジア人民2千万人の大虐殺と、日本の軍人・軍属230万人、民間人80万人の無残な死です。
ナルヒトが広島を訪問した6月19日に「奉迎」用の提灯と日の丸の小旗を配ったのは日本会議広島です。その日本会議を実体とし広島県知事を名誉会長とする「天皇陛下奉迎広島県委員会」がつくったチラシには「日本の美しい国柄(皇室と国民の絆)を次代に伝えるために、記念冊子も頒布」する、とあります。提灯と日の丸を手にした人たちは午後8時ころ、ホテルの高階の窓に立つナルヒト・マサコを見上げて「天皇陛下万歳」を三唱し、女性の声での「みぎい、ひだりい」の号令に合わせて提灯を振っています。二人は、そこだけ明るくされた窓から、眼下の人々に手を振って応えます。日本会議と自治体と県警がつくり出した異様なシーンがしばらく続きます。そしてナルヒトは後から宮内庁を通して、「広島の街に浮かび上がった皆さんの提灯のあかりはとてもきれいでした。皆さんの万歳の声もよく聞こえ、うれしく思いました」と委員会に伝えています。明確に意図して「皇室と国民の絆」を固めようとする発言です。
マルクス主義経済学者で歌人でもあり、30年代の獄中経験もあった大塚金之助に次の一首があります。「君のしずかな態度の底に暴力をひそませているのを見のがしはしない」。「君」はヒロヒトを指し、50年に発表されています。天皇と天皇制の本質は、まさに暴力と戦争です。いま沖縄や広島への訪問を重ねているナルヒトの狙いについては、全学連の神野豊典さんが完璧に明らかにしています。「その狙いは、新たな侵略戦争に向かって天皇の下への国民統合をつくることだ」(本紙3402号)。ナルヒトの動きは日帝による中国侵略戦争に直結しています。
1928年の「奉祝」行事と現在の天皇行事との間にある決定的な違いは、沖縄や広島では「奉迎」の声を直撃する「天皇制を粉砕するぞ」の熱い声があることです。天皇と天皇制は暴力であり、治安警察とマスメディアに守られて、愛国主義と差別を広げようとしています。しかし、決して強い存在ではありません。闘って打ち倒しましょう。
(そがめ・ひろふみ)
2025.7.21