国防教育導入狙う防衛省 小学校に「はじめての防衛白書」配布

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週刊『前進』04頁(3406号02面04)(2025/07/28)


国防教育導入狙う防衛省
 小学校に「はじめての防衛白書」配布

(写真 「はじめての防衛白書2024」)

 防衛省が、小学生高学年以上を対象にした冊子「はじめての防衛白書~まるわかり!日本の防衛2024」を今年度から小学校に配布し始めている。これは、学校を拠点に労働者人民を中国侵略戦争に駆り立てるものである。撤回あるのみだ。
 「はじめての防衛白書」は21年以来、「防衛白書」の発行に合わせて作成されてきた。学校配布は今回が初めてだ。配布された24年版は、〝ウクライナのようになるな〟と中国、北朝鮮、ロシアの「脅威」をあおって「敵」を圧倒する「抑止力」が必要だと説き、「反撃能力」を含む大軍拡を正当化する。それはヒロシマ、ナガサキ、オキナワを繰り返さないという労働者人民の立場とは真逆である。
 22年末に閣議決定した安保3文書は、「国家安全保障戦略」で愛国心を養うことを、「防衛力整備計画」で「安全保障教育の推進」を打ち出した。中国侵略戦争に踏み出す中で自衛官不足にあえぐ防衛省は、安保3文書に基づき学校に国防教育を持ち込み「国のために戦う」子どもたちを育成しようとあがいている。まさに戦前の「少国民」(天皇に仕える小さな国民)づくりにほかならない。
 防衛省は、24年8月に文部科学省に確認をとり、25年度配布に向け各地の防衛局から県教育委員会に「小学校の図書館を含む様々な場面での活用」「各教育委員会及び小学校への周知」を要請。これを受けた県教委が市町村教委に通知し、防衛省は各学校に1~10冊程度を直接送付した。その数は、全国約1万8500校の小学校のうち約2400校、約6100冊。防衛省は副教材化を狙っているのだ。すでに小6の社会科教科書に防衛省のキッズサイトへと誘導するQRコードが掲載されている。配布を断固阻止しよう。

募集に力入れる25年版

 25年版の冊子が7月に発行された。タイトルは「まるわかり!日本の防衛」であり、例年の「はじめての防衛白書」という文言は削除された。実際、「防衛白書」をそのまま凝縮したものではなく、自衛官募集を大々的にうたっている。
 25年版は、冒頭の「自衛隊の災害派遣」とそれに続く「自衛隊について詳しくなろう」という説明で半分を占める。そこでは「女性自衛官の活躍」「どうやったら自衛官になれるの?」「自衛官の食事」「ブルーインパルス」などを紹介。後半は昨年同様に中国、北朝鮮、ロシアの「脅威」をあおり、「抑止力を強くします」で締めくくる。巻末には進路の選択肢として、「防衛白書」の特集「多種多様なコース」を転載している。
 防衛省が「第一の任務」ではない「自衛隊の災害派遣」を冒頭に掲載したのは、自衛隊の侵略軍隊化を押し隠すと同時に、学習指導要領で自衛隊の災害派遣が取り上げられていることを鑑み、学校に持ち込みやすくするためである。
 独仏など欧州各国では徴兵制復活が叫ばれている。日帝も自治体の自衛官募集業務と一体で学校を拠点に募兵活動を展開しようとしている。中国侵略戦争への動員を阻止しよう。
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