8・15労働者市民のつどい 今こそ反戦に立ち上がる時 基調講演(要旨)森川文人さん(弁護士)
8・15労働者市民のつどい
今こそ反戦に立ち上がる時
基調講演(要旨)森川文人さん(弁護士)

今、排外主義が大手をふるい、天皇が再び利用され、格差と貧困は庶民に拡大し、米軍と自衛隊は連携を深めて中国へ再び戦争をしかけようとしている現実です。「戦後」はすでに過去であり「戦争前夜」の時代です。私たちは何をなすべきか、その正念場を迎えていると実感します。
今年は治安維持法と普通選挙法100年ですが、これらの制度の目的は、コメ騒動で当時の政権を吹き飛ばした労働者民衆のエネルギーを抑えつけることでした。治安維持法により国内の直接行動勢力を弾圧し、その上で議会制民主主義(のみ)を提示し、数年に一度の選挙によるガス抜き以外は、願ったり、祈ったり、期待させたりだけに抑え込む----このような形で民衆の強大な力を骨抜きにすることが目的でした。今も権力の目的は変わらない。「民衆の武装解除」と「支配としての議会制民主主義」が100年後の今も継続しています。
●排外主義と対決を
この中で排外主義ナショナリズムとの対決が問われています。石破政権は参院選の最中に「外国人政策の司令塔」となる組織を発足させました。また「慰霊の旅」と称して硫黄島、沖縄、広島へ天皇ナルヒトを派遣していますが、「慰霊の旅」とは、今度の戦争でも慰霊してやるから頑張れ!という戦争動員への恫喝以外の何物でもないでしょう。天皇制こそ「差別と排外主義の頂点」の存在です。
ナショナリズムというのは私たちに根深くしみこまされています。体制内リベラルはナショナリズムと決別できません。しかし、レーニンが指摘するように国家は普遍的な存在ではなく、階級支配のための暴力装置に過ぎません。
資本主義の根底的行き詰まりから生じている経済的・社会的閉塞(へいそく)、生活困窮、様々な抑圧や不安の出口は、帝国主義打倒の革命しかありません。青年・女性の不満と怒りを、現状打破のエネルギーとして革命に解き放つ以外に未来はない。このことに確信を持ちましょう。
●中国侵略戦争の歴史学ぼう
排外主義の極致が戦争です。戦争に反対しないで排外主義に反対なんてことは、ありえません。ここでは具体的に「中国、朝鮮、アジア人民と我々との歴史」、その認識が問題になります。我々日本の大衆の中に深くしみ込まされた「脱亜入欧」、つまり「中国や朝鮮などアジア蔑視の排外主義」こそ打倒しなければならないのです。
戦前の日本は、1931年9月の柳条湖事件をでっち上げ、中国東北部侵略戦争を始めました。翌32年1月、天皇は関東軍の謀略と軍事行動を「果断神速」と称賛し、満州侵略は正式に国策となりました。中国の民衆は自発的に義勇軍を組織し、抗日ゲリラ闘争に立ち上がりました。
これに対して日本軍は2千万人を超えるアジア人民の虐殺=いわゆる15年戦争を始めました。日本軍は強姦(ごうかん)、放火、略奪、平頂山事件、南京大虐殺から重慶爆撃などを起こし、細菌兵器開発のために人体実験を行う「731部隊」の設置など、「三光作戦(殺しつくし、焼きつくし、奪いつくす)」と呼ばれる残虐な蛮行を行いました。残虐の極みの侵略戦争を行った上、敗れたのです。
日本が中国を残虐に侵略したこの事実を徹底的に踏まえなければ、いくら「差別、排外主義はいけない」と言っても説得力はないです。排外主義に反対するなら目の前の新たな中国侵略戦争に反対の声をあげ、戦争を推進する自国政府を打倒する反戦に立ち上がらなければなりません。
●戦争こそ排外主義の極致
国家が発動する戦争とは、国家の名によって他国の兵士と民衆を殺害する「大量殺人」そのものです。日常においては人を殺すなかれとしておきながら、「日本人のために、中国人を殺せ」とするのが中国侵略戦争です。
これと真正面から対決できるのは原則的でラディカルな革命思想、つまり、革命的祖国敗北主義の思想と行動だけです。「石破やめるなデモ」のような日和見は、どこまでも人任せ、議会・政府任せであり、結局は排外主義に協力するようになる。これが歴史の教訓です。
自国政府打倒の戦争反対に立てるか。反戦は祖国敗北主義しかない。ここに確信を持ち、広げましょう。
●弾圧に抗する反戦闘争を
今年だけで全学連の学生や労働者が15人以上逮捕されています。8・6広島原爆ドーム前での数百人の機動隊の暴力による排除もありました。私も機動隊に運び出され、首にケガしました。
でも、このむき出しの暴力に私たちは負けていません。ドーム前に覚悟を決めて座り込んだ労働者・学生の1割も機動隊は排除できませんでした。世界中の仲間が注目し、連帯してくれています。
全学連には若い男女が続々と結集しています。デモや集会に集まるたび新しい顔が増えている。素晴らしいです。
革命とは、目の前に展開されている「でたらめな世界」をすべてひっくり返すこと、搾取がなく、飢えがなく、戦争がなく、核での人類消滅もない、甲斐なき悲しみのない世界を自らの手で実現することです。私たちの階級的反戦運動はこれです。仲間を広げ、世界の仲間と共に頑張りましょう。