ガザ虐殺・更地化許すな イスラエルが作戦拡大
週刊『前進』04頁(3412号02面03)(2025/09/08)
ガザ虐殺・更地化許すな
イスラエルが作戦拡大
イスラエル軍は8月20日、パレスチナ自治区ガザ北部ガザ市を制圧する計画の予備作戦を開始、同市郊外はすでに掌握したと発表した。その後も病院などを攻撃して虐殺を激化させ、物資の搬入制限などにより飢饉(ききん)を引き起こしている。9月2日には、新たに6万人の予備役招集を開始した。アメリカ帝国主義の全力の後押しを受けて、ガザの完全更地化・人民一掃へ突進している。
51万人超が飢餓広がる人道危機
8月8日にイスラエルの治安閣議が承認した計画は、10月7日を住民の退避期限とし、その後に地上侵攻をさらに強化するとしている。ネタニヤフ首相は8月20日、ガザ市制圧までの期間を短縮するよう指示したと明らかにした。翌21日にはハマスとの停戦交渉を再開する方針を示したが、ガザ各地での攻撃は継続している。イスラエル軍は25日、南部ハンユニスのナセル病院を攻撃し、ガザ保健当局によると医療従事者や患者、報道関係者を含む20人が殺害された。軍はまず病院に無人機攻撃を行い、救助隊や報道陣が集まったところを再び攻撃した。「ダブルタップ」と呼ばれる方法で、意図的に被害を拡大したのだ。ガザ当局は同日、2023年10月7日以降のガザ側の死者は6万2744人になったと発表した。
「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉検討委員会は8月22日、ガザ市と近郊で「飢饉」が発生していると認定した。飢饉が認定されたのは世界で5例目で、中東では初めてだ。ガザ地区の200万人のうち26%にあたる51万4千人が「壊滅的飢餓」に陥っており、54%にあたる107万人が「人道危機」の段階にあるという。
そうした中でイスラエル軍は29日、支援物資搬入のためとして7月末からガザ市などで続けてきた限定的な戦闘停止措置を終了すると発表し、ガザ市を「戦闘区域」と宣言。翌30日には、イスラエル政府がガザ北部への支援物資の空中投下を近く停止する方針だと報じられた。飢餓に苦しむガザ市民をさらなる地獄にたたきこみ、根絶やしにしようとしているのだ。
一方、ヨルダン川西岸を管轄するイスラエル軍民政局は20日、西岸の「E1」地区に住宅3401戸の入植地を建設する計画を承認した。計画が実行されれば、同地区や周辺に住むパレスチナ人のベドウィン(遊牧民)数千人が土地を追われる。イスラエル当局はすでに住民に立ち退きを命じている。絶対に許すことはできない。
イエメンの首都空爆し首相殺害
イスラエル軍は中東諸国への攻撃も激化させている。28日にはイエメンの首都サヌアで空爆を行い、フーシ派の首相と閣僚数人を殺害した。軍トップのザミール参謀総長は、30日のガザ市への空爆でハマスの報道官を殺害した後、「ハマスの指導者は国外に多くいる。我々は彼らにも到達する」と、他国へのさらなる攻撃を示唆した。こうした中、トランプ政権は29日、「パレスチナ自治政府とパレスチナ解放機構(PLO)が教育の場でテロを扇動している」として、自治政府とPLOの関係者に対する米国のビザを取り消し、新規発給も拒否すると発表。31日には、米国がガザを最低10年間、管理下に置き、200万人超の住民を「自発的に」移住させるため、ガザを離れる場合に現金5000㌦や移住先での4年間の家賃補助、1年分の食料を支給する案を検討していると報じられた。中国侵略戦争に向けてガザ・中東の軍事的「平定」を急ぐ米帝は、イスラエルを先兵とするパレスチナ占領・民族浄化にますます凶暴に乗り出しているのだ。
この米帝と一体でイスラエルを支え続けているのが日本帝国主義だ。ガザ大虐殺を絶対に許さず、パレスチナ連帯闘争を中国侵略戦争阻止・帝国主義打倒の闘いとしてさらに拡大し闘い抜こう。10・5反戦闘争を大爆発させよう。