十亀弘史の革命コラム-33- 戦争と一体の排外主義
十亀弘史の革命コラム-33-
戦争と一体の排外主義

排外主義は戦争に直結しています。『十五年戦争小史』(ちくま学芸文庫)で、江口圭一は、当時の民衆を戦争支持へ導いた心情的要素として次のような要素を挙げています。「中国蔑視」と「日本軍将兵への同胞感情」、「満州」の利権への執着、また「天皇=国家への無条件の随順」。排外主義はそれらの要素の全てを併せ持ち、徹底して暴力的です。そして今、そのような排外主義が、再びの中国侵略戦争に向けて、参政党などによってあおり立てられ、しかも国会内のどの政党もそれに追随しようとしています。
日本共産党は排外主義について、まず、「その特徴は〝他者の存在、他者の尊厳と人権を認めない〟ことにあります」と抽象的に規定、解説した上で、戦争との関わりについては「戦前の美化」だとしか説こうとしません(「赤旗」8月25日付)。日本帝国主義による中国侵略戦争の進行とそのための排外主義扇動という目の前の現実を一切無視しています。
極め付きは田村智子委員長による8月25日の記者会見です(同紙8月26日付)。田村はその前、22日の会見で、市民が参政党の街頭演説に大音量のマイクや発煙筒などで対抗した行動を「これはあると思う」といったん「容認」するかのような発言をしています。ところが25日にはその発言を、「市民の行動の是非についてコメントをすることは適切ではない」と撤回した上で、自分の発言は「川崎などでのヘイトスピーチに対してのものであって、参政党の街頭演説についてのべたものではありません」と釈明しています。
要するに参政党による排外主義扇動は自由にやって下さい、どんな抗議もいたしませんと述べ、加えて、市民による抗議行動は「言論には言論で」という原則を逸脱している、とまで言明しているのです。日本共産党は排外主義に同調し、現在の中国侵略戦争の進行を無視することによって、その戦争に加担しています。
「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺102年9・1反戦デモ」で、リレートークの「基調報告」が明らかにしています。参政党が「排外主義をあおり参院選で議席を獲得した構造は、9・1の虐殺と同じです。まさに米日の中国侵略戦争が激しく現実化している中での差別・排外主義の扇動だからです」。戦争と一体の排外主義を、「言論」だけでなく実力で打ち砕きましょう。
(そがめ・ひろふみ)
2025.9.15