岩国に中距離ミサイル配備 日米大演習に抗議広がる

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週刊『前進』04頁(3414号02面04)(2025/09/22)


岩国に中距離ミサイル配備
 日米大演習に抗議広がる


 9月11日から日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン25」が行われている。防衛省が8月に実施予定を公表した段階からさらに参加人員は増え、陸海空自衛隊から1万4千人、米軍から在日海兵隊を中心に5千人が参加して合計2万人に届こうとする大演習が強行されている。

タイフォン初配備

 新たに発表された訓練で焦点になっているのが、米軍岩国基地(山口県)への最新鋭の中距離ミサイルシステム「タイフォン」の日本初展開だ。
 タイフォンは、射程1600㌔メートルの巡航ミサイル・トマホークを発射でき、岩国に配備すれば中国の首都・北京にすらミサイル攻撃を届かせることができる(下図)。また、射程350㌔ほどだが迎撃困難な極超音速滑空弾に対処する能力を持つと言われる最新鋭の対空ミサイルも発射できる。つまり、約2千発の中距離ミサイルを保有するとされる中国への侵略戦争において、想定される激烈なミサイルの撃ち合いに対応する兵器がタイフォンなのである。中国スターリン主義はタイフォン配備に激烈に反応して「断固たる反対」を表明し、「速やかな撤去」を要求した。
 タイフォンは、すでに昨年4月の米比合同演習でフィリピン・ルソン島北部に配備された。米軍は「一時配備」だとしたが、その後「撤退の予定はない」として事実上の正式配備になっている。今回の岩国での展開では「訓練後に撤収する」としているが、米国に持ち帰るのかは不明で、いつでも配備できるよう準備していることは明らかだ。
 また、タイフォンから発射できるトマホークは元々、核兵器を搭載できた兵器だ。「中距離核戦力(INF)全廃条約」のもとで核搭載弾頭はすべて廃棄されたが、米軍はINF全廃条約の破棄と一体で2018年の「核態勢見直し(NPR)」以来、潜水艦発射型ミサイルへの戦術核搭載や海洋発射型核巡航ミサイルの復活に踏み出しており、トマホークへの再びの核弾頭搭載は現実的な選択肢としてある。
 今年6月、日本帝国主義の意を体現して笹川平和財団が「核共有」=日本への米核兵器の配備を打ち出した提言では、「南西諸島に地上発射型中距離核ミサイルを配備すれば、中国内陸部を攻撃することが可能」だと述べた上で「しかし沖縄への配備は政治的に費用がかかる」と記載。沖縄人民の反戦意識・闘争に追い詰められている米日帝国主義は、沖縄をはじめとして日本全土のミサイル基地化をにらんで今回のタイフォン展開を強行したのだ。

侵略軍隊化に怒り

 中国侵略戦争へ向け、軍事演習は質・量ともに増え続けている。公表された米軍と自衛隊の共同演習の回数は14年度の25回から23年度には82回へ、3カ国以上で行う多国間訓練は42回から142回と、ともに3倍以上に激増した。世界的な核戦争危機の激化の中、自衛隊・米軍の凶暴化に対して多くの人民が反戦闘争に立ち上がっている。
 今回の演習では、宮古島市(沖縄県)の平良港前に結集した人民の闘いによって、平良港から宮古島駐屯地までの物資輸送訓練は中止に追い込まれた。
 与那国町(沖縄県)での高機動ロケット砲システム「ハイマース」の展開訓練は直前に中止となった。昨年、与那国島へのミサイル部隊配備の話が持ち上がった際に与那国町議会の議長が「沿岸監視部隊の配備だけという説明だった。国は詐欺師のようで不信感しかない」と述べたように、人民の中に侵略軍隊化する自衛隊への不信と怒りが爆発しているのだ。
 岩国では25年ぶりの「空母艦載機離発着訓練(FCLP)」に地元自治体が「反対」の意思を表明した。背景には、戦争と基地に反対する人民の危機感の高まりがある。
 これらの怒りと闘いの先頭に改憲・戦争阻止!大行進運動が立ち、各地で軍事演習反対の闘いに立ち上がっている。高まる人民の怒りと一体となって、中国侵略戦争を阻止しよう。
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