移民に内戦しかけるトランプ 排外主義で中国侵略戦争へ突進
週刊『前進』04頁(3415号04面05)(2025/09/29)
移民に内戦しかけるトランプ
排外主義で中国侵略戦争へ突進
射殺された米極右活動家チャーリー・カークを「殉教者」として祭り上げた9月21日の「追悼式典」ではバンス副大統領、ルビオ国務長官、ヘグセス国防長官らトランプ政権の高官が軒並み登壇し、さながら1930年代のドイツで開かれたナチの党大会のような異様な様相を呈した。アメリカ帝国主義・トランプ政権はカーク殺害事件を徹底的に利用して「不法移民」「極左」を標的とした「内戦」に乗り出した。大没落を深め中国侵略戦争に突進する中で「国民統合」をつくりだす手段はそれしか残されていないからだ。しかし、米労働者人民は断固として反撃に立っている。
移民拘束・収容で階級闘争圧殺狙う
「史上最大の強制送還」を公約に掲げて当選したトランプは、就任後直ちに移民・税関捜査局(ICE)を使った「不法移民」の襲撃・強制送還に踏み切った。「年間100万人送還」を目標に掲げ、7月に成立した「一つの大きく美しい法」では収容施設の拡大や摘発の強化に総額750億㌦(約11兆円)という巨額の予算を計上した。大統領次席補佐官ミラーがICEに「1日3千人の拘束」を命じた今年5月ごろからは、米国への滞在許可について審理する移民裁判所での拘束も常態化した。収容者の急増を受け、収容所の食事や住環境も極限的に悪化している。当初は「犯罪歴のある外国人」が拘束対象だとしていたが、現在は犯罪歴とは関係なく襲撃・拘束している。米紙ニューヨーク・タイムズは8月下旬、第2次トランプ政権下で少なくとも18万人が強制送還され、26年1月までに40万人以上に達する見通しだと報じた。
中でも、トランプはシカゴやメンフィスを名指しし、州兵を派遣すると恫喝している。シカゴは米階級闘争の一大拠点であり、メンフィスは黒人解放闘争の歴史において象徴的な地だ。トランプによる攻撃の核心は、労働者階級の闘い、わけても黒人解放闘争が幾多の犠牲の上にかちとってきた地平を否定し、たたきつぶすことにある。
米日韓の国際連帯で帝国主義打倒を
ICEは9月4日、ジョージア州にある韓国・ヒュンダイ自動車とLGエナジーソリューションの合弁会社による工場建設現場を襲撃し、韓国人320人を含む475人を拘束した。単一施設としては史上最大規模の強制捜査だ。ヘリコプターが上空を旋回する中、銃を身に着けた捜査官が装甲車を伴って工場に突入。労働者たちが手錠をかけられ、鎖で手、足首、腰をつながれて連行される様子をICE自らが動画で拡散した。これ自体が許しがたい排外主義キャンペーンだ。労働組合の威力をよく知るヒュンダイは米への進出に際して労組を徹底的に排除し、米国での就労を禁じる短期滞在ビザで労働者を雇用することを慣行としていた。この工場では過去2年間ですでに3人が死亡し、死傷者数は業界平均をはるかに上回るという。労働者の不安定な法的地位を利用して搾取する資本の不正につけこみ、移民当局は「職場の安全問題」を口実に踏み込んできたのだ。
民主労総はトランプ政権の暴虐を糾弾すると同時に、造船業などへの巨額の投資を行って米帝との軍事的・経済的一体化を進める李在明(イジェミョン)政権に対して、労働者の権利と安全を守る立場に立つよう強く求めて闘っている。
そして何より、米帝とともに中国侵略戦争に突進する日本帝国主義は自民党総裁選をも契機として排外主義攻撃を激化させている。収容所もろとも入管体制を解体する闘いが日本でこそ必要だ。軍隊を前面に立てた支配階級の襲撃に対して、人民の実力闘争を公然と対置しプロレタリア暴力革命に突き進むことこそ、労働者階級の生きる道だ。米韓労働者階級と連帯し、日帝打倒に向けて10・5反戦闘争を爆発させよう。