今こそ中国侵略戦争阻止に立て 日米―米中会談の歴史的転換 米日帝が世界戦争へと突進

週刊『前進』04頁(3422号03面01)(2025/11/17)


今こそ中国侵略戦争阻止に立て
 日米―米中会談の歴史的転換 米日帝が世界戦争へと突進

(写真 女性解放闘争と反戦闘争を一体で闘い「中国侵略戦争阻止」を真っ向から掲げて打ち抜いた11・2全国労働者総決起集会・デモ)


 10月28日の日米首脳会談から30日の米中首脳会談を経て、米日帝国主義は中国侵略戦争へ本格的・全面的に突入している。日本帝国主義・高市政権の「台湾有事は存立危機事態」宣言を見よ! 武器輸出5類型撤廃―全面解禁、安保3文書の前倒し改定や軍事費対国内総生産(GDP)比2%化、原潜保有、「非核三原則」の撤回、沖縄・日本全土のミサイル基地化、反中国の排外主義の大扇動----日本の社会全体が戦争に向かって雪崩落ちていくのか、これを覆し革命への道を切り開くのか。今が歴史の分岐点だ。中国侵略戦争を止める反戦闘争に猛然と立ち上がるべき時は今だ。中国侵略戦争突入国会を労働者・学生・人民の怒りで包囲し、粉砕しなければならない。11・29新宿駅頭に首都・全国から結集し、大反戦デモを巻き起こそう!

米帝が戦争態勢に本格突入

 10~11月の日米首脳会談、米中首脳会談、日中首脳会談とその後の一連の過程が示したもの、示しているものは何か。それは、中国侵略戦争・世界戦争が絶対に不可避であるということであり、米日帝国主義は中国侵略戦争にいよいよ本格的・全面的に突入しているということだ。

軍事・経済両面で中国スタを恫喝

 トランプ・習近平の米中会談について、「台湾問題が議題にならなかった」ことをもって、「戦争は遠のいた」などという者がいる。だが事実は真逆である。10月30日の米中会談の2日前の28日、日米首脳会談では日帝・高市と「台湾海峡の平和と安定の重要性」「中国問題」をごりごり確認し、その直後、横須賀で米核空母「ジョージ・ワシントン」に乗り込んだトランプは、「我々の国を守るためにどんな手段も使う。それはたいてい政治的に正しい方法ではない。戦争になれば我々は必ず勝利する」「誰も我々のように装備を造れない。弾薬や武器、ミサイル、航空機のどれも造れない。もし造れば米海軍にはそれらを粉砕し、沈めて破壊し跡形もなく吹き飛ばす用意がある」などと発言した。これが中国に向けた発言であることはあまりにも明白である。そしてトランプは習近平との会談の会場に向かうヘリの中で「核実験再開の指示」を出した。核戦争の恫喝までやって習近平との会談に臨んだのだ。「台湾問題が議題にならなかった」のではなく、米帝は中国スターリン主義・習近平に対し、この間の米帝による台湾強奪のやりたい放題の軍事的・政治的策動について一言の文句も言わせなかったのである。
 そうしておいてトランプは、中国のアメリカへのレアアース輸出規制について1年間凍結させ、トランプ・共和党の支持基盤である大豆農家を苦境に陥らせていた米国産大豆の輸入停止についても解除させた。
 米帝にとって、今回の米中首脳会談の最大の目的は、米帝が独自のレアアース供給体制をつくるまで、中国スターリン主義にレアアース輸出規制をやめさせることにあったといっていい。トランプが4月に発動した中国への125%関税に対して、中国スターリン主義も報復的に関税を引き上げたが、米帝にとって決定的打撃となったのは、中国によるレアアース輸出規制だった。中国は世界のレアアース鉱石生産の約7割、精錬・加工は9割以上を独占している。ハイテク製品・兵器、電気自動車(EV)に不可欠のレアアースの生産・精錬は、放射性廃棄物や化学物質による土壌・水質汚染、健康被害を引き起こす。中国スターリン主義はこれらの被害を人民に押しつけることでレアアースの独占を実現し、帝国主義はこの中国スターリン主義に依存して安価なレアアースを手にしてきたのだ。中国スターリン主義はレアアースを米帝・帝国主義に対抗する「武器」にした。確かにそれは米帝・帝国主義に「打撃」を与え、トランプは関税を大幅に引き下げざるを得なかった。しかし、それは米帝の中国侵略戦争を押しとどめるものになるどころか、逆に一層促進しただけだ。
 米帝はただちにレアアースの中国依存をやめ、独自の供給体制づくりに全面的に着手した。米国防総省は米軍専用のレアアースを確保すべく国内鉱山企業に出資し、日帝やオーストラリアとの開発・生産協力の強化を進め、日米首脳会談でも重要議題とした。トランプは東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議のため訪問したマレーシアでも同国とタイそれぞれとレアアースや鉱物資源の協力を強化する二国間協定(覚書)を結んだ。そうしておきながら米帝は米中会談で、中国にレアアース輸出規制措置の発動を1年間停止させたのである。
 これが帝国主義とスターリン主義の力関係である。米帝は中国スターリン主義が帝国主義の経済的・軍事的包囲と重圧にあえぎ、経済的・体制的危機を深め、ただちに米帝と全面的な軍事的対決に踏み出すことができないことを見越して、レアアース輸出規制をまず1年止めさせた。これと引き換えにトランプが「譲歩」したものは、「合成麻薬フェンタニルの中国からアメリカへの流入」を理由とする関税20%の10%引き下げや、中国の海事・物流・造船業に対する米通商法301条による制裁(入港手数料徴収)の1年停止などに過ぎない。トランプはこの成果に十分満足し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議自身は欠席して帰国したのだ。

猛然たる大軍拡・軍需生産を開始

 その後もトランプ自身は表向きは中国との対立を避けながら、しかし米帝は猛然と中国侵略戦争に本格的に突入している。11月7日、「戦争長官」ヘグセスは米軍需産業の幹部を集めて演説し、「戦時の防衛産業への転換」を求めた。そして「防衛大手は変革を迫られている。スピードアップと量産に注力すべきだ」と圧力をかけ、「大統領に付与された数多くの権限を最大限に活用する用意がある。安全保障が最優先だ」とまくし立てた。さらに「あらゆる企業が防衛産業基盤に加わるのを望む」と述べ、「同盟国が米国と相互運用性のある優れた兵器を装備することで、危険な世界的な課題に立ち向かえる」「敵対勢力は手をこまねいてはいない。新しい能力を開発・展開するスピードは米国に警鐘を鳴らすほどだ」と猛烈に危機感をあおった。ドリスコル米陸軍長官も同日、米陸軍が今後2~3年で最低100万機の無人機(ドローン)を購入すると明らかにした。年5万機程度にとどまる現状から大幅に増やす計画である。米帝は中国侵略戦争を遂行し勝利するために必要なものを国家総動員で造りあげようとしているのだ。

高市こそ中国侵略の最先兵

 この米帝と完全に一体のものとして日帝・高市政権の安保3文書前倒しの来年中改定、軍事費GDP比2%の今年度中達成、有識者会議報告書を実行する「日本成長戦略」=経済安保政策の全面推進がある。
 米帝が中国侵略戦争を本格的に構える中で、日帝・高市が突出した役割を果たしている。高市が所信表明演説で言った「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」とは、「中国侵略戦争・世界戦争の真ん中」に日帝が躍り出るという宣言に他ならない。高市は、ASEANやAPEC首脳会議でもトランプが意図的に触れなかった台湾問題に繰り返し言及し、日米韓豪比など「同志国」との連携を強化し「自由で開かれたインド太平洋」を実現すると強調した。そして経済安全保障の強化やレアアースの供給確保、人工知能(AI)、造船などで中国侵略戦争遂行のための継戦能力形成に全力を挙げることを確認したのである。
 さらに「中国は重要な隣国」などと言って習近平を日中首脳会談に呼び寄せた高市は、台湾問題のみならずウイグル自治区と香港の「人権問題」にまで踏み込み、会談後にはこれ見よがしに台湾代表との関係も深める挑発行為を行った。
 小泉防衛相も29日(東京)、1日(マレーシア)とヘグセス「戦争長官」との会談で、対中国の大軍拡と日米同盟強化を確認し、武器輸出5類型撤廃や原潜保有、長射程ミサイル配備などで「これまでの制約を取り払う」言動や国会答弁を繰り返している。こうした積み重ねの上に国会での高市の「台湾有事は存立危機事態」の宣言があり、さらに中国側からの当然の猛烈な反発をも中国への敵意と排外主義をあおるために利用している。まさに戦前の日帝の中国侵略戦争の歴史そのままではないか! 
 労働者階級人民は、今こそ中国侵略戦争阻止の反戦闘争に総決起しなければならない。一握りのハイテク・軍需企業のみが肥え太り、労働者人民を物価高と生活困窮の中にたたき込み、排外主義と戦争の地獄に引きずり込もうとする帝国主義こそ打ち倒すべき敵だ。11・2労働者集会に結集した力を拡大し、11・29新宿反戦デモへ巨大な決起をつくり出そう。

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