安保理、ガザ「和平計画」採択 米帝による植民地化を後押し
週刊『前進』04頁(3424号02面04)(2025/12/01)
安保理、ガザ「和平計画」採択
米帝による植民地化を後押し
国連安全保障理事会は11月17日、パレスチナ自治区ガザをめぐるアメリカ帝国主義・トランプの「和平計画」を支持する決議案を採択した。事実上の全会一致で、米帝=イスラエルによるガザの植民地化に「お墨付き」を与えたのだ。
「平和評議会」議長にトランプが就任
この決議をもてこに米帝=イスラエルは、パレスチナ解放闘争の完全解体と中東全域における帝国主義支配の再確立を狙い、虐殺をなおも続けている。絶対に許すことはできない。米帝とイスラエルが9月に合意した、20項目からなる「ガザ紛争終結のための包括的計画」は、トランプが議長に就任する「平和評議会」がパレスチナの「戦後統治」を監督し、米帝が主導してガザに即時展開する「国際安定化部隊(ISF)」を創設するなど、帝国主義的利害をむき出しにした植民地支配計画そのものだ。これを支持する決議に日本帝国主義を含む13カ国が賛成し、拒否権を持つ中国とロシアは棄権した。
また、ドイツ帝国主義は11月17日、イスラエル向け武器輸出を24日から再開すると発表した。全帝国主義が名ばかりの「停戦」を口実に再び公然と米帝=イスラエルによる大虐殺・帝国主義的侵略を後押しし始めたのだ。
イスラエル軍は10月10日の「停戦」発効後も、「ハマスによる停戦合意違反」を主張してガザへの攻撃を繰り返し、1カ月で240人以上を虐殺した。連日の攻撃でガザの産業は壊滅状態だ。200万人以上いた住民のほとんどがガザの半分しかない地域に押し込められ、人口の6割は自宅を失い、テントにすら住めない人もいるなど、住民の苦難は極限化している。「和平計画」に盛り込まれたガザへの人道支援物資拡大さえもいっこうに進んでいないのが現実だ。
イスラエル軍は11月19日にレバノン南部のパレスチナ難民キャンプで13人を、ガザでも25人を殺害するなど、攻撃をエスカレートさせている。
2023年10月以降、イスラエル軍はガザで数千人を容疑も告げずに拘束した。ハマスが人質を解放するたびにイスラエルも拘束者の一部を解放したが、現在も1千人以上を拘束している。解放された市民の証言により、拘束中の苛烈(かれつ)な拷問や暴行も明らかになっている。
アブラハム合意の再推進を狙う米帝
一方でトランプは11月18日、サウジアラビアの皇太子ムハンマドと会談し、これまで同盟国にのみ供給してきた最新のF35戦闘機の売却や戦略的防衛協定などで合意した。さらにサウジを、軍事装備品の共同研究・開発などが可能な「非北大西洋条約機構(NATO)同盟国」に指定し、サウジが求める民生用の原子力協定の締結も「ありうる」とした。トランプの狙いはサウジとイスラエルの国交樹立だ。米帝は第1次トランプ・バイデン両政権を通じ、「パレスチナ国家の樹立なくしてはイスラエルを認めない」(「アラブの大義」)としてきた中東諸国とイスラエルの国交正常化を進める「アブラハム合意」を強力に推し進めた。だが米帝とイスラエルの「新中東」構想=パレスチナ抹殺攻撃に対して23年10・7蜂起という渾身(こんしん)の大反撃がたたきつけられ、サウジとの交渉は頓挫していた。それをトランプは現在の「停戦」を機に巻き返し、パレスチナ―中東の民族解放闘争を最後的に解体する決定打にしようとしているのだ。
米日帝が延命をかけて中国侵略戦争に突進する中で、イスラエルによるガザ大虐殺―パレスチナ解体攻撃にもますます拍車がかかっている。戦争と虐殺の元凶である帝国主義の打倒こそ、パレスチナ解放の唯一の道だ。不屈に闘うパレスチナ人民と固く連帯し、中国侵略戦争阻止、日帝・高市打倒の反戦闘争を大爆発させよう。