革命的敗北主義貫き侵略戦争阻止を 戦争協力の杉並区を追及 反戦を訴え洞口区議が質問

週刊『前進』04頁(3424号03面01)(2025/12/01)


革命的敗北主義貫き侵略戦争阻止を
 戦争協力の杉並区を追及
 反戦を訴え洞口区議が質問

(写真 洞口朋子杉並区議)

(写真 高市政権打倒!中国侵略戦争阻止を掲げた11・2労働者総決起集会・デモで先頭に立つ洞口区議【手前右から2人目】)


 11月19日、杉並区議会第4回定例会において洞口朋子議員が一般質問を行いました(抜粋別掲)。「私は中国侵略戦争阻止を訴え続けてきましたが、今その戦争は本当に目の前に迫っている」として、高市政権による中国侵略戦争突入を徹底弾劾し、トランプ・高市の横須賀基地演説への岸本聡子区長の立場を追及しました。
 これに対し岸本区長は「高市政権では政治とカネの問題を解決できない」などとはぐらかし、総務部長は「演説は両国の国防と外交に関する連携を強調した」とトランプ・高市演説を賛美する答弁を行いました。これに対して再質問に立った洞口区議は、「政府が戦争を始めようとしているときに平和外交を対置するだけでは戦争を止めることはできない。『2027年開戦』と言われている中での演説の内容について岸本区長の明確な見解を求めます」と強く迫りました。
 さらに杉並区が行っている自衛官募集業務について、再質問で「1年先に始まろうとしている中国への戦争で最大の焦点になっているのが自衛隊です。数千数万人の自衛隊員が台湾海峡や中国大陸で死亡しようがあくまで戦争を継続していく、高市政権の言う『継戦能力をつくる』とはそういうことです。自衛隊の慢性的な人員不足や高齢化とは、青年層がこの戦争に身を捧げることを拒否していることを示している。まさにこの政府の危機を救済しようとしているのが杉並区ではないですか」「国の要請に唯々諾々と従っていて、どうやって戦争を止めることができるのか」と徹底追及しました。
 高市政権が中国侵略戦争を決断し踏み込む中、「帝国主義戦争を内乱に」転化する闘いを貫き、その戦争の本質を暴き、議会という権力機関の内側からこれを止める闘いが始まっています。
(改憲・戦争阻止!大行進杉並 伊藤昌樹)

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洞口区議の議会発言(抜粋)
 高市の発言は侵略戦争宣言
 戦争の開始に体を張り闘う

 私は、議会内外で中国侵略戦争阻止を訴え続けてきましたが、今その戦争は本当に目の前で始まっています。安保3文書改定の前倒し、防衛費の国内総生産(GDP)比2%化の今年度中達成の宣言、日米会談、横須賀演説、中国侵略戦争を想定した自衛隊の大演習、長射程ミサイル配備、原子力潜水艦保有、非核三原則の破棄・核共有=核武装、武器輸出全面解禁、そしてついに国会で高市が「台湾有事は日本の存立危機事態」と発言しました。中国が一貫して「核心的利益の核心」「国内問題」と言い続けている中国と台湾の統一問題に首を突っ込んで、これを「日本の存立危機事態」だと言い、集団的自衛権を発動し、自衛隊が中国に戦争を仕掛けると公言したのです。中国に対するすさまじい戦争挑発、侵略戦争宣言です。
 「台湾有事は日本有事」「台湾をめぐって日本が集団的自衛権を発動して武力行使することもありうる」などということを国会の中で首相が発言したことに中国が激しく抗議し非難しているのはあまりにも当然です。かつて台湾を植民地支配し、「満蒙は日本の生命線」などと言って、これを守るのは「自存自衛の戦争だ」という強盗の論理で、中国大陸に百万を超える軍隊を送り込んで残虐な侵略戦争を15年も行った日本帝国主義が、またしても「台湾の問題は日本の存立にかかわる」と言って侵略戦争を仕掛けるというなら、中国の側からどんなに激しい言葉で非難され、反撃されても日本政府、高市政権の側は一切文句など言えないはずです。にもかかわらず、与党も野党も一緒になって中国を非難しています。戦前も一方的に中国に侵略していったのは日本帝国主義でしたが、これに抵抗する中国を「傲慢(ごうまん)で無礼だ」「反日だ」と非難し、「中国をこらしめろ」という世論をあおりたて、侵略戦争にのめり込んでいきました。それと同じことがまさに今、私たちの目の前で繰り返されているではありませんか。
 中国に対するすさまじい排外主義の扇動、中国侵略戦争の開始に対して体を張って闘い抜くことが求められています。侵略戦争が始まるとき、必ず差別・排外主義、国家主義、国益主義、祖国防衛主義が吹き荒れます。これに反対するものには必ず非国民、国賊、敵の手先、スパイだとあらん限りの非難、弾圧、右翼のテロが襲い掛かります。そういう時代に完全に入っています。10月21日の高市政権の発足について、区長の見解を伺います。
 10月28日の日米首脳会談では、高市が「日本として主体的に防衛力の抜本的強化、防衛費の増額に取り組む」とトランプに伝え、続く横須賀・米空母艦内では、「平和は言葉だけではなく、確固たる決意と行動によってこそ守られる」と発言しました。そしてトランプは、中国侵略戦争の主力部隊である米第7艦隊の司令部がある横須賀基地の米軍兵士らを前に、「われわれの国を守るためにどんな手段も使う。それはたいてい政治的に正しい方法ではない。戦争になればわれわれは必ず勝利する」などと演説しました。10月28日の日米会談と横須賀基地でのトランプと高市の演説について、区長の見解を伺う。
杉並区は自衛官の募集事務をやめろ
 世界最大の軍事力を誇る米軍と一体となって中国近海で軍事演習を繰り広げ、戦争を引き起こしているのが日本帝国主義です。10月20〜31日まで行われた自衛隊統合演習は、陸海空3自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部のもとで初めて実施され、過去最大の5万8430人が動員されました。39の民間空港・港湾が使用され、しかも自衛隊の航空基地が攻撃されて使えないという想定で、鹿児島空港や徳之島空港、奄美空港、南紀白浜空港で自衛隊の戦闘機の離着陸、給油などが実施され、鹿児島港では民間船・PFI船(民間管理軍用船)での武器弾薬の輸送や自衛隊艦艇(イージス艦)への実弾装填(そうてん)訓練も行われました。これらは自衛隊が中国に軍事攻撃をした結果起こる事態を想定したもので、民間であろうと自治体管理であろうと自衛隊が戦争のために最優先で民間空港や港湾を使用する準備であり、沖縄や九州のみならず日本全土が戦争体制に入ることを証明しています。
 この情勢において、全国の自治体で行われている自衛官募集事務の役割は劇的に変わります。「存立危機事態」が認定されれば、敵基地攻撃能力が発動され、現在日本全土に配備が進む長射程ミサイルを中国に打ち込み、日米共同図上演習「キーン・エッジ24」で示されているように自衛隊の戦闘機が中国軍を攻撃し、自衛隊が反撃を受ければ直ちに「武力攻撃事態」=「日本有事」となり、沖縄―日本全土、中国、台湾が地獄の戦場にたたき込まれるのです。この最前線に立つのが自衛隊員です。
 これに関連して、①区の自衛官募集事務や自衛隊入隊予定者激励会への区長の出席についての区長の見解、②今年度に自衛隊による個人情報の閲覧対象となった若者の人数と内訳、③岸本区長が就任した2022年以降に閲覧対象となった合計人数、④杉並区で自衛官募集事務が始まった経緯、⑤自衛隊への名簿提供は行われているのか、⑥区は「法令に従っているだけ」との答弁を繰り返してきましたが、自衛官募集事務は、戦時中に自治体職員が住民に召集令状(赤紙)を配ったことと同じ自治体の戦争協力・自治体労働者の戦争動員です。これに対する見解、⑦就職難や貧困が拡大する中で、若者に入隊を促すための個人情報提供を自治体に担わせていることについて、首長として国に抗議すべきです。これに対する区長の見解。この7点を伺う。
子どもたちを戦争に駆り立てるな!
 防衛省が、小学生高学年以上を対象にした冊子「まるわかり!日本の防衛~はじめての防衛白書2024~」を今年度から小学校に配布し始めています。これは、学校を拠点に教育労働者や子どもたちを中国侵略戦争に駆り立てるものであり、撤回あるのみです。
 「はじめての防衛白書」は21年以来、「防衛白書」の発行に合わせて作成されてきました。防衛省は25年度配布に向け各地の防衛局から県教育委員会に「図書館などでの活用」を要請し、各学校に1~10冊程度を送付しました。その数は全国約1万8500校の小学校のうち約2400校、約6100冊。防衛省は副教材化を狙っています。
 今年7月、25年版の冊子が発行されました。タイトルは「まるわかり!日本の防衛」で、「はじめての防衛白書」という文言は削除され、実際に「防衛白書」をそのまま凝縮するのではなく、自衛官募集をうたうものです。自治体の自衛官募集事務と一体で、学校を拠点に募兵活動を展開しようとするものであり、絶対に反対すべきです。
 これに関連して、①「はじめての防衛白書」「まるわかり!日本の防衛」の区立学校での配布状況、②防衛省から届いていないならば、今後届く予定はあるか。その際は各学校に配布するか、③「はじめての防衛白書」「まるわかり!日本の防衛」についての区長と教育長の見解、この3点を伺う。

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