十亀弘史の革命コラム -36- 渦巻く革命のエネルギー

週刊『前進』04頁(3426号04面04)(2025/12/15)


十亀弘史の革命コラム -36-
 渦巻く革命のエネルギー

全てモノクロですが多くの写真からすさまじい熱気が伝わってきます。ロシア革命の現場を写し取った重量級の写真集『ロシア1917』(ジョナサン・サンダース編著、アイピーシー)です。当時のユリウス暦の月別に編集されていますが、最初の写真は1月のペトログラードの日常光景で、最後の写真は12月のモスクワで「コミュニズム」と大書された旗を掲げて「元気に行進するソヴィエト兵士たち」です。すなわち、その1年間でロシアと世界が根底から変革され、革命による戦争阻止の道が大きく切り開かれたのです。12月の「ドイツ人兵士たちと交歓するため無人地帯を越えたロシア兵とその妻たち」の群像が、進行中の世界大戦と対極にある国際連帯の輝きをくっきりと表現しています。写真の中の一人の婦人の笑顔が強く印象に残ります。2月の女性たちのデモに発する「暴動」、4月のレーニンの帰国、7月の市街戦、10月の権力奪取、11月のモスクワでの激戦、といった革命の進行を写真で追って行って、あらためて次のようなことを実感させられました。
一つは、革命の本隊は労働者だということです。工場でのストライキ、巨大な旗を掲げ街頭を埋め尽くすデモ、バリケード、さらに「赤衛兵」として小銃を林立させる武装した労働者たち。圧倒的な革命のエネルギーがどの写真にも渦巻いています。二つは、暴力革命の核心は政府軍の兵士とその兵器の獲得にあるということです。例えば8月の「コルニーロフ軍の武装解除」の写真では、機銃架のようなものが赤衛兵の前に次々に投げ出されています。そのガラガラという音はそのままケレンスキー政権崩壊の轟音(ごうおん)に直結しています。三つに、これは写真から直接に読み取れることではありませんが、武装蜂起を目指すレーニンの強固な一貫性です。革命的祖国敗北主義のゆるぎのない貫徹です。革命党こそが労働者階級の戦争反対の意思を、権力の奪取として真に実現させたのです。
 ところで、ロシアでのその革命は、11月には日本でも報道されています。写真集の訳者によれば、革命は「一部〝過激派〟の無謀、非道の暴動」とされ、レーニンは「暴徒の首魁(しゅかい)〝冷忍〟として伝えられ」たとのことです。上等じゃないですか。その「過激派」だけが、本当に戦争を止め、プロレタリアの独裁を通して全ての人間が人間らしく生きられる社会をつくりだすのです。
(そがめ・ひろふみ)
2025.12.15

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