労働法制改悪阻止を 国家総動員体制の確立へ労働者の戦時統制を図る
週刊『前進』04頁(3454号02面05)(2026/07/06)
労働法制改悪阻止を
国家総動員体制の確立へ労働者の戦時統制を図る
国家総動員体制の構築を狙う高市の攻撃は、労働者支配のあり方も戦時型へと全面的に転換させる。このもとで労働法制の抜本的な改悪がたくらまれている。その司令塔になっているのが、日本成長戦略会議の中に設置された「労働市場改革分科会」だ。
高市の指示により労働時間規制撤廃
日本成長戦略会議は17分野の「危機管理投資」に対応した17の分科会とともに、各分野にまたがる横断的課題を検討する八つのグループを設けている。その8グループのうち、最も重要な労働政策を扱うのが労働市場改革分科会だ。同分科会は「労働生産性の向上」と「17分野への労働移動の円滑化」、労働力人口が減少する中で女性や高齢者を労働に駆り立てるための方策を重点に、検討を重ねてきた。同分科会は5月27日の会合で、最終答申にあたる「とりまとめ」を了承した。「とりまとめ」は、「柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等」のための労働法制改悪を、具体的な方針の一つとして打ち出した。そこには高市の強い意向が反映されている。高市は日本成長戦略会議の設置直後から、「労働市場改革については……柔軟で多様な働き方を実現することが重要です。……規制改革会議などの関係機関とも連携して、労働時間規制の運用・制度の両面から、検討を加速してください」と、労働時間規制の撤廃を指示している。その核心にあるのは、兵器の生産の急拡大が必要となる戦時においては、労働時間規制など守っていられないという言い分だ。
この高市指示にのっかって、労働市場改革分科会では経団連や日本商工会議所の代表が、裁量労働制の拡大や変形労働時間制についての規制の緩和を声高に求めた。労働市場改革分科会は政権中枢の意思として、労働法制改悪を労働政策審議会で検討することを、厚生労働省に命じたのだ。
もともと厚労省は2024年には、「40年ぶり」と言われる労働基準法の全面改定をたくらんでいた。
労働基本権否定の「40年ぶり」大改悪
国鉄分割・民営化と並行して行われた1987年の労基法改悪を手始めに変形労働時間制が次々と拡大され、8時間労働制は実質的に解体された。そのもとで非正規職は拡大し、雇用は流動化した。その現実に対応すると称して、厚労省は24年、「労働基準関係法制研究会」を立ち上げ、労働法制の根幹にある「労働者」や「事業場」の概念の再検討も含む法の抜本改悪に向けた準備を始めた。これは、経営者への刑罰を担保に労働条件の最低基準を一律に設定する労基法を破壊する攻撃だ。厚労省はまた、労働組合の組織率の低下を口実に、労働者代表制を整備して、「労使コミュニケーション」を図るとした。その狙いはあくまで、労基法の基準を適用除外にする(デロゲーション)ための手続きを整えることにあった。これは労働組合の否定に行きつく。
24年1月に経団連が出した「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」は「労使協創協議制」なるものを打ち出し、労働組合ではない労働者代表に、労働時間規制などを適用除外にする権限や、個々の労働者を縛る労働契約の締結権を与えることを主張した。労働者と使用者との対抗関係を前提に、労働組合に団結権や団体交渉権、争議権を保障した労働基本権を根本的に否定する攻撃だ。
これを主導したのは、経団連労働法規委員会の委員長に元会長の冨田哲郎を送り込んだJR東日本だ。御用組合の東労組も解体したJR東日本は、労働組合がなくても会社の経営はできるというモデルを作り、それを全社会に拡大しようとたくらんでいる。JR東日本が7月1日に強行した36事業本部への会社再編にあたっても、広大な地域にまたがり複数の職種を包含する「事業本部」を一つの「事業場」とすることをJRはたくらんだ。さすがにこれは厚労省がストップをかけたが、勤務場所や職種が限定されて初めて守られる労働条件を根こそぎ破壊する攻撃を、JRは今も激しく進めている。
JRを先兵に、1911年公布の工場法制定以前に労働者を引き戻す攻撃がすでに動き出していた。
軍需産業に労働者を縛り付ける攻撃
その攻撃に一段の反動的飛躍を求めたのが高市の登場だ。いわば新自由主義攻撃の徹底化という方向で進んでいた労働法制改悪は、国家総動員体制の確立を図るものに練り直された。経団連が出した25年版「経営労働政策特別委員会報告」は、国家総動員法のもとで1941年に出された「労務調整令」や42年の「重要事業場労務管理令」、軍需産業に動員された労働者に別の職種への移動を禁じた「労働力封鎖」にあえて言及した。資本は国家総動員体制に即応した労働者支配を各職場で激しく貫徹しようと決断したのだ。これを打ち破るために必要なのは、労働者が階級として中国侵略戦争絶対阻止の闘いの先頭に立つことだ。労働組合の再生をかけて国鉄解雇撤回に向けた決戦を闘い、7~8月の反戦闘争に全力で決起しよう。