国家総動員狙う「骨太方針」 「継戦能力」叫び中国侵略戦争へ
週刊『前進』04頁(3455号02面02)(2026/07/13)
国家総動員狙う「骨太方針」
「継戦能力」叫び中国侵略戦争へ
アメリカ帝国主義は戦後世界体制を自ら破壊し、中国のスターリン主義体制を転覆する侵略戦争を強行する以外に自己を維持できない。日本帝国主義も中国侵略戦争の最前面に立つことに唯一の延命の道を求めている。中国侵略戦争―世界戦争はすでに開始されている。この中で高市政権は、中国侵略戦争を遂行するための総力戦体制=国家総動員体制の構築へと激しく突進しつつある。
「長期戦への備え」が財政運営の軸に
高市政権は6月30日、日本成長戦略会議で「日本成長戦略」の原案を、経済財政諮問会議で「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」の原案を発表した。両者とも、その基本に据えられているのは「継戦能力の確保」だ。安保3文書改定に向けて自民党が出した提言は、ドローンや人工知能(AI)を駆使した「新しい戦い方」に対応しなければならないとして、「少なくとも年単位での継戦能力を確保しておくことが必要である」と強調した。日本維新の会の提言も、「有事の継戦能力を維持する体制整備は、我が国にとり喫緊の課題」と叫んだ。高市が設置した「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」の第1回会合では、高市自身が「新しい戦い方への対応や長期戦への備えを進めなければなりません」とわめき立てた。
「日本成長戦略」と「骨太方針」は、その実行計画として策定される。経済財政の基本に中国侵略戦争の遂行とそのための継戦能力の確保が据えられるのだ。そこには、年内に予定される安保3文書改定の中身も先取り的に盛り込まれる。
370兆円の巨大投資で兵器を増産
骨太方針原案は「安全保障の強化」という項目で、「装備・体制の両面で5年以内に防衛力を変革する。データとAIの活用、無人アセット導入、反撃能力にも活用し得るスタンド・オフ防衛能力の強化等により、『新しい戦い方』に適応する」と述べている。ドローンや長射程ミサイルを大量に取得し、中国本土を攻撃する能力をさらに強化するというのだ。国が兵器工場を所有し民間資本に運営を任せる「GOCO」方式を導入し、「安定供給が困難な重要装備品」を生産することも打ち出された。そこには国営工廠(こうしょう)の設置という構想も含まれる。戦争突入となれば大量に消費される弾薬やミサイル、ドローンを増産するために、国家の強権を発動して労働者を動員することがもくろまれている。これらを強行するための「防衛生産基盤強化法の改定」も明記された。
骨太方針と並行して策定される日本成長戦略の原案は、軍事や原子力などに関わる17分野の「危機管理投資」について、2040年度までに官民合わせて370兆円の投資を行うと打ち出した。そこで特に重視されているのは、「新しい戦い方」の軸をなすAI・半導体とドローンだ。
資本もこれに全面的に呼応した。経団連会長の筒井義信は6月18日、読売国際経済懇話会で「『投資牽引(けんいん)型経済』の確立―経団連の成長戦略―」と題する講演をし、370兆円の官民投資に呼応して、民間企業の国内設備投資の総計を2040年度には200兆円に引き上げるとぶち上げた。軍事部門への投資が確実な利潤を生むことを国家が保証しなければ、資本はこんな過大な投資を実行しない。それを行わせようとすれば、財政赤字の際限のない拡大は不可避となる。
財政赤字膨らませ際限ない軍事支出
事実、骨太方針原案は、370兆円の「危機管理投資」のうち国の支出分について、通常歳出とは別に「『強く豊かな日本』投資枠」を設けて上限を撤廃し、複数年度で予算を措置するとした。「責任ある積極財政」の名で高市は、財政赤字がどんなに膨らもうが、軍事支出を際限なく拡大しようとしているのだ。これはかつて日帝が侵略戦争を強行するたびに複数年度で設定した「臨時軍事費特別会計」の再来だ。それによる矛盾はすべて労働者人民に押し付けられる。骨太方針原案が発表された直後の7月1日、円は1㌦=162円80銭台まで下落し、39年半ぶりの円安になった。3日には長期金利が2・8%に上昇(債券価格は下落)し、29年ぶりの高水準を記録した。「骨太相場」と呼ばれるこの事態は、帝国主義の中で最悪の財政状態にある日帝が、歯止めのない財政拡大に踏み込んだことの破綻性を突き出した。だが、高市はそれによる危機をも逆手にとって、中国侵略戦争に突き進む以外にないのだ。
労働者を軍需産業に強制動員し酷使
国家総動員体制は労働者支配のあり方も戦時型に転換させる。日本成長戦略と骨太方針の各原案は、裁量労働制の対象となる労働者の拡大や、変形労働時間制に関する規制の緩和を明記し、厚生労働省の労働政策審議会にその論議を始めるよう命じている。その根本的な目的は、兵器の増産に労働者を無制限に駆り立てることにある。これと並び、最低賃金を全国平均1500円に引き上げるという目標について、これまで2020年代とされていた達成時期を30年代前半に先送りすることも明記された。高市の意向によるこの改変は、戦場でも銃後でも労働者を消耗品として扱うということだ。
日本成長戦略と骨太方針は7月中に正式決定される。8・6広島―8・9長崎を頂点とする7~8月反戦反核闘争は決定的な闘いになった。「連帯し、侵略を内乱へ」を貫く一大闘争を全力で巻き起こそう。