労働時間規制の撤廃狙う日帝 「防衛生産の強化」を叫び無制限の労働強いる攻撃
週刊『前進』04頁(3462号02面04)(2026/09/07)
労働時間規制の撤廃狙う日帝
「防衛生産の強化」を叫び無制限の労働強いる攻撃
厚生労働省は8月19日、労働基準監督署による時間外労働についての指導を改めると発表した。労基署はこれまで、月100時間未満の時間外労働を可能とする36協定を結んでいる企業に対して、時間外労働を月45時間以内に抑えるよう指導してきたが、そうした一律の指導は取りやめる。この措置は9月1日から発動された。
これは中国侵略戦争を遂行するための国家総動員体制づくりの一環だ。戦争が発動されれば、大量に消費される弾薬やミサイルを増産しなければならない。「新しい戦い方」に即応したドローンなどの生産の急拡大も必要だ。それは、労働者を無制限に働かせることなしに成り立たない。だから高市政権は、「防衛生産・技術基盤の強化」のために、労働時間規制の撤廃へと動き始めたのだ。
戦時労働政策への転換を高市が指示
7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」と「日本成長戦略」は、まったく同じ表現で次のような方針を打ち出した。「労働時間制度の運用については……36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について……労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施する」「労働基準監督署において……労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意にのっとった指導が行われるよう速やかに見直す」これは、時間外労働を極力抑制してきたこれまでの労基署のあり方を否定し、労働時間拡大に向けて企業に助言を与える機関に転換するという意味だ。それは直ちに実行に移された。
骨太方針と日本成長戦略はまた、「裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う」「柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会において議論を行う」と述べる。裁量労働制の拡大を突破口に労働時間規制をなくす大攻撃が始まろうとしている。
日本成長戦略会議で高市は、「労働市場改革については……柔軟で多様な働き方を実現することが重要です。……規制改革会議などの関係機関とも連携して、労働時間規制の運用・制度の両面から、検討を加速してください」と指示した。それが日本帝国主義の労働政策の根幹に据えられた。日本成長戦略は、軍需産業など戦略17分野への官民合計370兆円の投資を水路に総力戦体制を確立するとした。労働時間規制の撤廃は、その実行にとって不可欠のこととされたのだ。これに呼応して資本は、搾取の意思もあらわに労働法制の解体を唱え始めた。
過労死水準超えて働けと叫ぶ経団連
経団連が7月に出した「投資牽引(けんいん)型経済の実現」と題する文書は、「働き方改革の効果はあったが、上限規制の画一的適用は支障が強く、撤廃の意見もある」と叫ぶ。労働時間の上限規制を撤廃せよという言い分は、「過労死するまで働け」と言うのと同じだ。同文書は「政府の成長戦略や投資牽引型経済の実現に向けて……裁量労働制の拡充、業態を踏まえた、自律的かつ柔軟に働ける新しい労働時間法制の創設が必要」だとも言う。戦時体制確立の攻撃をテコに、労働者をとことん酷使しようとしているのだ。日本成長戦略の策定に向けて自民党が4月に出した提言も、労働基準監督署に対して「時間外労働を月45時間以内に削減することを求める一律の指導を見直す。……違法な時間外労働とならないように36協定や特別条項の締結に向けた指導・助言を行うこと」を求めた。今回の厚労省の措置は、自民党提言をそっくりそのまま実行するものだ。
戦時統制の確立へ労働法制も大再編
資本は、「働き方改革」の名で2018年に安倍政権が行った労働基準法などの改定により、「労働時間が規制されて労働生産性が下がった」とか「もっと長く働きたい労働者もいる」などと言い立てる。だが、18年の労働法制改定は、労働政策の目的を「労働生産性の向上」「多様な就業形態の普及」「評価に基づく処遇」に置くとしたことに核心があった。戦後労働法制の原理的転換だ。この流れの中で、厚労省は「40年ぶり」と言われる労基法の全面改定案を今年中に国会に出そうとしていた。「労働者」「使用者」「事業場」の概念も転換し、違反した経営者に刑罰を科すことで労働条件の最低基準を設定する、労基法の根幹を破壊する攻撃が準備されていた。それを法文化するための議論も、厚労省の労働政策審議会で続けられてきたが、いったん棚上げされた形だ。高市の戦時体制確立の攻撃が、新自由主義攻撃の極限化という形で進んでいた労働法制改悪に一段の反動的飛躍を求めたからだ。
すでに開始された中国侵略戦争は、戦時労働統制を早急に確立しようとする日帝の攻撃を激化させている。中国侵略戦争阻止の今秋決戦に全力で立ち、11・1労働者集会―11・22反戦大デモに攻め上ろう。