戦時財政突入の危機と矛盾の爆発 中国侵略戦争遂行へ際限のない財政拡大

週刊『前進』04頁(3463号03面02)(2026/09/14)


戦時財政突入の危機と矛盾の爆発
 中国侵略戦争遂行へ際限のない財政拡大

大軍拡と成長投資で一層の財政破綻

 財務省が9月4日に取りまとめた2027年度一般会計予算の概算要求総額は過去最大の143兆656億円となり、26年度当初予算より20兆円以上も膨らんだ。高市政権が大軍拡を強行し、戦略17分野への「危機管理投資・成長投資」を急拡大させたことが、その原因だ。
 防衛省の概算要求も「世界一無人アセットを駆使する組織への変革を目指す」「長期戦にも対応できる持続的な対応能力を確保する」として、8兆8908億円になった。これも過去最大だ。しかも、年末強行が狙われる安保3文書の改定にかかわる中身は、金額を明示しない「事項要求」とされた。すでに25年度の当初予算と補正予算を合わせた軍事費は10兆円を超えている。年末に策定される27年度政府予算案でさらに増えることは明らかだ。
 また、戦略17分野を対象に設定された「強く豊かな日本」投資枠には、12兆1730億円が充てられた。各省庁の予算要求に上限を設けないとされたこの投資枠により、財政は際限なく拡大する。その中身も、人工知能(AI)やロボット、宇宙関連など、実質的な軍事予算だ。
 これに加え、インフレがもたらす生活苦への人民の怒りにおびえる高市は、来年4月から2年に限り、食料品の消費税率を1%に引き下げることを打ち出した。これらにより、少なくとも約10兆円の財源不足が生じると見られている。
 それは結局、国債発行で賄うほかにない。財務省が想定する27年度の国債費は、26年度当初予算より5兆円以上多い36兆6386億円になった。一般会計支出の4分の1が借金返済に回る形だ。長期金利が上昇すれば、国債の利払い費はさらに増える。

世界経済の最大のリスク要因は日帝

 概算要求の総額が140兆円を超えることが明らかになった9月1日、10年物国債の金利は30年ぶりに3%を超え、翌2日には3・015%に跳ね上がった(国債価格は下落)。ブルジョアジー自身が日本帝国主義の財政破綻におびえているのだ。
 日本の政府総債務残高は25年度末に1384兆円を超え、その対国内総生産(GDP)比は204%に達した。これは経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最悪の状態だ。今や日本の財政状態は、世界経済の最大のリスク要因になっている。
 7月末の日米「協調」介入後も8月中は1㌦=160円台の円安が続き、円の実質実効為替レートは1990年代と比べると34%に落ち込んだままだ。9月2日は、債券価格だけでなく円相場も株式もともに下落する「トリプル安」になった。日本市場から資金が逃げ出し始めたこの事態は、日本そのものが半ばたたき売りの対象になりつつあることを示している。
 この事態にアメリカ帝国主義は激しく反応した。米財務長官ベッセントは、8月31日から9月1日まで米ノースカロライナ州で開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を機に、日銀総裁の植田和男、財務相の片山さつきと個別に会談し、日銀による利上げと財政再建策を強く迫った。ベッセントはG20閉幕後の記者会見でも、日本は利下げや財政拡大を手段とするリフレ政策をやめるべきだと、だめ押し的に強調した。

危機の波及を恐れ米帝が利上げ強要

 これを受けて、日銀が9月17~18日に開く金融政策決定会合で、政策金利を現在の1・0%程度から1・25%程度に引き上げることは確実になった。
 高市は、利上げは景気悪化につながるとして一貫して反対し続けてきた。景気の悪化はインフレ下で積もり続ける労働者人民の怒りを爆発させ、軍拡も政権維持も吹き飛ばしてしまうからだ。だが、財政拡張、イラン侵略戦争による石油高騰も続く中で低金利政策を続ければ、円安とインフレは加速し長期金利急騰を招く。それは米から日への資金逆流を引き起こし米金利上昇・株安・景気悪化につながる。トランプ政権は、中間選挙を前にしてこうした日帝の破綻的現実に引きずり込まれることを絶対に避ける必要があったのだ。
 その背後には米帝自身の財政危機がある。米帝の国家債務残高は今年8月、40兆500億㌦(約6324兆円)に達した。26会計年度の国債利払い費は1兆2300億㌦を超え、同年度の軍事費1兆119億㌦を上回った。さらにトランプは27会計年度の軍事費として、前年度比44%増の1兆5千億㌦を求めている。
 他方、米帝の財政赤字を埋めているのは日帝による米国債の保有だ。日本は官民合わせて1兆1167億㌦(約175兆円)の米国債を持つ。その日本が自国の財政破綻に追い詰められて米国債を切り売りすれば、アメリカの金利も急上昇する。米帝にとってそれは絶対に容認できない。
 ベッセントは円相場について「今や私が胴元だ」とまで言った。日帝の金融政策の決定権は米帝にあると言い放ったのだ。この米帝の露骨な争闘戦的な介入によって日銀の利上げペースの速まりも確定的となり、円は一気に150円台前半まで買い戻された。
 しかし、円安をもたらす日帝の大本の危機は何一つ変わらない。米帝は中間選挙まで乗り切れば中国侵略戦争へさらに激しくのめり込み、結局この戦争ですべてを「解決」しようとする。米帝にとって日帝は自己の利害のために利用し尽くす対象でしかなく、中国侵略戦争でも酷使しようとしている。だが、日帝にはこの米帝の要求に従いながら中国侵略戦争に突入する以外にいかなる選択肢もないのだ。
 中国・アジア人民への血債にかけて、中国侵略戦争を阻止しよう。
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