TPP11が衆院通過 安倍の農業つぶしと闘おう

週刊『三里塚』02頁(0992号02面03)(2018/05/28)


TPP11が衆院通過
 安倍の農業つぶしと闘おう

(写真 TPP11衆院通過を報じる農業新聞【5月19日】)

 離脱した米国を除くTPP11が18日、衆院を通過した。参院の議決がなくても30日後に自然承認となるため今国会での承認が確定した。
 知的財産権に関するものなど22項目を凍結したが、関税分野は変更せず、農産物の市場開放水準をそのまま容認した。今国会で手続きが終了すればメキシコに次いで2番目となる。TPP11は6カ国が批准すれば発効するため、さらに4カ国が批准すれば世界の貿易額の14・9%。GDPは12・9%となる巨大な貿易圏が誕生する。日米争闘戦の激化を招くことは不可避であり、中国との経済的対立もより一層激しく促進する。
 国内農業への打撃は不可避だ。農林水産物や加工品の関税引き下げで、ニュージーランドやオーストラリアなどから安価な牛肉や豚肉、乳製品・ワインなどが大量に入ってくる。安倍政権が積極的に引き入れようとしているタイは、米や砂糖の有力な対日輸出国であり、もし加盟すれば農業に大きな打撃となる。
 一方、日本の輸出品である自動車はカナダが乗用車にかけている6・1%の関税が発効から5年目にゼロに。ベトナムが大型車にかけている70%の高関税も10年目にゼロになる。
 争闘戦の激化と一体で、国内においても企業による農民の切り捨てのための農業関連改正法が今国会で可決成立した。とりわけ農地法の改正は重大な意味をもつ。これまで、自由な農地売買は農地法によって厳しく規制されてきた。さらに、農地は常に耕せる状態でなくてはならないと規定している。それが、土を使わない水耕栽培施設や人工照明の閉鎖型の野菜工場のように地面をコンクリートで覆ったとしても、農地の転用手続きをしなくてよいとしたのだ。
 所有者不明の農地を農地中間機構(農地バンク)を通じて、所有者の承諾なしに貸し与えることができるようにし、賃貸期間も最長5年から20年に延ばした。「担い手への農地集約8割」がなかなか進まない状況で打ち出された攻撃である。
 安倍政権は、戦後農政の柱である耕作者主義を完全に骨抜きにしようとしている。農民を圧殺して企業が農地を直接所有することが最終目的だ。国・企業と絶対反対で闘う反対同盟農民の農地死守の思想が今こそ必要だ。安倍による農業改革を粉砕しよう。
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