明日も耕す 農業問題の今 GMで農薬汚染被害拡大 米で「有機食べよう」運動

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週刊『三里塚』02頁(1003号02面05)(2018/11/12)


明日も耕す 農業問題の今
 GMで農薬汚染被害拡大
 米で「有機食べよう」運動


 すでに私たちの食卓に深く入り込んでいるGM(遺伝子組み換え)食品は安全なのか。前々号で継続になっていたこの問題を取り上げ、あわせて遺伝子組み換えを拒否して闘うアメリカの運動を紹介したい。
 厚生労働省のウェブサイトに「遺伝子組み換え食品の安全性について」以下のように記されている。「さまざまなデータに基づき、(中略)有害物質などを作る可能性がないことが確認されていますので、食べ続けても問題はありません 」
 昨今、遺伝子のDNA構造の解析が進み、遺伝子そのものの構造を突き止めるまでにはなった。しかし、その遺伝子がどのような機能を果たしているのか、まだまだ解明されていないことだらけ。それなのに、人為的な操作で何をもたらすかわからない遺伝子が自然界に広まって良いのか。
 少なくとも、遺伝子組み換え作物の出現で広がった農薬汚染の被害を無視することはできない。
 遺伝子組み換え食品の中で、世界的に栽培・流通しているのが除草剤耐性作物だ。モンサント社が強力除草剤「ラウンドアップ」とGM種子をセットで販売し、市場を独占し、農家を支配し続ける。ラウンドアップの主成分グリホサートは発がん性、強い神経毒性、ホルモン撹乱などの健康破壊が実証されている。

母親たちの闘い

 これに対して、アメリカでは遺伝子組み換え食品を拒否し、インターネットを通じて全国展開する〝マムズ・アクロス・アメリカ〟という活動がある(写真)。増え続けるアレルギー障害や15人に1人といわれる発達障害に「なぜ?」と疑問を抱いた母親たちが「遺伝子組み換え食品をやめて有機を食べよう」と呼びかけ、健康回復例を次々とネット上に紹介している。
 マムズ・アクロス・アメリカは自らグリホサートの検査運動を行い、飲料水、尿、母乳、ワクチンからもグリホサートを検出した。しかし、食べ物に気をつけている母親の母乳からは検出されず、その差がはっきりと表れたという。
 モンサント社はこの運動を激しく攻撃したが、マムズ・アクロス・アメリカはデモ行進にも立って闘っている。
 そして、2018年8月10日、米国カリフォルニア州の裁判で、モンサントはラウンドアップの危険性を告知しなかったと有罪を言い渡された。今、世界はラウンドアップやその有効成分であるグリホサートの禁止に向けて動きだしている。

日本では野放し

 ところが日本ではホームセンターに山積みされ、薬局でも売られている。なぜなら、安倍農政がグリホサートの危険性を否定し、残留基準を大幅に緩めているからだ。
 金もうけ第一の新自由主義支配に組み敷かれていたら、本紙999号の小欄で紹介したアメリカ農業の破綻のように、農民は耕し続けることもできなくなってしまう。労農連帯で新自由主義を打ち破ろう。

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