2020年市東さんの農地守り抜き勝利の年に 三里塚反対同盟 新春座談会

週刊『三里塚』02頁(1030号01面01)(2020/01/01)


2020年市東さんの農地守り抜き勝利の年に
 三里塚反対同盟 新春座談会

(写真 市東さん宅離れで2020年決戦の勝利を誓い)

出席者
市東孝雄さん(敷地内・天神峰)
萩原富夫さん(敷地内・東峰)
伊藤信晴さん(事務局員)
太郎良陽一さん(事務局員)
小川浩さん(全国農民会議共同代表)
司会『週刊三里塚』編集委員会

1・16請求異議控訴審へ

 2020年は歴史的分岐の大決戦の年だ。改憲・戦争に突き進む安倍を打倒し、あらゆる災厄の原因である資本主義に終止符を打つ全人民の団結を築く闘いに全力で立ち上がろう。その最先端攻防が54年の歴史を刻む三里塚闘争だ。市東孝雄さんの農地強奪阻止・空港機能強化粉砕へ。三里塚芝山連合空港反対同盟と全国農民会議の新春座談会で闘う決意を語って頂いた。

一審不当判決を弾劾する

 司会 請求異議裁判の一審反動判決から1年。19年も激動の年となりました。
 太郎良 あの反動判決と新たな担保金の攻撃に富夫さんが怒りを露わに「ふざけるな」と発言したことが印象に残っています。その直後、1日だけでも座りこんで「絶対にあけわたさない」と態度と決意を示しました。
 市東 反動判決が出てやっぱりそうかと。だけど、落ち込んでいる暇はない。19年のスケジュールを見ると12カ月全部闘争なんだよね。闘っていると逆に反骨心みたいなのができて、またがんばるぞという気持ちになる。そういう1年でしたね。だから敗北感は全然ないですよ。

(写真 市東孝雄さん)


 萩原 判決から控訴理由書の提出まで半年以上の猶予をつくることができたことは大きかった。9月24日に高裁での闘いが始まりましたが、千葉地裁で闘われている耕作権裁判や新やぐら裁判にもさらに力を入れ、どこまでも粘って、判決の執行を遅らせる、できないという状態に追い込む。そういう闘いを強めていきたいですね。

(写真 萩原富夫さん)


 伊藤 市東さんが控訴審第1回で行った渾身の陳述をあらためて読み直しました。一審の高瀬判決の理屈を全部完全に粉砕している。そして市東さんの生き方、空港反対、農地死守の揺るぎない確信を誰もがわかるかたちで表明しているすごい陳述だとあらためて思いました。
 空港機能強化を進めるためにも市東さんの農地を奪って空港予定敷地内の人らに見せつけようという敵の意図を、20年も粉砕し続けたいですね。

(写真 伊藤信晴さん)


 小川 請求異議裁判の開始から3年間。あらゆる闘いをやって、今まで市東さんの農地を守り続けてきたことは大きい。市東さんへの攻撃は、日本の農民つぶし、農業つぶしを縮図的に象徴したものです。19年に初めて成田で全国農民会議第7回総会を開き、現地調査もやりました。
 空港周辺には農家が多い。今の安倍の農業つぶしと関連付けて市東さんの問題、あるいはそれを第3滑走路に反対する運動をなんとしてもつくりたい。
 司会 基本計画が改定され、今度公聴会も開かれます。20年から本格的な用地買収の攻撃が始まろうとしています。
 太郎良 住民・農民を叩きだし、自然を破壊して、今だけ儲ければいいということ。いい加減にしろよと。もう地球が悲鳴を上げていると言って若者も声を上げている。

(写真 太郎良陽一さん)


 伊藤 「恥を知れ」ってスウェーデンのグレタさんが言っていたよね。
 小川 全世界で400万人もの若者が立ち上がった。

(写真 小川浩さん)


 市東 今回のA滑走路の運用時間の延長で、B滑走路で飛ばしていた便をA滑走路に回しているんだよね。だから逆に夜10時以降はBの方はそんなにうるさくない。増えたように見せかけてるだけで、実際には増えてないもんね。
 伊藤 NAAは、新規便は1件だけでそんなに便数は増やしてませんって言っている。
 太郎良 儲かる便は全部羽田に取られている。年間1万回減るんじゃないかって。デルタは完全撤退して、ANAとJALも長距離便で儲かる便は全部羽田に行った。
 市東 LCC(格安航空会社)を増やすと言っても、中部空港とか関空のほうが多いんだから、成田より全然。その関西のほうでだんだん怪しくなっていっている。
 萩原 韓国との関係悪化の影響を受けて、もうぱったり減ったでしょ。

機能強化は住民叩きだし

 司会 NAAの田村社長は成田から羽田に国際便を持っていった張本人。「その後始末のために成田にきた」とインタビューで語っています。
 伊藤 これから各航空会社に働きかけるなんていう言い方は本当に住民のことを考えていたらしないよ。あまりにも無神経。どれほど住民をなめているのか。屈しないで闘っていけば、必ず情勢は開ける。横芝光町の住民の方も言っていたけど、歴史をつくるのはいつも少人数からって。
 萩原 小さくたって運動をやっていれば必ず影響はありますよね。
 小川 安倍は多国籍企業のために新自由主義的な政策を進めている。種子法や減反政策の廃止。農業関連法の改悪を進めました。国が農業や食糧への関与をやめて後は自由にやってくれと。エサ米なんかも畜産が日本で成り立っているうちはいいけど、今度日米貿易協定の合意で一番影響を受けるのが畜産と言われている。日本の農業そのものが成り立たない危機的な状況になる。
 先日アフガニスタンで亡くなった医師・中村哲さんが、「医療だけでは人は救えない。水や食料がなければ救える命も救えない」と言った。その言葉をもう一度見直す必要がある。日本がいつまでも飽食していられるとは限らない。
 市東 ここへきて家族農業も見直されてきているんだよね。特にヨーロッパなんかで。地方や地域でつくれるものがいっぱいある。そういう形で農家を続けていかないと、農家自体がつぶれちゃうよね。
 萩原 つぶれると今度は輸入品に頼らないといけなくなる。そうすると値段も上がって労働者の生活にも打撃になる。
 市東 ゲノム編集した野菜を「有機」と認める動きがあるが、本当にひどいね。農薬と遺伝子操作で何を食わされるかわからないよ。
 小川 遺伝子を組み換えて農薬使っても枯れないようにすることもやっている。

改憲阻止、安倍政権打倒を

 司会 2020年の抱負をお願いします。
 伊藤 関西地区生コン支部への弾圧とか、JR総連まで解体して労組なき社会をつくるという攻撃は労働組合の存在そのものを否定し、労働者に奴隷になれというものです。その先にあるのは戦争だと見据え、反対同盟も改憲阻止闘争の先頭に立って闘いたい。
 もちろん市東さんの農地決戦を徹底的に闘いながら機能強化との闘いも爆発させていくということと一体のものです。
 太郎良 安倍もせっぱ詰まった状況に追いつめられている。だけど闘う民衆が団結して闘わないと倒せない。全国のさまざまな闘いとの連帯をさらに求めつつ、市東さんへの強制執行を阻止するために、やつらの嫌がることを徹底的にやる。先頭に反対同盟が立つことで住民の信頼を勝ち取っていきたい。
 市東 沖縄もそうだけど、三里塚も最後まであきらめない。そういう気持ちを常にもって闘いたい。いろんな闘いが全国にあるけど、古い闘いは掘り起こし、新しい闘いと結合をすることで三里塚はもっと大きくなります。自分もなかなか外には行けないけど、広げられればいいなと。
 裁判も期待はしていないけど、みんながこれだけ一生懸命闘っているんだから、一つくらいどこかで風穴をあける気持ちで20年もがんばります。
 群馬と反対同盟は昔からつながりがあって、親父たちも世話になった。群馬集会も13年目になり、19年に青柳晃玄さんが亡くなってさみしさとかはあるけど、群馬はその後に続く人たちが立ち上がってきていると感じますので、期待しています。三里塚、沖縄、福島の3本柱を闘い続ける。思いは一緒ということで来年もがんばります。
 萩原 2020年市東さんの闘いと機能強化の闘いがいよいよ本番、現場的な攻防になります。住民の怒りに寄り添いながら闘いの後押しをする。全国の闘いとの関係もさらにつくりたい。
 敵の方があせっているし、弱点はいっぱいある。反対の声を非常に恐れているからこそ公聴会なんかも秘密裏にやっちゃおうとしている。そこをわれわれはちゃんと察知して反撃していく。住民にそういうことを知らせていく役割を果たしたい。安倍政治に対する地方の反乱の一つとしても三里塚闘争は影響力がある。20年も闘う。
 小川 農民も安倍のもとで将来の希望が奪われている。今こそ香港のようなねばり強い闘いが必要だと思う。市東さんや萩原さんが闘っている三里塚闘争と、今苦境に立たされている農民自身の思いが重ね合わされた時に、新たな運動の芽が出てくる可能性があると思います。故萩原進事務局次長の「全国に農民の闘う組織をつくろう」との訴えを今こそ実現したい。三里塚は全国農民の象徴であり希望でもあります。20年も共にがんばっていきたい。

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