耕作権裁判勝利!南台農地死守を 法理元公団職 員の逃亡を弾劾 航空写真鑑定に大打撃のNAA

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週刊『三里塚』02頁(1124号01面01)(2023/11/27)


耕作権裁判勝利!南台農地死守を
 法理元公団職 員の逃亡を弾劾
 航空写真鑑定に大打撃のNAA

(写真 反対同盟を先頭に千葉地裁に向けデモ【11月13日】)

(写真 橋本鑑定書より、1970年8月24日撮影の南台の航空写真。右下の石橋家宅地からE1土地に屋敷林がはみ出している)

(写真 2008年作成の南台の関係土地図。ABCDが市東さん耕作地)

(写真 NAA代理人の森本哲也、上野至【左から】)


 11月19日、東京・日比谷で開催された全国労働者総決起集会に2800人が結集した。日韓米の闘う労働組合を軸にした国際連帯の力で中国侵略戦争を阻み、世界戦争を内乱・革命に転化する団結をうち固めた。労農連帯の旗を高く掲げる三里塚芝山連合空港反対同盟もまた、反戦の砦(とりで)としての真価をかけ、「戦争のための空港機能強化=成田拡張工事粉砕! 市東孝雄さんの南台農地死守」の新たな決戦への参加を呼びかけている。千葉地裁民事第2部(齊藤顕裁判長)で11月13日、市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれた。この日から人証調べが始まった。
 開廷に先立ち、正午から千葉市中央公園で、太郎良陽一さんの司会で決起集会が開かれた。反対同盟と支援の仲間100人が結集した。
 最初に東峰の萩原富夫さんが発言に立った。毎月人証調べでの開廷が続くことを確認し、ガザ攻撃、ウクライナ戦争情勢のもとで岸田政権が戦争準備を行っていることを弾劾。成田の軍事使用を許さず、耕作権裁判に勝利して市東さんの南台農地を守り抜くことを呼びかけた。
 続いて動労千葉の北村武執行委員が、11・19全国労働者集会で「ガザ虐殺やめろ」の怒りの都心デモに立つことを訴えた。さらに連帯発言を受け、意気高くシュプレヒコールを上げ、千葉市内デモに出発した。
 婦人行動隊の宮本麻子さんが宣伝カーから、「パレスチナ人民虐殺やめろ! 農地死守」の訴えを一帯に響かせた。
 60を超える傍聴席を埋め、午後1時30分開廷。

再喚問を求める

 最初の証人は、元空港公団用地部職員の法理哲二だ。ところが......。
 齊藤裁判長はまず「法理証人は来られていますか」と言って傍聴席を見渡し、「いないようですかね」などとつぶやいた。すかさず弁護団が問い詰めた。裁判長は、法理と電話でのやりとりが3回あり、10月24日には「現時点で出頭するつもりはない」と聞いていたことをしぶしぶ認めた。証人として呼び出しを受けた者には、出廷して証言する「義務」がある。法理はそれをあからさまに踏み破ったのだ。
 弁護団が猛然と抗議した。「法理は天神峰の石橋政次(反対同盟元副委員長)の用地買収交渉を担当していた。本件の最重要争点である石橋家と市東家の南台の当初賃借地の位置を明らかにする上で、法理証人は不可欠だ。拘引してでも出廷させるべきではないか」
 傍聴席からも「裁判所が侮辱されたんだぞ!」の声が飛ぶ。弁護団がさらに追及。「本件の帰趨(きすう)を決する最重要証人だ。再喚問するという姿勢を明らかにしてもらいたい」。裁判長は「検討する」と答えるのがやっとで、次の証人を呼び出した。
 証人は、東京医科歯科大学名誉教授の橋本正次氏。事件や災害で亡くなった人の頭蓋骨と生前の写真などを重ね合わせて個人を識別するスーパーインポーズ法を用いる法歯学の専門家だ。
 弁護団は橋本氏に、1946年から2001年までに撮られた南台(千葉県成田市天神峰字南台)の航空写真15枚と、08年に土地家屋調査士の青柳晃敬氏が実測し作成した南台の関係土地図(A、B、C、D、Eと区分けを表記)を資料として鑑定を依頼した。関係土地図の境界線を抽出して各年代の航空写真に重ね合わせ、とりわけ最も鮮明に写されている1970年8月の航空写真に重ねることで、何がわかるか。橋本氏は弁護団の質問に答えながら鑑定結果を明らかにした。
 ①石橋宅地の北側の屋敷林(針葉樹)の幹は、E1土地にはみ出している。
 ②はみ出したのは1946年より前。
 ③以上から、屋敷林の設置時点からE1土地は石橋家宅地と一体的に利用されてきたと言える。
 ④E1とE2は一体的に利用されていたと思われる時期がある。
 ⑤石橋宅地とE2とまでが一体的に使用されていたかは断定できない。
 弁護団は主尋問を終えた。
 以上から何が言えるか。石橋家の宅地からはみ出す形で、E1の土地に屋敷林が植えられ、年代を追うごとに徐々に増えている。E1の土地は戦後から石橋家の小作地であり、石橋家が占有していた(87年に移転)。NAAがこの裁判で、E1を「市東家の当初からの賃借地」と決めつけているのは完全に誤りということだ。それが証明されれば、市東さんが「賃借地でない土地を不法耕作している」とのこの訴訟の根幹が崩壊する。

代理人悪あがき

 いつもは法廷で沈黙を決め込んでいる成田空港会社(NAA)側だが、この日は反対尋問に立った。上野至代理人は屋敷林がE1にはみ出していることを否定しようと躍起になって、「屋敷林をはみ出して外に植えるはずがない。土地図が誤っているのではないか」「木の根っこの位置はどうなのか」などと言う。ほとんど意味不明の悪あがきだ。傍聴席からも失笑とブーイングがやまない。市東孝雄さんも被告席から「それでよく裁判長やっていられたな」と一喝した(上野は元千葉地裁判事。成田治安法による89年の東峰団結会館強制除去の行政訴訟を担当して反動判決を下す。退官後NAAお抱え弁護士に転身)。
 また森本哲也代理人は、慇懃(いんぎん)無礼な物言いで橋本鑑定の信用性に傷をつけようとしたが、橋本証人から「私は自分の鑑定から言えることを言ったまで」と一蹴されすごすごと引き下がった。
 尋問を終了すると傍聴席から橋本証人に拍手が起きた。
 弁護団が再度、法理の再喚問を要求すると、唐突に上野が、「法理さんは石橋の宅地と現闘本部の用地交渉をやっただけなので、石橋の賃借地とは関係ない」と発言した。「法理尋問は困る」と自己暴露したに等しく、法理の逃亡はNAAがそそのかしたものと十分推察できる。
 次回期日として12月18日を確認して閉廷。
 近くの会場で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「向こうの子どもじみた対応にあきれた。これからもNAAをどんどん追い詰めてやっつけるために、皆さんの傍聴をお願いします」と訴えた。
 弁護団は法廷での応酬を振り返り、NAA代理人の卑劣な立ち回りを弾劾し、法理の証人尋問を実現する意欲を語った。
 質疑応答に続いて、全国農民会議共同代表の小川浩さんが発言。「NAA代理人があんなにしゃべるのを初めて見て、向こうのあせりを感じた。屋敷林のすぐ隣りの土地を借りるなど、農民の感覚としてもありえない」
 さらに、空港周辺住民が11月28日午後2時半から千葉地裁で開かれる第1回の飛行差し止め裁判への傍聴を呼びかけた。

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