「空港となりに巨大商業歓楽街」 「年7%の高配当」 ゲートウェイ成田 全部うそだった NAAと成田市の責任追及を

週刊『三里塚』02頁(1158号02面02)(2025/04/28)


「空港となりに巨大商業歓楽街」 「年7%の高配当」
 ゲートウェイ成田 全部うそだった
 NAAと成田市の責任追及を

(写真 完成イメージ図)

(写真 予定地の現状!)


 「空港の隣に、東京ドーム10個分の街ができる」という触れ込みの複合開発プロジェクト「ゲートウェイ成田」が、大破産しようとしている。
 A滑走路の北端の先に位置する成田市小菅地区、45・6㌶の敷地に、商業・飲食施設、アリーナ、ホテル、国際会議場、温泉、倉庫などを集積した観光歓楽街を造る計画が、共生バンクという開発会社によって2014年から進められ、20年に着工、開業予定が25年とされた。
 不動産証券化の事業をも展開している共生バンクは、このゲートウェイ成田の資金調達のために、敷地の土地を区分けして不動産小口ファンド商品として大々的に売り出し、脚光を浴びた。「みんなで大家さん」という商品名を耳にしたことがある人もいるだろう。一口100万円、年利は7%! つまり「みんなで大家さん」の「シリーズ成田×号」を一口購入すれば、年間で7万円という高配当が出資者に入ってくるという仕組みだ。これで同社は3万人超の顧客から総額2千億円を集めたという。
 ところが、現実の工事はまったく進んでいないのだ。進捗率はたったの2%。現場では建物の建築はおろか造成にもほとんど着手されていない。開業予定は延期を重ねて27年とされたが、その時までに何かが建っている可能性は絶望的というのが専門家の見立てだ。
 何もない土地から今も年7%の配当を出資者に出している。どうやって!? 新規出資者から集めた資金で既存の出資者に配当金を支払うという自転車操業が行われているとしか考えられない。「ポンジスキーム」という投資詐欺の手法だ。
 事態の発覚につれて、出資者の解約手続きが雪崩のように進んでいる。

「みんなで大家」

 これは一民間企業の事業破綻にとどまらない。成田市とNAAが重大な責任を負っている。このゲートウェイ構想は18年に成田市の都市計画審議会に諮られ、19年に「小菅地区計画」として承認された。さらに千葉県から森林開発許可と農地転用許可を下ろされた。だが本来なら行政はこんな虚飾に満ちた事業計画について、自己資金と融資で賄えるのか、工期を守れるのか、継続的運営に責任が取れるのか、農地・山林をつぶして行う意味があるのかについて精査し指導しなければならないのだ。
 しかもそれに必要な巨額の資金調達の方法として「『みんなで大家さん』という不特定多数の小口出資で集める」という前代未聞の申請がなされた。これら一切を全く問題にせず丸ごと承認した。大破綻が明らかになった現時点でも、市は沈黙と無指導を決め込んでいる。
 そしてゲートウェイ全敷地45・6㌶のうち、売りに出した以外の18・3㌶、約4割がNAAからの借地なのだ。つまり国が100%株主であるNAAが、空港の直接の敷地ではないが、空港のために必要だからと言って買収・確保した土地を営利企業に貸し付けて、事業の片棒を担いでいるということだ。一体どこに空港の「公共性」があるというのか。田村明比古NAA社長は4月2日、衆議院国土交通委員会に参考人として出席し、「市から要請されたから事業を適正と判断し土地の賃貸借契約を結んだ。今年度更新・延長した」と居直った。

投資立国の末路

 ゲートウェイは、成田空港機能強化=第3滑走路建設と一体であり、共生バンク、NAA、成田市が三位一体で進めてきた計画だ。この連中が、市東さんの農地強奪や団結街道破壊を実行した。
 「投資立国」を旗印に日帝・歴代自民党政府は、労働者のわずかなたくわえまでも吐き出させて株や債券の投資に向かわせようと躍起になり、新NISAなどの制度を作り、あるいは不動産特定共同事業法(不特法)に基づく小口不動産投資を奨励してきた。その結果がこの「みんなで大家」の大破産だ。まさに成田空港は、投資詐欺と地続きの腐敗した資本主義の象徴になり果てている。
 さらに徹底的に暴き、廃港に追い込もう。
(田宮龍一)

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