明日も耕す 農業問題の今 米国産米の輸入拡大へ? トランプ関税対策で浮上

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週刊『三里塚』02頁(1158号02面05)(2025/04/28)


明日も耕す 農業問題の今
 米国産米の輸入拡大へ?
 トランプ関税対策で浮上

(写真 米価の高騰が止まらない)

 「日本はアメリカ産の米に700%の関税をかけている」―トランプ大統領の発言に、政府は「事実と違う」としながらも帝国主義間の争闘戦圧力の前に右往左往している。トランプ関税下で日本の米はどうなるのか。
 自民党は4月15日、「米国の関税措置に関する総合対策本部」の会合を開き、米国に関税措置の見直しを求める交渉について協議した。出席者からは、農業分野で譲歩することがないよう念押しする声が続出した。
 江藤農水相は16日の衆院農林水産委員会で「自動車に手心を加えてもらうために、農林水産品を差し出すような取引はあり得ない」と強調。農産物での譲歩を否定した。
 マスコミも「食料安全保障の確保や日本農業の存続が危うい中、国民の命と食を支える農業、農村を米国に譲り渡してはならない」と絶叫する。

自動車を優先し

 だが他方で、「対米関税交渉の材料として政府内で米国産米の輸入拡大案が浮上している」(4月20日付日経新聞)。
 「令和の米騒動」も背景に、これからの交渉カードのひとつとして米国産米の輸入拡大案が取り沙汰されているのだ。
 国産米の品不足と価格の高止まりで輸入米の需要が増している中、政府内には「国内の不足分を一時的にでもまかなえればいい」との声がある。
 やっぱりこう来たか。
 ブルジョアジーにとって「自動車に対する25%の追加関税の撤廃が最優先事項(政府関係者)」なのであり、石破はペテンと言い訳を繰り返しながら、クルマのために農業を切り捨て、米の市場開放に道を開くだろう。
 もちろんクルマも無傷ではいられないだろうが、そのしわ寄せを食らうのは労働者だ。

国益論と対決を

 では、「日本の米を守れ」というのが私たちの取るべき立場だろうか。
 トランプは関税を武器に中国を追い詰めながら、同盟国をも自らの意思のもとに組み敷こうとしている。
 石破は追い詰められながらもこれに対応し、中国侵略戦争に突進することに帝国主義としての延命の道を見いだそうとしている。
 石破は4日の衆院内閣委員会で「国難と称すべき事態だ」と野党に協力を求めた。立憲民主党の野田は「挙国態勢だ」と表明。日本共産党は「経済主権・食料主権を脅かすな」と叫び、与野党あげての挙国一致が構築されようとしているのだ。
 渡米前、赤沢亮正経済再生担当相は「何が一番国益に資するのか、何が一番効果的なのかを考え抜き、国益を守る交渉を行いたい」と述べた。
 「米を守れ」は「国益論」に取り込まれ、「米より大事な国益がある」という戦争の論理に屈服させられ、戦争動員に加担させられるだけだ。
 こんな現実を私たちに強制するトランプ・石破を打倒すること、米韓はじめ世界の闘いと連帯し、中国侵略戦争を阻む反戦闘争の爆発こそ私たちの生きる道だ。
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