北総の空の下で 仮執行を阻止 生き様否定できず
週刊『三里塚』02頁(1158号02面07)(2025/04/28)
北総の空の下で
仮執行を阻止
生き様否定できず
春爛漫のポカポカ陽気から一転、低温、雷雨、強風、夏日…と気候の変化が目まぐるしく、体がついていけません。とはいえ、強制執行を阻止して日常を取り戻した勝利感と、芽吹きの季節の解放感が農作業の手をはかどらせます。端境期ながらもエシャレット、野良ぼう菜、葉玉ねぎなど春限定の野菜が彩りを添えています。
判決日前夜、現闘内で最悪の判決を想定した決戦体制を確認して24日に臨みました。判決はこちらの主張を完全に抹殺して農地の明け渡しを命ずる最悪の内容でしたが、最後に一言「長年農業を営んできたことを考慮して仮執行は付けない」と。主文の内容に一ミリの歩み寄りもない以上、むしろ最後の一言は私には「えっ?」と耳を疑うものでした。
総括集会は当然にも弾劾の嵐でした。私が共感したのは矢嶋全学連委員長の発言です。 「強制執行を阻止しました! 時間の猶予ができたのだから、一昨年の闘いを2倍にも3倍にもして、絶対に今回の判決を後悔させる闘いを作り出そう」
終わってみれば、NAAの主張を法的価値無しと退けて登場した斉藤顕裁判長は、裁判の争点を換えることでこう着状態からNAAを救済するために送り込まれた確信犯でした。にもかかわらず強制執行に踏み込めなかったのは、弁護団と現地勢力が総力で法廷闘争に臨んだ迫力、何より市東孝雄さんの農民としてのゆるぎない生き様を否定しきれなかったからだと私は思います。
北里一枝
