全世界を襲う猛暑・異常気象 地球規模の環境破壊が進行 命を守れ!帝国主義打倒を

週刊『三里塚』02頁(1164号02面03)(2025/07/28)


全世界を襲う猛暑・異常気象
 地球規模の環境破壊が進行
 命を守れ!帝国主義打倒を

新たな「日常化」

 今年の夏も歴史的な猛暑が続いている。今年6月の真夏日は観測史上、過去最多を更新。6月の熱中症搬送は昨年の6倍を超えた。幕張車両センターで発生した熱中症に起因する労働者の死亡事故のように、関連の死傷者は1200人を超え、新型コロナ感染症以上の災害級の脅威となっている。
 これは日本だけではなく世界全体的な動きだ。たとえば、南欧・スペインでは猛烈な熱波により、連日気温が40℃をこえ、1180人が亡くなり、昨年の10倍を記録した。
 平均気温はここ10年間で最も上昇し、2025年は観測史上最高を記録した2024年を超える勢いとなっている。日本では「異常な暑さ」が恒常化し、近年においては大雨をもたらす線状降水帯の多発、予測不可能な台風の発生、記録的豪雪、大規模な山火事が発生している。「秋がない」「梅雨のない」という夏・冬に偏った「二季」が「普通」となり、異常気象が「新たな日常化」しつつある。これらの猛暑は、コメ不足で表されたような農作物への被害や、海水温上昇による記録的不漁をもたらしている。農漁民の58%が気候変動や猛暑で「収穫量・漁獲量」が減ったと回答(大手産直通販サイトの調査)。さらに不作による食品価格の上昇、エアコン代など燃料代・電気代の高騰が労働者の生活を直撃している。「猛暑のなかで働かせるな!」という労働運動が世界で展開され始めている。これらは自然災害ではなく、資本主義・帝国主義が引き起こした地球規模の環境破壊によるものである。

気象科学を抹殺

 これらの気候危機、地球環境破壊の現実化に対し、米帝トランプはその事実そのものを抹殺しようとしている。トランプは1月就任後、ただちにパリ協定からの離脱を表明。そして、国内における気象にかかわる省庁・機関を解体していく。NOAA(米海洋大気局)の職員を2000人削減、人工衛星による気候観測を行ってきたNASA(米航空宇宙局)やEPA(米環境保護局)の予算を半分以上カットした。2025年の半年で、米国各地の観測所や研究所の予算が次々と削減、閉鎖され、さまざまな気象データをとることも困難になっている。
 気候変動に関わる科学や技術は、天気予報や災害予測と一体であり共通している。たとえば7月4日に米テキサス州で発生した洪水(写真)による死者は135名を超える大惨事となった。これは、国立気象局(NWS)や連邦緊急事態管理庁(FEMA)の職員削減が対応の遅れをきたし被害が拡大した要因だと、遺族が弾劾している。今後アメリカ国内でひとたびハリケーンなどの災害が起きれば、これまで以上に甚大な被害となることは間違いない。
 トランプは、これまで基軸国としてのアメリカの地位を牽引(けんいん)してきた大学や研究機関を攻撃・破壊し、さらなる米帝の没落と破局的崩壊へ導いている。このトランプの政策は、米帝をますます世界的規模の資源略奪、世界戦争、地球規模の破壊の道へ突き進ませるだろう。

世界戦争の切迫

 CO2排出量世界第5位の日帝もこれに追随しようとしている。
 これらの背景には、延命を続けてきた帝国主義の末期的危機、世界戦争の切迫がある。世界の再エネ市場(電気自動車や太陽光パネルなど)は中国が独占し、米帝は決定的敗勢にある。ここにおいて米帝は、石油や天然ガスなどの化石燃料産業、自動車や軍需産業などの重工業、核・原発産業を「規制撤廃」などでテコ入れし、これらの再エネ市場・産業そのものをたたき潰そうとしている。世界戦争に訴えてでも、これらの争闘戦に勝ち抜こうとしているのだ。
 そして戦争と気候危機、差別・排外主義は複雑に絡み合っている。いっそう激しくなる気候危機は、大雨・洪水や干ばつをもたらす赤道地帯の国々を直撃し、そこに住む人々の衣食住をすべてを破壊し、膨大な「気候難民」を生み出している。
 「気候変動対策は必要ない」「外国人を追い出せ」という極右が世界中で台頭している。参政党もその一つの潮流だ。世界戦争と地球環境破壊をもたらす帝国主義を世界の人びとと連帯し、打倒しよう。
(是枝真琴)

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