明日も耕す 農業問題の今 大規模農業に明日はない 自民大敗でも農政変わらず
明日も耕す 農業問題の今
大規模農業に明日はない
自民大敗でも農政変わらず
政府による備蓄米の場当たり的放出は、農民の不安と怒りを招いた。小泉進次郎農水相は選挙応援で「他党よりマシ」としか言えず、自民党は東北・北陸地方で軒並み惨敗した。参院選を経て農政は変わるだろうか。
「令和の米騒動」から米の増産が叫ばれる中で、参院選で大敗した石破政権は「農家の所得補償」や「減反政策」の見直しを迫られるだろう。
目先の「改革」も少しは進み、それが大々的に宣伝されるかもしれないが、肝心なことは、中国侵略戦争に向けた総翼賛体制は何ら変わらないということだ。「食料安保」の大合唱の下で、戦時体制づくりの農業大改悪が進められ、石破政権は「農地の大区画化」「スマート農業」「輸出拡大」を促進するだろう。
この中で今回は、前回の乾田直播きにも関連する「大区画化=大規模化」について考えてみたい。
栽培不能地拡大

大規模農業というと、よく映像で見るアメリカやオーストラリアのケタ違いの農業をイメージするが、決してうまくいっている訳ではない。
たとえば1926年からの統計でカナダの農家の総収入と純益を比較すると、年々総収入は増えているのに農家の取り分(純益)は減っているというデータがある。種、農薬、肥料、農機具、燃料、輸送などの支払いにどんどん消えているからだ。とりわけ遺伝子組み換えに転換していく1996年以降はむしろ赤字になっている。その後黒字に転換していくが、それは政府からの補助金が出るようになったからだ。補助金で何とか持ちこたえているというのが現状なのだ。
また栽培不能な耕地が世界で拡大しているが、その原因をつくっているのが大規模農業だ。
コーンベルトと呼ばれるアメリカ中西部の穀倉地帯では、大規模農業で集中的な化学肥料の使用が長期間行われた結果、表土が半分ほど喪失し、水源も影響を受け、耕作可能面積が減っている。
生産不能という事態になることを防ぐため、この地域では今、(環境再生型農業が大きな注目を集め、全体の10%を超えて増えている。
戦争経済の中で
企業の利益ではなく地球環境、持続的な農業、人々の健康を考えるなら、大規模農業はすでに破綻している。
しかし、石破政権は軍事優先の戦争経済の中で、中小農家は切り捨て、大規模農業に支援・補助を集中しようとしている。
トランプ関税にみられるように、帝国主義は生き残りをかけて侵略戦争に突き進むだけでなく、お互いにつぶし合う争闘戦も激化させている。
石破が大規模化・スマート農業を進めるのは、企業のためであり、農産物輸出、農業技術分野での争闘戦に勝ち抜くためだ。
農政の転換と称して進められるであろう、改革に名を借りた農業・農民切り捨てを許すな!