明日も耕す 農業問題の今 戦時体制めざした石破農政 アフリカ勢力圏化を狙い

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週刊『三里塚』02頁(1167号02面04)(2025/09/08)


明日も耕す 農業問題の今
 戦時体制めざした石破農政
 アフリカ勢力圏化を狙い


 9月7日、石破首相が退陣を表明した。ついに石破内閣が打倒された。労働者人民の積もりに積もった怒りに何ら向き合わなかった政権の末路だ。米問題へのデタラメな対応に終始した石破政権の農政とは何だったのか。
 「令和の米騒動」に対して坂本哲志元農相は「米の生産は足りている」と言い続けた。
 江藤拓元農相は「米は売るほどある」と言ってクビになった。
 一転、小泉進次郎農相は「米をじゃぶじゃぶにしていく」と備蓄米を場当たり的に放出した。
 怒りと混乱を招き続けた根幹にあるのは、農家が「米を作っても食えない」農政であり、その裏返しで「米を買えない」労働者の低賃金だ。
 石破はこうした農政を「改革」するような触れ込みで登場しながら、中国侵略戦争に向けた総翼賛体制は何ら変わらず、「食料安保」の大合唱の下で「農地の大区画化」「スマート農業」「輸出拡大」をあおった。
 こうした戦時体制づくりの農業大改悪をさらに一歩進めた動きを取り上げておきたい

官民で投資強化

 横浜市で8月20~22日、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が開催された(写真)。アフリカの54カ国中49カ国が参加し、石破は3日間でアフリカ諸国の首脳らと計34件の個別会談を行って「グローバルサウス」との関係強化を図った。
 注目すべきは、石破が開会式で、アフリカにインドや中東を含めた新経済圏構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を提唱したことだ。
 石破は、アフリカを「経済安保上の重点地域」と位置づけ、官民連携で投資を強化すると打ち出した。アフリカへの全面的な経済侵略、市場・資源の強奪と勢力圏化を狙う姿勢をあからさまにし、農業においても民間企業を動員して支配を強めようとしている。

資源・食料強奪

 小泉農水相は「現地で日本の農業技術を普及させるため、民間企業の知見を活用していく」とし、農水省は「今後官民連携の新たなプロジェクトを西アフリカのセネガルで立ち上げる」としている。また、西アフリカを中心に住民参加型の小規模水田開発などを共同で進めるという。
 会議には大手企業をはじめ、さまざまなスタートアップ企業が参加し、協力文書を締結した。
 世界戦争・核戦争情勢下で日帝が生き残ろうとするなら、資源においても食料においても対外的に強奪するしかない。だから「国内農業を守る」ことが安全保障の第一なのではなく、海外市場を強奪し勢力圏化できるだけの技術力、企業の進出が必要なのだ。
 だが現在、アフリカで圧倒的な存在感を持つ中国や、米欧帝国主義との争闘戦でも日帝は立ち遅れている。
 石破の後がどんな政権になろうとも、日帝は可能な限り勢力圏を拡大し、中国侵略戦争に突き進むしかない。反戦闘争の爆発で打倒しよう。

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